転生勇者の殺し方〜チート最強・転生・SSSランク勇者なんてクソ喰らえ!〜

王一歩

文字の大きさ
2 / 15
第一章 チート勇者の存在

2.クロフィア

しおりを挟む

 ◆◇◆

「……ユウマ様を殺すなんて、あんた馬鹿じゃないの?」

 と、朝から俺の布団を干そうと引っ張っているのは、俺の婚約者に成る、予定かも知れない……いいや、幼馴染……、居候いそうろう
 もとい、俺の仕事仲間のクロフィアだ。
 青髪の長髪で、とても胸が大きく、プリプリした尻が俺の目を惹きつける、俺好みの肉厚な女性だ。
 歳は俺の一つ下の23で、5年前から同じギルドの同じ部署に配属されて仲良くなった。
 そして一年程前に、宿を追い出されたと言う彼女を俺の家に泊めている、と言った状況だ。

 家事・雑用・仕事の依頼の確認などの凡ゆる事をして貰って居るので、俺的にはかなり助かっているパートナーだ。
 ……だがこの女、一年も一緒に住んでる癖にガードは強固なのだ!
 夜にクロフィアの部屋に入ろうと思っても、二重に鍵を掛けられていて手出しが出来ないのだ。
 ……そんなんだから、いつまで経っても彼氏が出来ないんだぞ!

 まぁ、それはもう良い。

「クロフィア、俺は許せないのだ。何の苦労も鍛錬もせずに『チートガチャ』なるもので簡単に勇者の力を得てしてしまうなど、まるで俺の人生全てを否定されているみたいだ。君はこらまでの努力を『運』や『恩恵』の幻などに負けて良いのか?!」

「別に、良いんじゃないの? ユウマ様は事実として私たちよりも強いし、千年以上悩まされて来た魔王の攻撃も難無く防ぎ、バッタバッタ魔物を倒してる。世界が平和に成って、戦う必要が無くなるんなら良いんじゃない?」

「何を言うかクロフィア! 戦いこそ人生だった俺達に取って、それを奪われるのは人生を奪われる事に同じ! 『平和になれば良い』などと腑抜けた事を言いよって!」

 と、俺はクロフィアが剥ぎ取ろうとする布団をこちら側へ思い切り引っ張る!
 が、奴も奴とて共に戦う戦士だ、相当な力が俺の布団を離さない!

「ギルディア! あんたは平和に成る世を目指して戦ってんでしょ! それなら良いじゃない! 私たちはもう戦う必要は無い! ユウマ様が世界を救うんだから!」

「それが嫌だと言って居るのだクロフィア!」

 と、俺は力一杯 布団を引っ張った!
 ……動物の羽根が部屋の中に舞い散り、俺達は忽ち真っ白な化粧を成した。

 クロフィアの顔が歪む。

「……世界を救う、あんたの夢は分かるわよ。でも、勇者になれる席は、この世に一つしかない。それを奪う為に、ユウマ様を殺すなんて。つまり、魔王がしようとしてる事と同じよ? あんたはどう見たって人間、道徳を尽くしてこそ理性を全うできる生物なの。駄々を捏ねる余裕が有るなら、両親の所に行ってあげたら?」

「……世界を救いたいんじゃない。一矢報いたいだけだ、父さんや母さんを殺した魔王軍の奴らにな。敵討ちする筈のこの体で、だ。魔王に一生敵わないとしても、俺は『転生勇者』にだけは魔王を殺して欲しくないんだ。因縁の相手を遊戯感覚で殺されるくらいなら、この世界の住人のみんなで力を合わせて殺したい。それだけなんだ」

 俺は破れた布団を抱き締め、人の首を絞める様にギュッと抱き締めた。
 俺は、結局の所、平和なんてどうでも良い。
 魔王を殺せれば、それで良いのだ。
 魔王を殺せれば、俺は死んでも良い。
 ただ、俺は魔王を殺す為だけに生きて来たのだから。

「……部屋の羽根、掃除しといてよ。私は洗濯しなきゃだし」

 と、クロフィアは踵を返して部屋の外に出て行く。
 誰か、俺を救ってくれよ。
 俺をもっと強くして欲しい、もっと恩恵が欲しい、もっと悪に染まりたい……!!

 強くなれるなら、俺は何だってする。

 そう、俺は転生勇者を殺してでも。


『よぉく言ってくれましたよ、ギルディア様!!』


 と、脳内に急に響き渡る甲高い声!

「「な、なんだ?!」」

 と、クロフィアも振り返って羽毛だらけの部屋を見渡す。
 真っ白な風景の中に映し出されたのは更に真っ白な肌を持つ女性で、羽毛を巻き上げながらふわりふわりと舞い降りて来た。

『……その覚悟、しかと受け止めました。ギルディア様、貴方は実に強い魂を持っておられますね、うふふっ』

 彼女はそう言い、素足をトンと部屋に着けてにこやかに笑った。
 真っ白なワンピースと青い装飾のみを纏った彼女、細い足が艶めいており、潤った美顔をこちらに向ける。
 赤い髪は未だにフワフワと浮いて、まるでこの世の物では無い様で、薄っすらと透けている。

