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これからのアンロック
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「レンドランドが手放そうとしたその場所に貴方を戻すことが本当に良いのかはわからない。でもね、レンドランド‥」
ミルアージュはいったん言葉を詰まらせるが、レンドランドに伝えねばならないことがあった。
暗殺未遂からミルアージュはレンドランドから離された。
メイドとなってからもレンドランドは王位の継承に向けて多忙を極めており、なかなか近づくことができなかったのだ。
「それでもあなたが王になることがこの国の最善だと私達は思っているの。だから私が罪をかぶることにした。」
レンドランドもミルアージュに怒鳴った。
「そんなことはない!どうしてことを言うのです。同情ですか?」
レンドランドが怒鳴るなど、皆初めてみた。
感情的になるなとミルアージュもレンドランドも常に言われて育ってきたのだ。
王族として感情が前面に出るなどあり得ないこと。
だが、レンドランドには感情をむき出しにしている。
感情を抑え込みすぎて潰れそうになっている今のレンドランドには、感情を出すことが必要な事だとミルアージュは思った。
「‥違う。この国のことを考えた結論よ。」
きっぱりとレンドランドの言葉を否定する。
「私の悪評が拡がり過ぎている。レンドランドが存在している以上、王位継承権を自ら破棄しても私が裏で何かしたと考える者も多く出る。国民たちの気持ちがバラバラでは、せっかく安定してきた国力を落としかねない。」
「そして何より貴方が王となる方が今後この国は栄える。私の行った政策は国民が生きるための政策だけなのよ。」
そう、農業、医療や教育など国民が生きていくのに必要とする政策。
「これからは違う。皆の生活の質を高める政策が必要だと思っているわ。心と生活に余裕があれば、オシャレをしたり、食事にこだわったり、趣味を持ったり色んなことに気を回すことができる。それにより経済がさらに回る。」
皆が安心して笑うことができる、そんな国を作ることがミルアージュの夢だった。
それがこの国を守るために亡くなっていった者たちへの償いだ。
アンロックはこの先、きっとそうなっていくんだろうと期待できる国になった。
それを行うことができるのは自分ではないとミルアージュは考えていた。
「貿易などにも力を入れていく必要がある。レンドランドの強さは社交性が高く、誰からも愛されることであり、外交面では役立つものよ。そして真面目な貴方は、教養を一通り学んだわ。私みたいに偏った学びではない。今後の発展のためにそれらの教養は武器になる。私は国民を生かすための政策しか立てることができないのよ。」
ミルアージュは苦笑いをした。
そう、政務に追われて一般教養は切り捨てていた。
王族としてのマナー程度は学んだが、音楽もドレスもダンスも食事もどれもミルアージュには興味もなく、何が良いのかもわからないものだった。
わがまま王女の悪評もありすぎて、外交にも影響が出るのも間違いない。
レンドランドという存在がある以上、国のためミルアージュに王位をなんて考えられなかった。
「貴方のことも大切だけど、第一優先は国であり、民なの。この国をより発展させられる力を持った王にふさわしい者だ、自慢の息子だとお父様もずっと仰っていた。私もそう思っている。焦らなくてもいいのよ。全てを抱える必要はないの。あなたの周りには支えてくれる人たちは沢山いるのよ。」
ミルアージュの言葉に宰相も軍部大将、婚約者となるルーマン第二王女も頷いている。
レンドランドの目から一筋の涙が流れた。
ミアというメイドしてミルアージュが残ったのは、アンロックのいく末を見届けたいというミルアージュの想い‥わがままだった。
バレる危険もあり、身を隠すのが一番よかったが、今までアンロックに尽くしてきたミルアージュの唯一の希望を宰相も軍部大将も止めることができなかった。
何かあれば自分たちが何が何でも守るつもりだった。
例え、命をかける事になっても‥
それが宰相、軍部大将の無罪の罪で裁かれるミルアージュへの償いだった。
