わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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アンロックの王城にミルアージュとクリストファーが着き、馬車をおりるとレンドランドを迎えにきていた大臣達がざわついた。

「どうしてミルアージュ様が…」

「ルーマンとは同盟もないのにクリストファー王太子がなぜいるんだ!」

それらの声を無視してミルアージュはクリストファーにエスコートされ王城内に入る。

誰も止めることができないのはレンドランド王と共にいるからだ。

アンロック王城に入ることが当たり前のように振る舞う二人に対し何が起こっているのかわからず大臣達は対応が遅れた。

「今日はルーマン王太子クリストファー殿とミルアージュ姉上が来ている。皆、謁見の間に集まるように。話したいことがあるのだ。」
レンドランドは声高らかに大臣達へ宣言した。

「今すぐですか?無理ですよ!」
慌てている者達がレンドランドを止めようとした。

「なぜ無理なのだ?国政に関わる者は前もって呼んであっただろう?今すぐ謁見の間に呼べ。」
レンドランドは先ほどの声とは明らかに違う不機嫌そうな低い声を出した。

その声に反応したのは外務大臣だった。
「はい、わかりました。私が迎えに行きましょう。」

外務大臣が頭を下げてレンドランドから離れようとするとレンドランドはすぐに止めた。

「其方は行かずにここにいろ。衛兵、皆を謁見の間に呼べ。一人残らずだ。王命だと伝え仕事は中断させろ。」

普段穏やかなレンドランドが大臣達に対してこんなふうに対応するのをミルアージュは初めて見た。
レンドランドが王命として伝えたならば、仕事中であっても絶対に集まらなければならない。

レンドランドの後ろに控えていた大臣達は顔を見合わせて何かを相談していた。

「よほど呼ばれたくはないようだな?」
クリストファーがミルアージュにコソッと声をかけるが、ミルアージュは上の空だった。

ミルアージュの知っているレンドランドは優しくて穏やかな真面目な子。

いつまでも子どもじゃない。
クリストファーの言葉をミルアージュは今日実感した。

レンドランドの王としての威厳ある態度にミルアージュは感動して涙を浮かべた。

「ミア?どうした?」
クリストファーがミルアージュに耳打ちをする。
こんな場面でもクリストファーはミルアージュが涙を浮かべたのにすぐ気づいた。

「ううん、クリスの言う通りだったなと思って。レンドランドは立派なアンロックの王ね。」

「ああ、あの甘タレ坊主が結構やるもんだ。ミアの心配が吹き飛んで良かった。これで心置きなくルーマンに戻れるな。」

クリストファーは嬉しそうに言った。

「アンロック王に失礼よ。大体何を言っているのよ。今からが本番でしょう?」
ミルアージュはレンドランドの悪口を言われ言い返した。

「いや、もう半分以上終わったようなものだな。」
クリストファーはルーマンに帰るのが早まるだろうと確信した。

「まぁ、先制攻撃は効いているわね。」
それに関してはミルアージュも同意見だった。

「怪しい奴らはピックアップできたし、口裏合わせももうできない。衛兵の動きを見ると最初から決められた茶番なんだろうな。あの真面目一辺倒がこんな罠を張ったことに驚いた。」
クリストファーは面白そうに話す。

クリストファーは裏をかく戦略を得意とするだけにレンドランドの考えはお見通しのようだ。

「素質あったんだな。一気にたたく気だろう、面白い。来てよかった。」
クリストファーは目の前で大臣達が衛兵によりバラバラに引き離されるのを笑いながら見ていた。

側から見ればクリストファーのその態度は恐ろしく見えているのがミルアージュにもわかった。

クリストファーは最強、賢王の器と各国で噂されている。
アンロック内だって同じだった。
個人の実力だけなら飛び抜けている要注意人物だ。

ただでさえアンロックはルーマンの同盟破棄をしている。
それなのにクリストファーがこんな混乱の中、嬉しそうに笑っているのだ。

何か企んでいると思われても仕方がないだろうとミルアージュは思った。




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