【完結】身体の入れ替わり先は聖女様で第二王子の婚約者⁉︎

みやちゃん

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アイーダの死は‥

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「コトミが倒れたとはどういう事だ!」

報告を受けたルイード、レオさんがすぐ聖女の宮に駆けつけた。
さすが聖女‥すぐに連絡が行くんだ。
ボンヤリと二人を見つめる。
ミルダさんが二人に状況を説明している。

その後、私のすぐにベッドサイドでやってきてルイードは手をギュッと握った。
ルイードの手の温もりを感じる。
私は生きてるんだ。
アイーダの感覚にまだ引っ張られている。

「コトミ、大丈夫か?」
心配そうに見つめられる。

「うん、大丈夫だよ。」

「何があった?」

どう答えたらいいんだろう。
まず何から話したらいいかわからない。
今感じていることが私が想いなのかアイーダの想いなのかわからない。

「アイーダは毒物で死んだんだね‥」
私の発言に二人が目を見開く。

「どうして、それを‥」

「二人とも約束して。たとえ真実を知っても何もしないと‥」

「真実を知ったのか?何で‥」

「アイーダの最期を体験したの。この身体はアイーダのだもん。アイーダの事を身体が覚えているんだよ。」

「何があった?聖女の死だ。コトミがいる以上聖女の死を表には出さないが、そのままにはできない。ルーラン嬢が関わりがあるのか?」
ルイードは静かにいう。
聖女の死‥それは罪深いもの。
その皆の思いが今回の悲劇の原因。

「アイーダが亡くなった時の状況を説明して。」

あまり話したくはないのだろう。
ルイードが黙っているとレオさんが代わりに説明してくれた。

「アイーダ様の状況を見る限り毒物による暗殺が有力です。誰かにより持ち込まれたのは間違いなかったのですが、特定できていません。メイドや護衛達も誰とも会っていないと証言していますし、彼ら自身怪しげな動きをしたものもいません。ただ‥」

レオさんは少し言いにくそうだ。
「アイーダ様の飲んだ毒は即死するものではありません。苦しめた後に死なせるもの‥アイーダ様なら聖女の力で何とかできた可能性が大きい。その時何か聖女の力が使えない状況にあったと考えます。」

「うん、そうだね。」
私も頷く。

聖女が死ぬのは自分の力を使えない状況‥即死した場合。
他の人に対しては、魂が断ち切れていなければ亡くなった者でも助けられる。
アルーのように‥
だが、聖女自身が亡くなれば、自分のために力を使えなくなる。
死んだ後、魂に残った力で私を探し出したのは奇跡としか思えない。

アイーダが即死でない以上、解毒はできたはず。
なのにアイーダはどうして死んだのか‥
レオさんも言葉には出していないけど‥
自殺の可能性も否定できないと思っている。

「アイーダの死の原因が何であれ、何もしないと約束して。このままにしておいて。それがアイーダの望みだよ。私はそれを尊重したい。」

しばらく沈黙が続いた。
「わかりました。約束しましょう。」
レオさんが頷く。
その返答にホッとする。

レオさんとルイードが目を合わせ、ルイードも頷いた。
ルイードは渋々といった様子だった。
アイーダを殺した犯人を野放しにする可能性がある。
ルイードにとってアイーダは大切な人だ。
気持ちがついていかないのはわかる。

「アイーダは殺されたんだよ。それは事実。だけど、死を受け入れたのはアイーダ自身。」

「なんで‥」
ルイードは呟く。

「アイーダは自分より優先したいものがあったから。」

私が倒れた状況から推測するとすぐに答えなんか出てしまう。
「‥妹か?」

ルーランさんと会うべきではなかった。
会わなければ、こんなに辛いアイーダの想いに気づかずにいられたのに。
今更、アイーダの想いを知ったところで何もしてあげられない。
アイーダは死んでしまったのだから。

「ルーランさんは知らずにアイーダに毒を盛った。アイーダもルーランさんが故意にした事じゃないとわかってた。だから‥ルーランさんを守るために聖女の力を使った。彼女を逃し、証拠を隠滅させた。メイドさんや護衛さんの記憶の操作までして。」

レオさんが口を開く。
「解毒してからでも、できたはずです。」
ずっと疑問だったのだろう。

「そうかもしれない。でもアイーダはそう考えなかった。もし聖女に知らなかったとはいえ、毒を盛ったらどうなる?」
この間の暗殺未遂‥
直接関係ない人たちも罰を受けた。
なら直接関係してしまえば?

「それは‥」
レオさんもルイードもわかっている。

「いくらアイーダが生きていて、反対したところでルーランさんは罪に問われる。処刑される。だから、アイーダはルーランさんの命を優先した。」

解毒が成功したかもしれない。
だけど、毒により生命力がかなり減っていたから、命が助かってもルーランさんを逃がすだけの力が残っていないとアイーダは考えてしまった。
だから、ルーランさんを確実に助けられる方法をとった。

「アイーダは自分の命とルーランさんの命を天秤にかけ、すぐにルーランさんを選んだ。自殺ではないけど、完全に殺人でもない。アイーダは自分を救わなかったのだから。」

「どうして‥」
ルイードは傷ついた顔をしている。
アイーダの婚約者として近くにいたのだから。

狭い世界の中でのアイーダの心の拠り所‥
側にいてくれるルイードと姉と慕ってくれる妹ルーランさんだけだった。
私の胸が痛む。
アイーダの孤独の辛さを感じてなのか、ルイードへの想いに対してなのか‥

「ここで過ごした日々がアイーダの全てだった。生まれた時からいるから、私みたいに疑問には思っていなかったけど、ただ生きてただけだったんだよ。アイーダは、この狭い世界で生きる希望を見出すことができなかった。」

そう、アイーダには生きたいっていう強い想いが全くなかったのだ。
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