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1話 スキル【課金】
しおりを挟む「神からの与えられたスキルは【課金】である。まだ未発見のスキルであり、効果はまだわからない……。」
この世界は神の中でも最上位に位置する『第一神 ゲウス』によって作られた最高傑作の世界『シュトラ』と呼ばれる世界である。
この世界では「神の祝福」といって、生命には1つ以上の神からの贈り物が与えられる。
とあるものは全知全能とまで呼ばれるほどの知能、あるものは家を持ち上げるほどの怪力といった人智を超えた特別な力が与えられてきた。
それらの特別な力をこの世界の住民は「スキル」と呼んだ。
「はい、ですから、レオくんのスキルはまだ未発見のスキルなのです。」
「ってことは、レオはもしかしたら大物になるってことですか!?!?」
今日、レオという10歳の男の子が教会で祝福を得た。
「その可能性はありますね……。ですが…………。」
レオが与えられたスキルは【課金】と言うスキルだった。このスキルはまだ未発見のスキルとされているものだった。
この困った顔をしている人はゲウス教の司祭で民がもっているスキルを教えるという仕事も行っている。
そして、この期待に満ちた顔をしている女性がレオの母であるミヤである。
「レオ、よかったわね。あなたは勇者になれるかもしれないわよ。」
「うん!俺、勇者になるよ!」
この銀髪で青い目をしている少年がレオである。
落ちこぼれと呼ばれ、その後に世界最強という高みに近づくとされているこの物語の主人公だ。
レオが祝福を得てから5年の月日がたった。
母 ミヤの期待とは裏腹にレオのスキルは5年の間で1度発動されることはなかった。
つまり、レオのスキルは「使い物にならなかった」のである。
レオの家庭は決して裕福ではない普通の家庭で父 ギルはカルナ村という村で農夫をやっており、母はそれを手伝って何とか普通の生活が出来ている状況だった。
要は『田舎暮らしで狭いコミュニティ』という事だ。だから、レオがスキルを使えないことが既にカルナ村では周知の事実なのであった。
「……母さん……ただいま……。」
レオは日中は薪を拾いに森の浅い所に足を運んでいた。
そして、帰ってきたレオはいつも誤魔化しきれないほど暗い雰囲気を出していた。
「レオ……おかえりなさい。」
ミヤはレオが村の同い年くらいの子たちにいじめられていることを知っていた。
しかし、レオが自ら言わないということはレオにとって知られたくないことなのだと汲み取り、ミヤは笑顔でレオと過ごすことを決めていた。
その後、ギルが帰ってきて、3人で食卓を囲んだ。
「レオ、将来はどうするんだ?父さんの仕事の手伝いをするのか?」
この村では16歳で成人の扱いがされるため、16歳になった者は身の振り方を自ら決めるのである。
「うん、そうすると思う。」
「そうか、レオがいてくれたら父さんも助かるよ。」
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「おいっ!!45に敵が2人!カバーするから、お前ら裏から回れ!」
「ちっくしょ!!!マジで使えねぇなこいつら。俺のレベルについて来れないならプロゲーマーなんか辞めちまえよ!!」
「何が天才だよ。こっちは毎日15時間練習してるんだよ!努力しないやつは自分が努力していないことを正当化するために人の努力なんか見ねぇで直ぐに天才って言葉で片付けやがる……くそったれが……。」
パタッ
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
レオはその日、ある男の記憶が頭の中に入ってきた。
まるでそれは実体験かのように鮮明に頭の中に入って、自らが生きた人生のように細かいところまで記憶していた。
そして、翌日の朝、レオは【課金】の使い方が分かるようになっていた。
「母さん、少し出かけてくる!!」
「あ、レオ!ご飯は……って聞いてないわね。」
レオは起きて直ぐに家を出ていった。
「ミヤ、いいんじゃないか。久しぶりにあんなに笑顔で笑っていたんだ。」
「そうね。」
レオの顔には笑顔が浮かんでおり、2人は心配よりも嬉しさが勝っていた。
ドンッドンッ
「なんじゃ、朝から。」
レオは村の外れにあるツリーハウスに住んでいる老人の家を訪ねた。
「すみません!!」
ガチャ
「あぁ、君はレオじゃったな。確か、ギルんとこのアンノウンじゃな。」
アンノウンとは、スキルについてを研究する学者が使う専門用語で『未知のスキルを持ったもの』という意味で使われている。
「ギギルギダさん、俺のスキル、使い方が分かったんです!」
「ほぉ……これまた面白いことを言うのぉ……。」
ツリーハウスに住んでいたギギルギダという白髪のおじいさんはスキル学者であり、唯一、レオを馬鹿にするでもなく、哀れむでもなく普通に接していた人なのである。
「これ、外にいないで早く話を聞かせてくれ。」
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