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第二巻 第三章 第二部 ボレロ
第五十一話 裏切り
しおりを挟むエディリオンの周りの5つのファンネルが形状を変えて、槍のように変形する。
「――エディ」
『私は生きたいように生きる! 死んだら終わりやさかい、何しても生き残るんや! それが、人間っちゅう生き物や! 守るだけしか能がないアホを殺すとか簡単な話や!』
私は彼女の主張に涙を流し、指揮棒を構える。
何としてでも生き残る。
エディは私を殺してでも、生きていきたいと考えているのだ。
『ボレロはん! 約束や、私はもうあんたには攻撃せえへん! その代わり、私に攻撃せんと契約してくれ!』
「はぁ? 何で私があなたのために契約する必要があるの?」
『せやないと、アイネ殺すん集中できへんやないか! 契約してや!』
「はぁ。仲間の同志撃ちのショーに付き合ってやるわ。その代わり、必ずアイネを仕留めなさい。さもなくば、契約破棄の代償で心臓を砕くから」
『おけや! ボレロはんの魔法のサポートをしたるわ!』
――エディとボレロが魔法で契約を結んでいる。
契約とは、『互いに規則を守る』と誓い合うこと。
破れば、その代償によって命を奪われたりする。
この契りによって、エディが完全に裏切ったと言うことになる。
『ほな、始めよかアイネはん』
「……エディ! 私、あなたを信じてたのに」
『なんや、泣き言かいな! 私は常に強い方の味方や! 弱いやつに手を差し伸べたって、損するだけや! 私はまだ生きていきたいんや、分かったかボケナス!』
――そう言い、槍の形状になったファンネルを地面に突き刺したのだ!
私は、弱い人間だから、エディが離れていった。
ボレロが強いから、勝てないから、エディに裏切られた。
――やっぱり、私は他人の指示なんてできない。
いつだって、指示を待つ側の人間だ。
「んっ……うううぅっ」
『泣いても無駄やで、殺し合おうやないか! アイネはんくらいなら、簡単にぶち殺せるわ! 何せ、アイネはんの弱点を知っとるからなぁ!』
ざ、ざ。
瞬間、エディリオンは私の方に走り出した!
――2回、ノイズが鳴った。
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