スーパー忍者・タカシの大冒険

第99話: 散歩したすぎて話を聞かないイヌボーネ

タカシとユウジが次に出会うべき伝説の十二支は、**犬（イヌボーネ）**だ。だが、その噂を聞く限り、なんとも聞きなれない特徴があった。それは「散歩したすぎて話を聞かない」というものだった。

「散歩したすぎて、話を聞かない…？」
タカシが困惑しながら言う。

「まあ、犬だからな…」
ユウジが無理矢理納得しようとしていたその時、突然前方から急に飛び出してきたのは、まさにイヌボーネだった。

イヌボーネはまるでボールを追いかける犬のように、地面を掘り返しながら走り回っていた。しかも、耳をピンと立てて、目をキラキラと輝かせながら、タカシとユウジに向かって大きな声で叫んだ。

「ワンワン！さあさあ！散歩行こう！早く早く！」

「お、おい！話を聞けよ！」
タカシが叫ぶも、イヌボーネはまったく耳を貸さず、後ろ足で地面を掻きながらぐるぐる回り続けていた。

「お前さ、ちょっと待てよ！試練の話をしてるんだ！」
ユウジが呼びかけるが、イヌボーネは興奮気味に尾を振りながら大声で言った。

「散歩だ、散歩！さあ、散歩！ワンワン！」

タカシとユウジは肩を落としながら、困惑した顔でイヌボーネを見守る。その時、イヌボーネが急に立ち止まり、振り返った。

「何だよ、試練って？聞いてもいいけど…」
イヌボーネが突然、飼い主のような表情を見せながら、真面目に話し始めた。

「おお、ようやく話を聞いてくれるのか！」
タカシが嬉しそうに言うと、イヌボーネはしばらく黙って首をかしげた。

「でもな、試練って言ったって…散歩したいんだよね、俺。」
イヌボーネは再び、うろうろと足を動かし始める。

「待て！話を最後まで聞いてくれ！」
ユウジが必死に叫ぶが、イヌボーネはすでに目を輝かせて再び走り出した。

「ワンワン！試練はあとだ！まずは散歩！」
イヌボーネは完全に散歩モードに入り、タカシとユウジを引っ張りながら、城の周りを駆け回り始めた。

イヌボーネの試練: 走り続けろ！

「よし、決めた！お前たち、俺の試練を受ける覚悟があるなら、散歩に付き合え！」
イヌボーネは、意味不明なことを言いながら急に走り出した。

「お、おい、待て！試練ってなんだよ！」
タカシが叫ぶも、イヌボーネは完全に散歩モードで、歩く速さが異常に速い。

「試練だろ？俺が走り続ける間、絶対に追いつけ！」
イヌボーネが後ろを振り向いて叫ぶと、さらにスピードを上げて走り出す。

「待てよ、待て！話を聞けって！」
ユウジが叫んでも、イヌボーネは耳を傾ける様子は全くない。

タカシとユウジは、ついに追いかけるしかなくなった。イヌボーネはどんどんスピードを上げて、まるで風のように駆け抜けていく。

「これが試練だ！俺についてこれるかな？」
イヌボーネは自信満々に言うが、タカシとユウジは必死で追いかける。

「くそ、こんな試練ってあるかよ！」
タカシが息を切らしながら叫ぶ。

「でも、これがイヌボーネ流試練だ！ただし、道のりが長いぞ！」
イヌボーネは走りながらどこか得意げな顔をしている。

試練を超えて、ついに辿り着く

数時間後、ようやくイヌボーネは走るのを止め、森の中の小道に辿り着いた。タカシとユウジは、息も絶え絶えになりながら到着する。

「はぁ、はぁ…お前、何が試練なんだよ…！」
タカシが倒れ込みながら叫んだ。

「お前ら、よくついてきたな！それが試練だ！」
イヌボーネは疲れを見せずに、両足を広げて堂々とした態度で言った。

「お前、ほんとに散歩したかっただけだろ！」
ユウジがツッコミを入れると、イヌボーネは照れくさそうに言った。

「まあ…ちょっとな。でも、これでお前らもイヌボーネ流散歩術を受け継いだってことだ。」

「いや、受け継いでないから！お前、何か試練っぽいこと教えろよ！」
タカシが叫ぶと、イヌボーネはしばらく黙った後、突然大きな声で言った。

「では、お前たちにこの散歩の力を授けよう！」
イヌボーネが手を高く掲げると、突然周囲に不思議なエネルギーが広がった。

「これでお前たちも、疲れ知らずの散歩術を使えるようになる！行きたい場所には速く、そして無駄なく行ける！」

タカシとユウジは驚きながらも、なんとかその力を受け取った。

「でも、もう二度と散歩に付き合わないからな！」
タカシが言うと、イヌボーネは無邪気に笑っていた。

「それがイヌボーネ流試練さ！さ、次はどこに行く？」

「お前、試練の意味分かってないだろ！」
ユウジが叫びながら、二人は次なる冒険へと向かっていくのだった。