わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「少し見ない間に大人になったな…」
クリストファーがレンドランドにしみじみと言う。
頭をなでなでとするのではないかと思われる態度だった。

「クリストファー!!お前はもうここから出て行ってくれ!衛兵クリストファーを連れ出せ!」
ルーマン国王は沸点を超えクリストファーに怒鳴った。

クリストファーは全く気にしていないように立っているが、衛兵達は本当にこの場から連れ出して良いかわからずオロオロしていた。
クリストファーが王の命令を拒めば衛兵の中でクリストファーに敵う者はいない。
下手をすれば怪我。それでなくても軍部を取り仕切っているのはクリストファーだ、クビになる恐れもあった。
だが、王の命令は絶対…
その葛藤の中にいて対応が遅れていた。

「ルーマン国王、私の事なら気にしないでいいですよ。クリストファー殿は昔から変わらないから慣れているので。父上にもこの態度でしたしね。」
レンドランドは静かに話しているが、ルーマン国王の衝撃は大きかった。

「昔からこの態度なのか…?お前、同盟国の国王にも無礼だったのか…」
レンドランドの一言にルーマン国王は反応してミルアージュを見た。

ミルアージュは視線を逸らす。
ルーマン国王が知らないだけでクリストファーがアンロックでの言動は目に余るものだったのは事実だから。

「ミルアージュ妃…そんなにひどかったのか?」
ルーマン国王はミルアージュから視線を逸らされただけでどのような状況だったのか感じ取った。

「王城内の不法侵入どころか姉上の部屋へも勝手に入った事もあるし、姉上の護衛を倒して軍部大将がブチ切れたり、父上にも向かって国王を止めろとも言っていたそうですね、クリストファー殿。」
ここぞとばかりに指を立てながらクリストファーの悪行をレンドランドはルーマン国王にバラした。

チッとクリストファーは舌打ちをした。
レンドランドはまだ小さくて知らなかった事も宰相、軍部大将より申し送られていたのがわかりアンロック宰相を睨む。

アンロック宰相も慣れたものでクリストファーの殺気を含んだ睨みを軽く無視した。

「レンドランド、もうやめなさい。」
ミルアージュはいつまでも続けそうなレンドランドを止めた。
ルーマン国王の血の気は完全に引いて呆然としていた。

「お前がアンロックに拒否されて同盟破棄になったのではないだろうな?」
ルーマン国王は恐る恐る聞いた。

「そんな訳ないだろう。それだったらとっくの昔に同盟など破棄されている。大体、警備や護衛が甘過ぎたんだ。ミアを守りきれないだろう?それを教えただけだ。」

クリストファーは当たり前だという顔をしている。

「クリストファー殿自身が今回の件に関係ないのは間違いないが、この国に連れてきたタイミングが悪かった。姉上の悪評を払拭できずに今に至っています。母上の謝罪や私の発言では解決できませんでした。」
レンドランドは言いにくそうにミルアージュを見ながら言う。

「…レンドランド王、それを今言う必要があるのか?責めるのなら私だろう?」
クリストファーはミルアージュのそばに寄り守るようにギロリとレンドランドを睨んだ。
ミルアージュの性格を知っているレンドランドが責めるような発言をするのに苛立ちを隠せない。

「もちろんありますよ。姉上、アンロックに戻っていただけますか?そして…」
レンドランドの言葉にクリストファーは殺気を一気に爆発させた。

「何を言っている?ミルアージュはルーマン王太子妃だ!この国を離れる事は私が許さない!」

「クリス、少し黙って。レンドランド王の話はまだ終わってないわ。あなたも前に私をアンロックに戻そうとしてたでしょう?」
ミルアージュは静かにクリストファーを抑える。

「だが…今アンロックに戻ると言うのは…」
あの時とは違うとクリストファーは言いたかった。
それはミルアージュと両思いになって初めての時間なのに…
まだ二人の時間も過ごせていないのに。

そう言おうと思ったが、クリストファーはその思いをのみ込んだ。

だいぶ空気が読めるようになったクリストファーは今この場でそう発言すれば間違いなくミルアージュの反感を買う。
国の危機と夫婦の時間を並べて考えるなどミルアージュが受け入れられないのだから。

「クリストファー殿、心配はいりません。あなたもアンロックに共に来てもらいますから。来るなと言っても来るでしょうけどね。」
レンドランドはクリストファーの思いを察しているかのようにため息をつきながら言った。
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