透けた赤髪の女性の奥に、驚きの余りに口を大きく開けたクロフィアが見えた。

「もも、もしかして! ふぃ、ふぃふぃ、フィローラ様ぁぁ?! そうですよね?!」

 クロフィアは叫び、羽根舞う部屋の中でぴょんぴょんと飛び跳ね回る。

『はい、私の名前はフィローラ。【夜明け】を司る女神・フィローラです』

つづく。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

アルカス
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

外れギフト魔石抜き取りの奇跡!〜スライムからの黄金ルート!婚約破棄されましたのでもうお貴族様は嫌です〜

KeyBow
ファンタジー
 この世界では、数千年前に突如現れた魔物が人々の生活に脅威をもたらしている。中世を舞台にした典型的なファンタジー世界で、冒険者たちは剣と魔法を駆使してこれらの魔物と戦い、生計を立てている。  人々は15歳の誕生日に神々から加護を授かり、特別なギフトを受け取る。しかし、主人公ロイは【魔石操作】という、死んだ魔物から魔石を抜き取るという外れギフトを授かる。このギフトのために、彼は婚約者に見放され、父親に家を追放される。  運命に翻弄されながらも、ロイは冒険者ギルドの解体所部門で働き始める。そこで彼は、生きている魔物から魔石を抜き取る能力を発見し、これまでの外れギフトが実は隠された力を秘めていたことを知る。  ロイはこの新たな力を使い、自分の運命を切り開くことができるのか?外れギフトを当りギフトに変え、チートスキルを手に入れた彼の物語が始まる。

【改訂版】槍使いのドラゴンテイマー ~邪竜をテイムしたのでついでに魔王も倒しておこうと思う~

こげ丸
ファンタジー
『偶然テイムしたドラゴンは神をも凌駕する邪竜だった』 公開サイト累計1000万pv突破の人気作が改訂版として全編リニューアル! 書籍化作業なみにすべての文章を見直したうえで大幅加筆。 旧版をお読み頂いた方もぜひ改訂版をお楽しみください! ===あらすじ=== 異世界にて前世の記憶を取り戻した主人公は、今まで誰も手にしたことのない【ギフト:竜を従えし者】を授かった。 しかしドラゴンをテイムし従えるのは簡単ではなく、たゆまぬ鍛錬を続けていたにもかかわらず、その命を失いかける。 だが……九死に一生を得たそのすぐあと、偶然が重なり、念願のドラゴンテイマーに! 神をも凌駕する力を持つ最強で最凶のドラゴンに、 双子の猫耳獣人や常識を知らないハイエルフの美幼女。 トラブルメーカーの美少女受付嬢までもが加わって、主人公の波乱万丈の物語が始まる! ※以前公開していた旧版とは一部設定や物語の展開などが異なっておりますので改訂版の続きは更新をお待ち下さい ※改訂版の公開方法、ファンタジーカップのエントリーについては運営様に確認し、問題ないであろう方法で公開しております ※小説家になろう様とカクヨム様でも公開しております

転生したら王族だった

みみっく
ファンタジー
異世界に転生した若い男の子レイニーは、王族として生まれ変わり、強力なスキルや魔法を持つ。彼の最大の願望は、人間界で種族を問わずに平和に暮らすこと。前世では得られなかった魔法やスキル、さらに不思議な力が宿るアイテムに強い興味を抱き大喜びの日々を送っていた。 レイニーは異種族の友人たちと出会い、共に育つことで異種族との絆を深めていく。しかし……

ラストアタック!〜御者のオッサン、棚ぼたで最強になる〜

KeyBow
ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞 ディノッゾ、36歳。職業、馬車の御者。 諸国を旅するのを生き甲斐としながらも、その実態は、酒と女が好きで、いつかは楽して暮らしたいと願う、どこにでもいる平凡なオッサンだ。 そんな男が、ある日、傲慢なSランクパーティーが挑むドラゴンの討伐に、くじ引きによって理不尽な捨て駒として巻き込まれる。 捨て駒として先行させられたディノッゾの馬車。竜との遭遇地点として聞かされていた場所より、遥か手前でそれは起こった。天を覆う巨大な影―――ドラゴンの襲撃。馬車は木っ端微塵に砕け散り、ディノッゾは、同乗していたメイドの少女リリアと共に、死の淵へと叩き落された―――はずだった。 腕には、守るべきメイドの少女。 眼下には、Sランクパーティーさえも圧倒する、伝説のドラゴン。 ―――それは、ただの不運な落下のはずだった。 崩れ落ちる崖から転落する際、杖代わりにしていただけの槍が、本当に、ただ偶然にも、ドラゴンのたった一つの弱点である『逆鱗』を貫いた。 その、あまりにも幸運な事故こそが、竜の命を絶つ『最後の一撃(ラストアタック)』となったことを、彼はまだ知らない。 死の淵から生還した彼が手に入れたのは、神の如き規格外の力と、彼を「師」と慕う、新たな仲間たちだった。 だが、その力の代償は、あまりにも大きい。 彼が何よりも愛していた“酒と女と気楽な旅”―― つまり平和で自堕落な生活そのものだった。 これは、英雄になるつもりのなかった「ただのオッサン」が、 守るべき者たちのため、そして亡き友との誓いのために、 いつしか、世界を救う伝説へと祭り上げられていく物語。 ―――その勘違いと優しさが、やがて世界を揺るがす。

セーブポイント転生 ~寿命が無い石なので千年修行したらレベル上限突破してしまった~

空色蜻蛉
ファンタジー
枢は目覚めるとクリスタルの中で魂だけの状態になっていた。どうやらダンジョンのセーブポイントに転生してしまったらしい。身動きできない状態に悲嘆に暮れた枢だが、やがて開き直ってレベルアップ作業に明け暮れることにした。百年経ち、二百年経ち……やがて国の礎である「聖なるクリスタル」として崇められるまでになる。 もう元の世界に戻れないと腹をくくって自分の国を見守る枢だが、千年経った時、衝撃のどんでん返しが待ち受けていて……。 【お知らせ】6/22 完結しました!

処理中です...