わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「相変わらずミルアージュ殿の事となると察しがいいな。その野生じみた勘の良さはクリストファー殿の良さだろうな。」
 
「あなたにそう言われても嬉しくない。さっさと用件を言ってください。」
クリストファーはマカラックを睨み続ける。
 
「本当にミルアージュ殿のこととなると余裕がない。まぁ、いい。今日の夜は私がミルアージュ殿と領主の城に侵入する事になった。クリストファー殿はゆっくりしていていいぞ。」
 
「私が一緒に行く事になっています!」
マカラックの言葉を受けてクリストファーは机をバンと叩き、椅子から立ち上がった。
 
「私が行くほうがミルアージュ殿は安全だ。何より私の力の方が早く事が進む。」
 
ルーマン国王が拘束されていた時、聖力を使いミルアージュを助けたのをクリストファーも知っている。
それは普通の人では絶対に真似できない方法だという事も。
そう言われるとクリストファーは言い返す事ができず、机についた手をギュッと握った。
 
「こんな場面ですら自分がミルアージュ殿のそばにいたいのか?それとも自分が役立つ人間であるとミルアージュに見せたいのか?合理的な判断もできず、情けないな。」
マカラックはクルストファーの怒りのこもった視線を見返しながら言葉続けた。
 
「大体、先ほど揉めたばかりではないか。少し距離を置いてみてはどうだ?ミルアージュ殿が人を救わねばという思いとそんなミルアージュ殿を幸せにしなければというそなたは私から見れば同じだ。それなのにミルアージュ殿を責める資格はあるのか?」
 
「ミアと一緒…」
散々ミルアージュに苦言を呈してきたのと同じだと?
マカラックからの言葉はクリストファーの胸に突き刺さる。
それが驚きなのか、痛みなのか、それすらクリストファーにはわからなかった。
 
ミアに執着しすぎだというのは自覚しているし、ミアへの想いは他者から見れば異常だと知っている。
誰に言われようと変える事ができない私の唯一の望みだ。
それがミアと同じ…無理をしているというのか?
 
「いい加減に目を冷ましたらどうだ?ミルアージュ殿を幸せにしなければならないというそのトラウマのような脅迫概念で自分を縛っている事にどうして気が付かない?」
 
「私が自分を縛っている?」
クリストファーはマカラックの言葉を繰り返した。
クリストファーの顔は青ざめ、目の前にいるマカラックですら視界に入っていないようで焦点があっていなかった。
 
そんなクリストファーをマカラックは黙って見つめていた。
 
マカラックはずっと二人を見ていた。
以前二人に力を授けた事があり、マカラックの精神と完全には切れていなかったため、二人がどんな風に考え生きているのかが手に取るようにわかった。
 
ミルアージュは少しずつだが、自分の気持ちに折り合いをつけ変わろうとするその変化を歓迎していた。
だが、それを受けとめる側であるクリストファーが今までと全く変わらない思いに囚われミルアージュと接する。
それはクリストファー自身も自覚をしていないクリストファーの心の闇が関係しているのがマカラックにはわかっていた。
 
クリストファーにとって全ての基準はミルアージュを傷つけない事、苦しめない事だ。
何かあれば自分がすべて対処すれば良いと考えている。
そのために自分が傷ついても、自分の手がどれほど汚れてもよいとさえ思っている。
クリストファーはそのためだけに力を蓄えて今の地位にいる。
いや、そうやって生きている。
 
そんなクリストファーを見てマカラックは不憫に思った。
 
「自分の幸せとは何かを考えて見てはどうか?ミルアージュ殿を幸せにするのが幸せというのはなしだ。」
マカラックはクリストファーに言う。
 
「自分の幸せ…」
それはミアを笑顔にする事。幸せにする事。
それ以外に何がある?
それ以外は考えた事もなかった。
 
「早く考えた方がいいと思うぞ。時間がないからな。」
 
「…?」
マカラックの言っている意味がクリストファーにはわからなかった。
 
「さっきクリストファー殿に見せた光の玉は過去を映し出せる亜空間だ。そこにミルアージュ殿を招待した。何を見ていると思う?」
マカラックはニヤリと笑う。
 
「過去を映し出せる?」

ミルアージュの辛い過去を思い起こさせるような事をマカラックはしないとわかっている。

なんの過去をミルアージュに見せている?

マカラックがなぜそんな事をするのか、クリストファーはマカラックの行動の意図をつかめずにいた。
 
「ああ、ミルアージュ殿は今、過去を見ている。ミルアージュ殿がクリストファー殿に黙って見る事はできないと言うからな、一応これも事後報告をしておくよ。今ミアージュ殿が見ているのは…そなたの視点から見た過去のミルアージュ殿だ。」
 
「!!」
クリストファーは目を見開いてマカラックを見た。
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