【完結】ラノベ作家の異世界転生〜ぐーたら美少女天使とのラブコメ×ファンタジー〜

王一歩

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第七章 ノベルvsイレイザー

55.攻略法

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「……ノベルくん!」

 どうやらイレイザー君は不意打ちにめっぽう弱いそうですね。
 あら、一体なぜなのでしょう?
 さっきは上空に5丁の銃を召喚して速射したのに、全て躱してしまいました。
 あれあれ、不意打ちだったらその攻撃は躱せないの?
 全く同じパターンの攻撃ですけど?

「まず、1つ目の疑問。イレイザーはなぜ学生の時に、初歩的な魔法を覚えずにいきなり最強呪文を覚えようとしたか?」

「……なんスか、何が言いたいんスか!」

「だって、不思議だろう? 初級魔法は全ての基礎になる。親父が言ってたぜ、『初級魔法は詠唱が短い』ってな!」

 ◆

 ――昨日、俺と親父は、宮殿のベランダで駄弁っていた。
 その時の会話だ。

『それにしても、タクヤはなんで詠唱を簡略化したんだ? 初級魔法を覚えずにいきなり上級魔法を使いたかったのか?』

『え? 詠唱ってレベルで長さが違うのか?』

『そりゃそうだろう! 初級なら2秒、中級なら5秒、上級なら10秒は詠唱が必要になる』

『え、そんな感じなの?! イレイザーの詠唱が異常に長いから、全部の魔法の詠唱がクソ長いって思ってた』

『ンなわけないだろう。イレイザー君は上級魔法をバンバン撃つ様な天才だからな。逆に、初級魔法は一切覚える気はないらしいぞ』

 ◆

「俺ははなはだ疑問だった! 瞬発力がいる様な近接戦闘において、コンパクトな技を持ち入りたいのは世の常だ! 馬鹿長い詠唱呪文なんて唱える暇なんぞお前には無いはずだ!」

「……ノベルくん!」


必中会心クリティカル』!!

 ――そして俺の目の前に突然現れたイレイザーは俺の体を目掛けて一撃を入れてくる。
 だからこそ、俺には好都合な相手だ!

「ぐばぁぁぁっ!」

 俺の目の前にいたはずのイレイザーは、瞬きすると空中に飛んでいる。
 あーあ、これでイレイザー攻略だ。

「さて問題。なぜ俺の攻撃が当たったでしょう?」

「……条件付き罠技トリックっスか?!」

 イレイザーは全身から組織液を流し、通常の亜人族と同じような回復力で傷が癒えていく。
 あらあら、先ほどのあの速攻回復はどうしたよ?

「そういうことだ。イレイザーが俺の間合いに入ってきた瞬間、俺の目の前を撃つように召喚した銃にプログラミングしたってことよ。速攻回復をしなくなった感じ、そろそろ魔力は限界か? 前に言ってたもんな、全快魔法は『魔力の消費が激しい』って」

「ぐぅ……要らないことばかり覚えてる人っスね!」

「ははは! 甘えいんだよなイレイザーは! ラノベのキャラにしては攻略するヒントがあまりにも多すぎる! 自分がこの町で2番強いって過信しすぎてベラベラ情報垂れ流しすぎ! 俺を敵に回すことを一切考えてない最強拳法使い! 演技は下手くそ、矛盾だらけ! そんなんじゃ、クソラノベだって叩かれるぞ!」

 俺の間合い半径50センチ以内に生体反応があると自動的に引き金を引くプログラムを作った。
 この能力もステイプラーから受け継ぎ済みだ。
 彼女が本当に昼寝をしている間は、街中に置いてあるフリントロック式銃は自動操銃に設定が切り替わるらしい。
 悪意を感知すると弾を発射する能力……それを俺が応用して使って見せた。

「気付くとイレイザーはいつも間合いにいる。気付くといつも傷が回復している。攻撃が躱せる時と躱せない時がある。――近距離戦闘が主流なのに、詠唱が極めて長い魔法を覚えても問題がない特有魔力……。そりゃ、『爆撃や雷撃』みたいな無作為広範囲の持続魔法がなきゃイレイザーには勝てないかもな?」

「もういいっス! 遠慮なく仕留めさせてもらうっス!」

 イレイザーは血眼になって俺を倒さんとしている!
 その様子を見てもう何もかも理解した。
 全部が全部、図星過ぎて適切な判断ができなくなってきてる!
 そういうところが甘いんだよなぁ、拳法使い!

「2つ目の疑問。どうして超絶高速移動ができるイレイザーに『不意打ち』だったら弾が当たるか?」

「あぁぁぁぁぁぁ!」

 イレイザーの焦りは頂点に達した!
 物凄い速さで俺の前を駆け巡り、いつ俺の間合いに入ってくるか分からないこの状況!
 至る所にイレイザーが映り、どれが本物の彼なのかわからない!
 ――まぁ別に不意打ちじゃなくても良い。
 とりあえず、俺ですら予想できない様な乱れ技をイレイザーに向けてりゃ良いんだよ!

「じゃあ、銃弾の乱れ桜! いくぜイレイザー!」

 俺は本当に適当な方向に銃を召喚し、何も考えずに撃ち放った!
 俺の魔力も残りわずか!
 魔力の消費を最小限に抑える威力と最低品質鉛弾だ!
 500発!
 残りそれだけ撃っちまえばもう俺には魔力は残ってねぇ!
 あと何発弾を当てれば、あいつの考え方を変えることが出来る?!

「ノベルくん! 君のその判断力と洞察力には感動したっス! ただ、僕の能力が分かったところで状況は何も変わらない! 君は僕の姿を捉えられずに致死の一撃を受けて終わりっス!」

 ほいきた、『致死の一撃』!
 イレイザーは次の一撃で確実に仕留めに来る!
 ならば狙うは100%急所、『瞬間強化ストロング』を利用した防御策を貫通して、なお戦闘不能にさせる確実な一撃を放ってくる!
 それなら話は早い!
 急所なんて言うて数少ない!
 的が絞れてさらに対策がしやすい!

 乱射した弾はほとんどが当たらないが、まれに風景に組織液が飛び散る!
 つまり、闘技場を高速で駆け回るイレイザーには何発か当たっている証拠だ!
 俺にはもはや彼の動きなど微塵も見えない!
 早いも何も、彼がどこにも見えないのだ!
 まるで、俺の視界から消え失せてしまったかの様にな!

 残り100発ほどしかフリントロック式銃の弾が撃てないことを感じ取った俺は、ベルトに貼り付けた四次元バッグから長い長い最終兵器を取り出した。
 これが、俺の考える第2の策だ!
 これでも無理なら、俺はもう勝ち目は無い!
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