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クリストファーとブランが剣を向けあっている。

「バカな二人…」
ミルアージュが大きくため息をつく。

この二人が本気でぶつかれば、怪我どころの騒ぎじゃない。

決闘をするにもこの場は場違いだ。

王城内はクリストファーとブランのにらみ合いにさらにパニック状態となっている。

どうしようかしら?
ミルアージュはどうやってこの場を乗り切ろうか考えていた。

クリストファーには悪いが、ブラン優勢で終わって欲しい。

パニックになり慌てふためいている第一王子を後継者にしたらレンラグスは終わる。
ルーマンもアンロックも下手したら戦いに巻き込まれる。

それならば、優秀で友好関係が築けそうなブランが後継者になってもらいたい。
ミルアージュの頭の中は打算でいっぱいだった。

その為にはクリストファーが邪魔だった。どうすれば排除ができるのか…

にらみ合いの末、クリストファーが口を開く。

「お前は何がしたいんだ?」

「俺はこの国を良くしたい。こんな皆が苦しむような国は必要ない。」

ブランはクリストファーに答える。

「その為にミアが必要か?」

「ああ。」

「私も必要だ。だが、国の為ではなく愛する妻としてな。」

「何が言いたい?」

「お前にミアは渡せない。だが、お前が国を良くしたいというは協力してやる。だから、ミアを諦めろ。」

クリストファーはニヤリと笑う。

「国のためだけではなく、俺だってミルアージュを欲している。」

ミルアージュは国を一緒におさめていくパートナーとして優秀だ。
だが、それだけではない。

これから困難な道に進む。隣に立つのは信頼し支え合える者がいい。

そう真っ直ぐにブランはミルアージュを見つめる。
いつもの冷静なブランではない。熱のこもった瞳にミルアージュは驚いた。

「…ごめんなさい。私すごく打算的にあなたを見ていたわ。」

ミルアージュはブランの真剣な思いに罪悪感を感じ素直に謝った。

「いや、俺たちは似ている。ミルアージュに惹かれているのは事実だが、国かミルアージュかどちらか選べと言われたら国を選ぶ。」

目の前のバカは違うだろうがな。

そうね。

ブランとミルアージュは目だけで会話をし笑った。

ミルアージュだって国かクリストファーかと聞かれたら迷わず国を選ぶ。
ブランの考えは王族としては当たり前だ。

「いい加減にしろ。ミアを諦めるか俺と戦うかどっちを選ぶ?」

「はぁ、お前と戦いたくないな。しょうがない、今はミルアージュを口説くのは諦めるよ。」

「今は?これからずっとだろう。」
クリストファーは納得していない顔をしたが、ブランに剣ではなく握手を求めた。

「今はだな。ミルアージュがお前に愛想をつかす日がくれば俺がもらう。」

ブランはクリストファーの握手にこたえた。

これによりルーマンとレンラグスの国交が結ばれた。






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