わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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意識のないルービオは噛んで飲み込む事はできない。
元々クリストファーの媚薬対応用だ。
その薬は、意識があるのを前提に作られている。

ミルアージュは商店の方に向かった。

「コップとお水もらえる?」
ミルアージュに声をかけられ、商人はビクッと後ずさった。

時間がないんだけど、誰か貸してくれる人いないかしら?
ミルアージュは周囲を見渡したが、誰もミルアージュと目を合わせない。

ここでミルアージュに協力すれば、反逆と捉えられる可能性があるからそれを恐れて誰も動けないでいた。

「お姉さん、これ使って!ルービオ様を助けて」
小さな女の子がコップに入った水を持ってきてくれた。

きっとこの子は後先のことなど考えてない。
でも、ありがとう…あなたを罰する事は絶対にさせないから。
ミルアージュはそう誓ってコップを受け取った。

「ありがとう。絶対に助けるからね。」
ミルアージュは女の子にニッコリと笑って頭を撫でた。

コップの中に手で解毒剤を割って入れる。
解毒剤が完全に溶けたのを確認してルービオの口元に持っていった。

まだ飲み込めたらいいけど…

ルービオを起こして口に薬を入れるとコクリと飲み込むのが見えた。

「ルービオ、聞こえるならこれを全部飲み込んで…解毒剤だからすぐに良くなるから。」

ゆっくりゆっくりと薬を口に入れていく。
コクリ、コクリと飲み込むルービオにミルアージュはホッと胸を撫で下ろした。

「大丈夫か、そいつ。」
すぐ後ろでクリストファーが座り込んでルービオの顔を覗き込んできた。

「ええ、すぐに話せるようになると思うわ。」
周りの衛兵達は皆、倒れているのがミルアージュにも見えている。

「でも、クリス。そいつ扱いはしないで。この子、女の子なんだから…」
周囲の領民達に聞こえないくらい小さな声でクリストファーの耳元でささやいた。

「はっ?どう見たって少年だろ」
クリストファーは驚いてルービオの顔をじっと見る。

「私も最初はそう思ってたけど、実際に近くで見るとわかるわ。」

「そうか?」
クリストファーはルービオの顔を見ながら首を傾げる。

金髪の髪は平民の女の子にしては短いショート。
着ている服は明らかに男の子が着るズボンスタイルだった。

だけど、触ってみると女の子ならではの骨格と柔らかさを兼ね備えていた。

胸も何かを巻いて押さえつけてるみたいだし…

どうして男の子の格好をしているのかはミルアージュにはわからないが、必死に頑張って生きてきたのはわかる。

女の子であるはずのルービオの手は剣だこができており、皮膚も硬くなっていた。

女性の社会進出が進んでいないルーマンで女子に剣を教えるのが普通でない事もミルアージュは知っていたから。

「ルービオ様」
あんなに小さな女の子ですらそう呼んでいた。

ルービオという男の名を持つ彼女はこの領主に関係した貴族なのだろう。

「目が覚めた?」
ミルアージュはルービオに話しかける。

「…はい。」
小さな声でルービオは答えた。

ミルアージュは呼吸と脈を確認して顔を緩めた。

「よかったわ、もう大丈夫。動けるまでにはまだ時間が少しかかるからそれまで休めるところに移動しましょう。」

ミルアージュはルービオを支えて自分達の宿に移動しようとした。

ルービオはそんなミルアージュを手で押し、震える足でミルアージュと距離を取ろうとする。

「急に動くのは無理よ。」
ミルアージュは倒れそうになるルービオを支えながら言う。

「いえ、大丈夫です。私の面倒を見たとバレれば皆が罰を受けます。」
自力で立つ事もできない少女は青い顔をしながらフラフラと歩き始めた。

「…」
毒が抜け切らなくてまともに歩く事もできないのに…
どうしてこんなに必死に領民を守ろうとするの?

「ミア、ルービオという名はここの領主の次男として出生提出されている。」
クリストファーがミルアージュの耳元で囁いた。

「は?」
じゃあ、ルービオに毒を盛ったのは家族?
しかもナイフで刺せなんて…

そもそもどうして次男なの?

ミルアージュは青白い顔をしながらも必死に歩き出そうとする少女ルービオを見つめた。



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