119 / 252
119
しおりを挟む
「ミルアージュ様…これからどうされるつもりですか?」
アビーナルは聞きたいような聞きたくないようなそんな複雑な思いを持ちつつミルアージュに聞いた。
「そうね、2週間ではなく2ヶ月後に来てもらいましょう。」
「2ヶ月?この状態が2ヶ月ずっとですか?」
アビーナルの顔色が変わった。
「レーグルトはまだ動きそうにないし、この街の再建をもう少ししてもいいでしょう?」
ニコニコと笑いながらミルアージュが言う。
「ですが、この街の評判は王都にまで届いています。領主が動き出すのも時間の問題です。」
領での運営がうまくいっていれば領主は味をしめて税を上げる事が目に見える。
そうなる前に王城からの使者や軍部が到着し無理な取り立てをしないようにしておきたいとアビーナルは思っていた。
「クリスと連絡が取れるのでしょう?第三部隊はここにくる前に寄り道をして来るように伝えてちょうだい。」
アビーナルはミルアージュの笑顔がだんだん怖いものに見えてきた。
「それを私に伝言しろと…殺されます。」
クリストファーの威圧感は日に日に増していた。そのうち誰かを殺すのではないかと思わせるほどに。
そんな中、アビーナルからの手紙が届けば…火を見るよりも結果は明らかだ。
「大丈夫、私からの伝言だといえばあなたが責められることはないわ。」
「ミルアージュが直筆で書いてください。代筆など無理です。」
命がかかっているのだからアビーナルも譲るわけにはいかなかった。
「もうしょうがないわね。」
ミルアージュが折れたが、ミルアージュの手紙の内容を見てアビーナルは後悔した。
『第三部隊は領地外待機。クリスが来るのは絶対に許さない。』
ミルアージュの手紙は軍で使う報告の内容と同じ書き方だった。
「…ミルアージュ様、これは数ヶ月会えなかった愛する夫に向けての手紙でしょうか?」
恐る恐るアビーナルは聞いた。
「そうよ?ちゃんと大事に届けてね。」
ミルアージュから預かった以上見なかった事もアビーナルが書き直す事もできない。
クリストファーの疲れ切った顔が真っ青になるのが容易に想像できる。
「ミルアージュ様はクリストファー様に嫌われるという概念がないのですね。」
愛する妃が失踪して数ヶ月ぶりにもらった手紙がこれだったら普通は怒るだろう。
アビーナルだって愛しの妻からこんな手紙をもらいたくない。
「…クリスがこの程度の扱いで私の事を嫌いになるのなら、もうとっくの昔に嫌われているわよ。」
ミルアージュは冷静沈着だと思っていたアビーナルの表情がコロコロと変わる様子をおもしろくみていた。
「これ以上の扱いをしていたのですか?」
ミルアージュは少し考えてから答える。
「そうね、何年も完全無視をしていたし、クリスの意向など聞いたこともないわ。アンロックでは要注意人物だったから私との面会すらできない時も多かったし、できても必ず付き添いがいたわね。」
アビーナルは自国の王太子であるクリストファーを不憫に思った。
ミルアージュは優秀だが、クリストファーに冷たい。
それは前からわかっていたが、無視をされても思い続けられるクリストファーの忍耐を素直にすごいと思った。
「クリスがかわいそうだと思う?」
アビーナルは遠慮気味に頷いた。
「私もそう思うわ。」
ミルアージュはアビーナルから視線をずらし、何かを隠したいように後ろ向きになった。
アビーナルは聞きたいような聞きたくないようなそんな複雑な思いを持ちつつミルアージュに聞いた。
「そうね、2週間ではなく2ヶ月後に来てもらいましょう。」
「2ヶ月?この状態が2ヶ月ずっとですか?」
アビーナルの顔色が変わった。
「レーグルトはまだ動きそうにないし、この街の再建をもう少ししてもいいでしょう?」
ニコニコと笑いながらミルアージュが言う。
「ですが、この街の評判は王都にまで届いています。領主が動き出すのも時間の問題です。」
領での運営がうまくいっていれば領主は味をしめて税を上げる事が目に見える。
そうなる前に王城からの使者や軍部が到着し無理な取り立てをしないようにしておきたいとアビーナルは思っていた。
「クリスと連絡が取れるのでしょう?第三部隊はここにくる前に寄り道をして来るように伝えてちょうだい。」
アビーナルはミルアージュの笑顔がだんだん怖いものに見えてきた。
「それを私に伝言しろと…殺されます。」
クリストファーの威圧感は日に日に増していた。そのうち誰かを殺すのではないかと思わせるほどに。
そんな中、アビーナルからの手紙が届けば…火を見るよりも結果は明らかだ。
「大丈夫、私からの伝言だといえばあなたが責められることはないわ。」
「ミルアージュが直筆で書いてください。代筆など無理です。」
命がかかっているのだからアビーナルも譲るわけにはいかなかった。
「もうしょうがないわね。」
ミルアージュが折れたが、ミルアージュの手紙の内容を見てアビーナルは後悔した。
