八分咲きの天使は七色の瞳に

クルクル

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序章

プロローグ2君のための……

 "いまあなたは何をしていますか?"

 たった一文を書いただけで、私の手は止まってしまった。次に書く言葉に詰まったから。

 ―――夢は叶いましたか??……なんて。そんなことは、書けない。
 だって、燎也りょうやにとってその言葉は、とても残酷な意味を持つ言葉になっちゃうから。

 これは未来に宛てて書いている手紙。でも十年後とかじゃなくて、いつになるかわからない手紙。宛先も私じゃなくて、幼馴染。

 ―――この手紙を燎也が見るのは、いつになるのかな?明日……はさすがにないと思うけど、きっとそんなに遠くない。

「もっと、いろんなことしたかったなぁ」

 つぶやいた私の声は、震えていた。自分が泣いていることに気がついたのは、手紙代わりのルーズリーフに染みができてたから。いつの間にか、涙で視界も滲んでいる。

「やだ……」

 私は涙を堪えようとしたけど、拭いても拭いても、止まってはくれなかった。

―――泣かないって、決めてたのに。

 まるで決壊したみたいに、私は泣いていた。
子どもに戻ったみたいに、ただ泣いていた。

「……怖いよ。燎くん……」

 無意識に言った言葉に自分で驚いた。ここに燎也はいない。そもそも燎也は私がどこにいるのか知らない。私が、頼んだから。だからここに来れるはずがない。なのに、私は燎也に縋っていた。
 頬を伝って涙が落ちる。ルーズリーフはもうぐちゃぐちゃだった。

―――これでもう何回目だろう?

「会いたい、会いたいよ……燎くん…………」

 壁もベッドも何もかもが真っ白な部屋で、私は何度も何度も涙を拭いながら、泣いた。
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