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16.三人の隊長
しおりを挟むリュク同盟連合国のとある小さな街の寂れた店の地下で……
「リリアンを王位の座から降ろすぞ!時は来た、我らの力を見せつける時だ!!!」
「おおおお!!!!」
暗雲がたちこめていた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「本当にいかれるのですか?」
「行かなきゃならないんだ、仕方ないだろう。」
蒼馬、異世界に来て約一年がたった今日、初めて王城を出る。
以前は国の力が弱っていたため、街にはならず者たちも横行して、外に出ると危険な状況だったという理由で出れなかったが、今はすっかりと治安が良くなったため、外出許可が出たのだ。
「我々が今回、護衛として王を守らせていただきます。」
この堅物っぽい無口の黒髪イケメンは第十部隊 暗殺部隊 隊長のシャガである。
異能は身体のありとあらゆる部位を鋭い刃にする「刃体」である。
「まあ、俺がいる以上は王様に近づく輩はいないんで、安心してください。」
この銀髪の少しナーグに似たチャラさを持っているの第七部隊 狙撃部隊 隊長のバンだ。
異能はどんなものも透けてみることが見える「透視」だ。
「自分もいるんで大丈夫です!!」
少し緊張しているレーニンも護衛の任務として抜擢された。
「ったく、バドスのやつも隊長三人つけろだなんて、心配性にも程があるだろ。」
「仕方ないですよ、ソウマ様。この国を大きく変えた稀代の大天才であるソウマ様を失う訳にはいけませんから!!」
レーニンは蒼馬のことをかなり尊敬しているらしく、とてつもないほど褒めていた。
護衛が三人いるのは蒼馬が街を観光するために王城出たからでは無い。
ビスタ共和国へと蒼馬が足を運ぶためだった。
それと
「あれが新しく来た王のソウマ様か……。我らを導いてくれた偉大なるお方か……。」
「ありがたやありがたや。」
街の人へと蒼馬の存在を見せつけるという目的もあった。
そして、王都を抜けた四人はしばらく歩いた。
「じゃ、そろそろ俺の異能で移動するぞ。俺の身体の一部に触れておけ。」
三人は蒼馬の肩に手を置いた。
シュンッ
「うおっ、さっき目の前にあった山の中に一瞬で……。」
シュンッ
シュンッ
シュンッ
シュンッ
シュンッ
「マジですか、目の前にビスタ共和国あるじゃないですか。」
たった六回の転送によって、四人の目の前にビスタ共和国が現れた。
「こっからは歩くぞ。検問の前で突然現れたとなっちゃ、怪しまれるだろうからな。」
四人は十kmほど先にビスタ共和国へと歩き始めた。
「ちょっとだけ面白い話をしてやろう。」
「なんですか、聞かせてください!」
蒼馬がそう言うと、真っ先にバンが食いついた。
「異能の覚醒についてなんだが。」
「あ、いいんですか、レーニンがいますよ?」
レーニンの異能は「危機予知」で特異系に分類され、特異系の異能者には覚醒のことは伏せられていたので、慌ててバンは止めようとした。
「いや、大丈夫だ。だが、この話を聞くって事は後で契約書を書いてもらうがいいか?」
「あ、分かりました、大丈夫です。」
レーニンはなんのことはわかっていない様子だったが、即答した。
「異能というのは覚醒して、強くなることが出来る。効力が上昇したり、性能が上がったりするんだ。そして、俺とギランドの異能研究者たちは仮説を立てた。」
蒼馬はまるで少年に戻ったかのように嬉しそうに話している。
「異能の覚醒といっても複数の覚醒の種類があるのではないかと。普通の覚醒、いわゆる今回見つけたのを第一種覚醒と名ずけるのだとすると、残り二つの第二種、第三種覚醒が存在している。っていう仮説だ。」
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