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1話 国外追放

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パチッ


「ここは……どこ……」

「エルナ様、お目覚めに……」







 私の名前は近藤こんどう 絵里奈えりな、22歳のだけオタク気質のOLである。

 この今目覚めた性格が悪そうな目付きをしてるけど美人な金髪の女性はエルナ・オリバン。近くにいた日本人形みたいに可愛らしいメイドはキキ。

 私、近藤 絵里奈はどうやら、この金髪美女になってしまったらしい。

 事の経緯は分からないけど、昨晩日付が変わるちょうど、このエルナの18歳の誕生日になった瞬間に私の記憶がエルナの中に入り、その衝動でエルナはぶっ倒れたわけ。





「キキ、私は大丈夫よ。」

「エルナ様、本当に大丈夫ですか?誕生日だというのに、お倒れになられて……」

「本当に大丈夫よ。そういえば、今日は私の誕生日だったわね。」

「そうです、本日はエルナ様の18の誕生日でございます。」




 私は知っている。このエルナ・オリバンは18歳の誕生日のちょうど1ヵ月後に国外追放され、そして、その3日後に他国へ行こうとしている道中で野盗に襲われ

 なんで、私がそんなことを知っているかって…

 それはこの世界が恋愛シュミレーションゲームの"ムーンライトプリンセス"の世界だからよ!!!


 このクソダサタイトルのゲームはタイトルに合わない緻密でリアルな設定と王道の王子様たちてイチャラブシーンがあるから、好きだったのよ…って今はそれどころじゃない。

 エルナはこのの世界ではことある事に主人公を邪魔してくる悪役令嬢でその散々邪魔してきたところを王子たちが一蹴する断罪イベントが最っ高に気持ちいいのよね………



 ちっがう!!今、私がするべきことはこの私(エルナ)を野盗に襲わせない、つまり1ヵ月後に控える断罪イベントをいかに回避するかを考えなきゃいけないの!!




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 それからの絵里奈の動きはとてつもなく目まぐるしいものだった。



「エルナ様、どうしちまったんだろうな。1週間もこうして騎士団の訓練場で剣を振って。」

にでも振られたんじゃないか。」

「いやぁ、伯爵家のうちの嬢さんを振るなんて子爵家である坊ちゃんが一存で振れるもんじゃないだろ。」

「でも、リアム子爵家はバロム公爵と懇意にしてるって噂だ。裏で手引きして、なんとか破談なんてのも無くはないだろう。」



 そう、このムンプリでのエルナの断罪イベントの内容はこうだ。


「婚約者であるキース・リアムがバロム公爵家と手を組み、エルナの今までのをばらして死罪にする。そこで、現れた主人公がエルナを庇い、国外追放でなんとか決着する」


というエルナという邪魔者を排除しつつ、主人公が攻略対象(キース・リアム)の好感度を上げるという一石二鳥イベントだ。




「お前ら、エルナ様に聞かれていたら不敬罪で首が飛ぶぞ。」

「団長!」

「エルナ嬢のあの眼差しと姿勢は本物だ。何か心変わりをしたのだろう。私たちはそれを見守ってやるだけだ。」



 この顎髭を蓄えた色気ムンムンな銀髪の騎士団団長と呼ばれているイケおじは隠れ攻略対象の"ジル・アッカー"だ。

 優しくて包容力があることから、ある界隈ではとても人気が高かったというキャラだ。




「エルナ嬢、もう5時間も剣を振っていますので、そろそろ休まれた方がいいかと思われます。」

「そうね、少し休もうかしら。」

「不躾な質問なのですが、なぜ急に剣を習おうなんて思ったのですか?」

 ジルがエルナに不思議そうな目をして聞いてきた。

「私は恐らく、この国から出なきゃ行けなくなるのよ。だから、1人で生きていけるように練習してるのよ。」

「どこかへ留学でもするおつもりで?」

 エルナの回答を聞いて、ギルはますます不思議そうな顔をした。






 そして、月日は流れ断罪イベントの当日を迎えた。
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