『第三部隊は領地外待機。クリスが来るのは絶対に許さない。』
ミルアージュの手紙は軍で使う報告の内容と同じ書き方だった。
「…ミルアージュ様、これは数ヶ月会えなかった愛する夫に向けての手紙でしょうか?」
恐る恐るアビーナルは聞いた。
「そうよ?ちゃんと大事に届けてね。」
ミルアージュから預かった以上見なかった事もアビーナルが書き直す事もできない。
クリストファーの疲れ切った顔が真っ青になるのが容易に想像できる。
「ミルアージュ様はクリストファー様に嫌われるという概念がないのですね。」
愛する妃が失踪して数ヶ月ぶりにもらった手紙がこれだったら普通は怒るだろう。
アビーナルだって愛しの妻からこんな手紙をもらいたくない。
「…クリスがこの程度の扱いで私の事を嫌いになるのなら、もうとっくの昔に嫌われているわよ。」
ミルアージュは冷静沈着だと思っていたアビーナルの表情がコロコロと変わる様子をおもしろくみていた。
「これ以上の扱いをしていたのですか?」
ミルアージュは少し考えてから答える。
「そうね、何年も完全無視をしていたし、クリスの意向など聞いたこともないわ。アンロックでは要注意人物だったから私との面会すらできない時も多かったし、できても必ず付き添いがいたわね。」
アビーナルは自国の王太子であるクリストファーを不憫に思った。
ミルアージュは優秀だが、クリストファーに冷たい。
それは前からわかっていたが、無視をされても思い続けられるクリストファーの忍耐を素直にすごいと思った。
「クリスがかわいそうだと思う?」
アビーナルは遠慮気味に頷いた。
「私もそう思うわ。」
ミルアージュはアビーナルから視線をずらし、何かを隠したいように後ろ向きになった。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
七日後に神罰が落ちる。上層部は「下を切り捨てろ」と言った——私は全員を逃がす
蒼月よる
ファンタジー
七日後、この港に神罰が落ちる。
追放された元観測士イオナだけが、その事実を知っていた。
しかも災害は自然現象ではない——誰かが、意図的に引き起こそうとしている。
港の上層部はすでに手を打っていた。「下層区画を緩衝被害区として切り捨てる」秘密契約。被害を最小限に見せかけ、体制を守る冷徹な計画だ。
イオナは元護送隊長ガルム、荷運び組合長メラとともに動き出す。
犯人を暴き、証拠を公開し、住民を逃がし、工廠を止める——すべてを七日で。
被害を「選ぶ」管理か、全員を「残す」運用か。
追放観測士の、七日間の港湾カウントダウン・サスペンス。
この作品は以下の箇所にAI(Claude Code)を利用しています。
・世界観・設定の管理補助
・プロット段階の壁打ち
・作者による執筆後の校正
好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】
皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」
「っ――――!!」
「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」
クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。
******
・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
婚約破棄された公爵令嬢は虐げられた国から出ていくことにしました~国から追い出されたのでよその国で竜騎士を目指します~
ヒンメル
ファンタジー
マグナス王国の公爵令嬢マチルダ・スチュアートは他国出身の母の容姿そっくりなためかこの国でうとまれ一人浮いた存在だった。
そんなマチルダが王家主催の夜会にて婚約者である王太子から婚約破棄を告げられ、国外退去を命じられる。
自分と同じ容姿を持つ者のいるであろう国に行けば、目立つこともなく、穏やかに暮らせるのではないかと思うのだった。
マチルダの母の祖国ドラガニアを目指す旅が今始まる――
※文章を書く練習をしています。誤字脱字や表現のおかしい所などがあったら優しく教えてやってください。
※第二章まで完結してます。現在、最終章をゆっくり更新中です。書くスピードが亀より遅いので、お待たせしてすみませんm(__)m
※小説家になろう様にも投稿しています。
砕けた愛
篠月珪霞
恋愛
新婚初夜に男に襲われた公爵令嬢エヴリーヌは、不義密通の罪を被せられた。反逆罪に問われた彼女の一族は処刑されるが、気付くと時間が巻き戻っていた。
あなたへの愛? そんなものとうに、砕け散ってしまいました。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる