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アイーダの妹
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またまた私の部屋にルイードが遊びにきている。
まだ夕方なのに王子様は暇なんだろうか。
まぁ、聖女である私も暇人しているから同じようなものかもしれない。
雑談が盛り上がって家族の話となった。
「へぇ、アイーダに妹がいたの?」
知らなかった。
ここに来てもうだいぶ経つのに一回も会ったことない。
「あぁ、ルーラン嬢といってお前の一つ下だ。」
「どんな子?私に似てる?」
一つ下かぁ、気になる。
向こうの弟はまだ小さくて可愛いかったけど、一つ下の妹なんてどんな感じだろう。
仲良く恋バナなんてするのかな。
でもアイーダ婚約者いるからそんな話にはならないか。
姉妹ってどんな感じなんだろう。
ルイードはちょっと考えて
「あんまりお前には似てないな。あまり話した事がないから何ともいえないけど、大人しい感じの令嬢だ。アイーダはとても大切にはしていたと思うぞ。ルーラン嬢と会うときは二人きりで会っていた。」
二人で話したかったんかな?
まぁ、わからなくもない。
王子なんか側にいたら普通に緊張して女子会もできないし、話も盛り上がりそうに無いもんね。
妹と似てないんだ。
お父さん似とお母さん似で分かれているのかな。
アイーダが私と同じ顔ってことは両親も似てるかもしれない。
アイーダの両親にも会ってみたいなぁ。
「よくアイーダはルーランと会ってたの?」
「元々、アイーダは生まれた後から、ここで生活していたから‥時々、両親やルーランが面会に来ていたと思う。」
ルイードは少し言いにくそうに言った。
私の向こうの家族と仲が良かったと話した後だからかもしれない。
面会って‥家族が会うのに?
生まれた時からずっと別々に暮らしてた?
じゃあ、アイーダは生まれてすぐ神託があってから聖女としてこの宮で独りぼっちで育ったんだ。
お父さんとお母さんは悲しまなかったのかな?
国ぐるみの誘拐みたいだと思うのは私だけ?
親子を引き離すなんて酷い。
アイーダと会った時、家族を頼むとは言われていない。
確かに生まれた時から別々に生活していると家族の情とかもないかもしれない。
こんな広い宮でずっと過ごしてきたアイーダ‥
私は無理だぁ。
こんなとこにずっといるなんて。
何でも手に入る‥
ご飯も美味しい。
家事もしなくてもいいし、怒る人もいない。
けど、何もない。
自分で何もする事ができない。
外にも自由に出れない。
人間、欲は大切だと思う。
確かに深すぎる欲はダメだけど、欲があるからこそ、「もっとよくしたい」とか「もっと頑張ろう」と思えるんだって今ならわかる。
この世界で過ごす時間が長くなってきて悟りが開けそうだ。
前の私ならこんな事絶対考えなかった。
友達と遊んで、勉強して、将来何になりたいかを一生懸命考えて‥毎日が楽しかった。
ここでは欲がなくなるというか‥
生きる気力が奪われるような気がする‥
聖女、聖女、聖女。
みんなが聖女は大切だっていうけど‥
聖女がいればみんなは幸せかもしれない。
でもアイーダは幸せだった?
ずっとこんなところで独りぼっち。
ルイードと時々くる家族だけが世界の全て。
毎日、毎日何を考えていたんだろ。
「コトミ、何考えている?そうやって黙って難しそうな顔している時は大抵、おかしな事を考えてる。」
ルイードが覗き込んできた。
少し心配そうな顔をしている。
「よくわかったね、ここは地獄だなって考えてた。」
「地獄‥」
ルイードは顔をしかめた。
やばい、心の声が漏れちゃった‥
「ねぇ、そのルーランさんに会ってみたいなぁ。」
明るくルイードに会わせてもらえるよう、お願いしてみる。
何でこんなにルーランと名前を聞くだけで胸がざわつくのかわからない。
アイーダの時の心が何かを訴えているのかもしれない。
ルイードは少し戸惑ったような顔をした。
「あぁ、ルーラン嬢に伝えておこう。ここを出る以外の希望は出来るだけ叶えると言ったしな。」
ルイードが言う。
ここを出る以外は‥
ルイードの言葉に傷つく。
ルイードは嫌いじゃない。
話していても楽しいし、一緒にいると落ち着く。
だけど、私が自由に生きるのを邪魔する。
ニッコリ笑う。
「うん、よろしく。」
ルイードはきっとここを出る以外なら希望を叶えてくれる。
全然、嬉しくない。
そんなに聖女はここにいなくちゃいけないのかな。
ここに聖女がいる意味は、私がいくら考えても一生わからないだろうな。
ルーランさんと会って、今の生活に刺激がほしいなっていう軽い気持ちだったけど‥
私はアイーダの妹と会うべきではなかったと知るのはもう少ししてから‥
まだ夕方なのに王子様は暇なんだろうか。
まぁ、聖女である私も暇人しているから同じようなものかもしれない。
雑談が盛り上がって家族の話となった。
「へぇ、アイーダに妹がいたの?」
知らなかった。
ここに来てもうだいぶ経つのに一回も会ったことない。
「あぁ、ルーラン嬢といってお前の一つ下だ。」
「どんな子?私に似てる?」
一つ下かぁ、気になる。
向こうの弟はまだ小さくて可愛いかったけど、一つ下の妹なんてどんな感じだろう。
仲良く恋バナなんてするのかな。
でもアイーダ婚約者いるからそんな話にはならないか。
姉妹ってどんな感じなんだろう。
ルイードはちょっと考えて
「あんまりお前には似てないな。あまり話した事がないから何ともいえないけど、大人しい感じの令嬢だ。アイーダはとても大切にはしていたと思うぞ。ルーラン嬢と会うときは二人きりで会っていた。」
二人で話したかったんかな?
まぁ、わからなくもない。
王子なんか側にいたら普通に緊張して女子会もできないし、話も盛り上がりそうに無いもんね。
妹と似てないんだ。
お父さん似とお母さん似で分かれているのかな。
アイーダが私と同じ顔ってことは両親も似てるかもしれない。
アイーダの両親にも会ってみたいなぁ。
「よくアイーダはルーランと会ってたの?」
「元々、アイーダは生まれた後から、ここで生活していたから‥時々、両親やルーランが面会に来ていたと思う。」
ルイードは少し言いにくそうに言った。
私の向こうの家族と仲が良かったと話した後だからかもしれない。
面会って‥家族が会うのに?
生まれた時からずっと別々に暮らしてた?
じゃあ、アイーダは生まれてすぐ神託があってから聖女としてこの宮で独りぼっちで育ったんだ。
お父さんとお母さんは悲しまなかったのかな?
国ぐるみの誘拐みたいだと思うのは私だけ?
親子を引き離すなんて酷い。
アイーダと会った時、家族を頼むとは言われていない。
確かに生まれた時から別々に生活していると家族の情とかもないかもしれない。
こんな広い宮でずっと過ごしてきたアイーダ‥
私は無理だぁ。
こんなとこにずっといるなんて。
何でも手に入る‥
ご飯も美味しい。
家事もしなくてもいいし、怒る人もいない。
けど、何もない。
自分で何もする事ができない。
外にも自由に出れない。
人間、欲は大切だと思う。
確かに深すぎる欲はダメだけど、欲があるからこそ、「もっとよくしたい」とか「もっと頑張ろう」と思えるんだって今ならわかる。
この世界で過ごす時間が長くなってきて悟りが開けそうだ。
前の私ならこんな事絶対考えなかった。
友達と遊んで、勉強して、将来何になりたいかを一生懸命考えて‥毎日が楽しかった。
ここでは欲がなくなるというか‥
生きる気力が奪われるような気がする‥
聖女、聖女、聖女。
みんなが聖女は大切だっていうけど‥
聖女がいればみんなは幸せかもしれない。
でもアイーダは幸せだった?
ずっとこんなところで独りぼっち。
ルイードと時々くる家族だけが世界の全て。
毎日、毎日何を考えていたんだろ。
「コトミ、何考えている?そうやって黙って難しそうな顔している時は大抵、おかしな事を考えてる。」
ルイードが覗き込んできた。
少し心配そうな顔をしている。
「よくわかったね、ここは地獄だなって考えてた。」
「地獄‥」
ルイードは顔をしかめた。
やばい、心の声が漏れちゃった‥
「ねぇ、そのルーランさんに会ってみたいなぁ。」
明るくルイードに会わせてもらえるよう、お願いしてみる。
何でこんなにルーランと名前を聞くだけで胸がざわつくのかわからない。
アイーダの時の心が何かを訴えているのかもしれない。
ルイードは少し戸惑ったような顔をした。
「あぁ、ルーラン嬢に伝えておこう。ここを出る以外の希望は出来るだけ叶えると言ったしな。」
ルイードが言う。
ここを出る以外は‥
ルイードの言葉に傷つく。
ルイードは嫌いじゃない。
話していても楽しいし、一緒にいると落ち着く。
だけど、私が自由に生きるのを邪魔する。
ニッコリ笑う。
「うん、よろしく。」
ルイードはきっとここを出る以外なら希望を叶えてくれる。
全然、嬉しくない。
そんなに聖女はここにいなくちゃいけないのかな。
ここに聖女がいる意味は、私がいくら考えても一生わからないだろうな。
ルーランさんと会って、今の生活に刺激がほしいなっていう軽い気持ちだったけど‥
私はアイーダの妹と会うべきではなかったと知るのはもう少ししてから‥
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