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魔族編
239話 修復
しおりを挟むまさか、あの一発を食らって立ち上がるとはな。
俺は殴るモーションに入った瞬間に明らかに力の入れすぎに気づいてしまった。
だが、それをリルは片手で防御をしてダメージを和らげたのだ。
「さすがに腕はいっちまったか。」
「はい、恐らく折れています。」
"修復"
「これで大丈夫か?」
「は、はい、治りました。」
「翔様は何か聖職者なのですか?」
「違うが、腕を治すくらいは上位の魔術師なら出来るんだよ。」
もちろん、出来ない。聖職者や聖女以外は基本的に回復魔法は使えない。
回復魔法とは、失ったもの(HPや魔力、身体の部位など)を回復させるものである。
俺が行ったのは腕を折れる前の状態に戻しただけだ。無からは作っていないから回復魔法ではないのだ。
俺は考えたのだ。魔法というのは行為というものを省けるものじゃないのかと。
火を出す魔法は火をおこすという行為を省いて直接火を出しているんだ。
じゃあ、逆も然りなのではないのかと思った。
時間を越えられるのなら、時間を戻すことも可能なのじゃないか。
そうして生まれた魔法が「修復」だ。その物の数分前の状態に戻すこができるというものだ。
まだ、発展途上の魔法だが可能性は沢山ある。
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