レンドランドの王位の継承を見守ったら、ミルアージュはアンロックを出て行くつもりだった。
もう少しのところでクリストファーが全てをぶち壊してしまったが‥
ミルアージュはいったん言葉を詰まらせるが、レンドランドに伝えねばならないことがあった。
暗殺未遂からミルアージュはレンドランドから離された。
メイドとなってからもレンドランドは王位の継承に向けて多忙を極めており、なかなか近づくことができなかったのだ。
「それでもあなたが王になることがこの国の最善だと私達は思っているの。だから私が罪をかぶることにした。」
レンドランドもミルアージュに怒鳴った。
「そんなことはない!どうしてことを言うのです。同情ですか?」
レンドランドが怒鳴るなど、皆初めてみた。
感情的になるなとミルアージュもレンドランドも常に言われて育ってきたのだ。
王族として感情が前面に出るなどあり得ないこと。
だが、レンドランドには感情をむき出しにしている。
感情を抑え込みすぎて潰れそうになっている今のレンドランドには、感情を出すことが必要な事だとミルアージュは思った。
「‥違う。この国のことを考えた結論よ。」
きっぱりとレンドランドの言葉を否定する。
「私の悪評が拡がり過ぎている。レンドランドが存在している以上、王位継承権を自ら破棄しても私が裏で何かしたと考える者も多く出る。国民たちの気持ちがバラバラでは、せっかく安定してきた国力を落としかねない。」
「そして何より貴方が王となる方が今後この国は栄える。私の行った政策は国民が生きるための政策だけなのよ。」
そう、農業、医療や教育など国民が生きていくのに必要とする政策。
「これからは違う。皆の生活の質を高める政策が必要だと思っているわ。心と生活に余裕があれば、オシャレをしたり、食事にこだわったり、趣味を持ったり色んなことに気を回すことができる。それにより経済がさらに回る。」
皆が安心して笑うことができる、そんな国を作ることがミルアージュの夢だった。
それがこの国を守るために亡くなっていった者たちへの償いだ。
アンロックはこの先、きっとそうなっていくんだろうと期待できる国になった。
それを行うことができるのは自分ではないとミルアージュは考えていた。
「貿易などにも力を入れていく必要がある。レンドランドの強さは社交性が高く、誰からも愛されることであり、外交面では役立つものよ。そして真面目な貴方は、教養を一通り学んだわ。私みたいに偏った学びではない。今後の発展のためにそれらの教養は武器になる。私は国民を生かすための政策しか立てることができないのよ。」
ミルアージュは苦笑いをした。
そう、政務に追われて一般教養は切り捨てていた。
王族としてのマナー程度は学んだが、音楽もドレスもダンスも食事もどれもミルアージュには興味もなく、何が良いのかもわからないものだった。
わがまま王女の悪評もありすぎて、外交にも影響が出るのも間違いない。
レンドランドという存在がある以上、国のためミルアージュに王位をなんて考えられなかった。
「貴方のことも大切だけど、第一優先は国であり、民なの。この国をより発展させられる力を持った王にふさわしい者だ、自慢の息子だとお父様もずっと仰っていた。私もそう思っている。焦らなくてもいいのよ。全てを抱える必要はないの。あなたの周りには支えてくれる人たちは沢山いるのよ。」
ミルアージュの言葉に宰相も軍部大将、婚約者となるルーマン第二王女も頷いている。
レンドランドの目から一筋の涙が流れた。
ミアというメイドしてミルアージュが残ったのは、アンロックのいく末を見届けたいというミルアージュの想い‥わがままだった。
バレる危険もあり、身を隠すのが一番よかったが、今までアンロックに尽くしてきたミルアージュの唯一の希望を宰相も軍部大将も止めることができなかった。
何かあれば自分たちが何が何でも守るつもりだった。
例え、命をかける事になっても‥
それが宰相、軍部大将の無罪の罪で裁かれるミルアージュへの償いだった。
レンドランドの王位の継承を見守ったら、ミルアージュはアンロックを出て行くつもりだった。
もう少しのところでクリストファーが全てをぶち壊してしまったが‥
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