わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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パーティーを出されたキュラミールは早足で自分の馬車に乗り込んだ。

「どうしてバレた?」
独り言を呟く。

国王から囁かれた言葉を思い返していた。

「私をはめたお前が救ってくれた者達を見下す事は許さない。」

国王はレンラグス第一王子に情報を渡したのがキュラミールの仕業だと気づいている。
あの顔は確信していた。

「だが、証拠はない。」
証拠があれば、あの場では言わず捕らえに来ていただろう。
牽制か?

あのクリストファー王太子の陰にいるだけの無能な王が。

ギリギリとキュラミールは歯ぎしりをした。
さっさと死ねばよかったのに…

クリストファー王太子も厄介だが、今後他国との外交に忙しくなることはわかっていた。

その為に情報を売ったのだから。
クリストファー王太子はレーグルトやレンラグスを相手にするしかない。
だから、外は任せて内政はキュラミール家が行なっていくつもりだった。

そうして完全に実権をとる日もそう遠くないはずだった。

国を滅ぼそうなど思った事はない。
それがこの国のためだとキュラミールは思っていた。

クリストファー王太子もあのミルアージュが嫁いできてから人が変わってしまった。
何でもあの女の言いなりだ。
何よりも…

先程ワインをぶつけられ冷たく見下されたのを思い出し怒りがこみ上げてきた。

この私にあのような事をしでかしてただで済むと思うなよ。

今、公になるわけにはいかないから見逃すが、待っていろよ。地獄に突き落としてやる。

ガタガタと揺れる馬車の中でキュラミールは今後の計画について考えていた。







国王の執務室でソファに国王とクリストファーが向かい合って座っている。

「落ち着いたか?」

「ああ。」
クリストファーはまだ放心しているが、何とか返事ができるくらいにはなっていた。

ミルアージュに拒絶された。
クリストファーの衝撃は大きかった。

「ミルアージュ妃は覚悟を決めたな。お前もさっさと覚悟を決めろ。お前がミルアージュ妃を守るのは無理だ。」

クリストファーは手をグッと握り、国王の言葉を聞いた。

「私は…ミアにただ幸せになってもらいたくて…」

国王はクリストファーに哀れむような視線を向ける。

「そうだな、ルーマンがここまでなったのは私の責任だ。まさかここまで早く崩れるとは思っていなかった。」

最強と言われていたクリストファーが外交をし、他国を牽制していた。
国王は内政を中心に行なっていた。

クリストファーならもっと早く現状に気づき対応できたかもしれない。
貴族達がこんな風に力を持ち、国を衰える原因になると予測できなかった自分の愚かさを国王は悔やむしかなかった。

だから責任をとるつもりだ。
私の代で解決する。命をかけても…

キュラミールは牽制しておいたしな。
プライド高いあの男の怒りがミルアージュ妃ではなく私に向いてくれたらいいが。

クリストファーは本当にミルアージュ妃が絡むとダメだなぁ。
だが、この国に来てくれたのがミルアージュ妃でよかった。

自分が死んでもクリストファーを導いてくれる。
安心して任せられる。

「まだ死ぬなよ。ミアが悲しむ。」

クリストファーが私にそんな言葉を向けるなんて思わず、思わず固まってしまった。
いつでもミルアージュ最優先の考え方は変わらないクリストファーにクスリと笑いが出る。

「ハハッ、私はそんなにわかりやすいか?そうだな、王妃とのんびり隠居したいからもう少し長生きはしたいかな。」

クリストファーに悩まされながら生きてきたが、ミルアージュ妃の影響を受けてこの国を任せられるくらいになっている。

子は成長するものだとしみじみと国王は思った。
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