わがまま妃はもう止まらない

みやちゃん

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「本当にミアが泣いた原因はわからないのか?」
クリストファーは少し頭を冷やしたのちにルンバートを訪ねた。
頭を冷やした‥はずなのだが、ルンバートを睨むクリストファーから殺気が漏れている。

「私は何もしていません。」
ルンバートは慌てて答えた。

「そんなことはわかっている。だが、ミアに何かがあったのは間違いない。」

クリストファーはルンバートに食ってかかる。

ルンバートを首を傾げ、少し考えた後に首を横に振った。

「いくら考えても分かりませんね‥クリストファー様が裏で何かしたと疑っていても確信はないはずです。だから、私のところに確認にこられたのですから‥」

「だが、お前と会った後に目を腫らしていた。何もなかった筈がない。」

「‥何か?」
ルンバートはミルアージュとの会話を思い出しながら考え込んだ。

「あぁ、ランケットの毒に侵されたご友人が妊娠できるのかと聞かれました。」
ルンバートがミルアージュとの会話で思い当たったのはそれだけだった。

クリストファーが首を傾げた。
ランケットの毒?
レンラグスのマリア王女の事を言っているのか?

「で、なんて答えた?」

「わからないと答えました。ランケットの毒を飲んで生き残るの自体が稀なのです。その上、妊娠できるくらいの若い女性となると更に人数は減るでしょう。現時点で子どもを産んだという報告はまだありません。」
ルンバートは正直に答えたが、何か引っかかるものを感じた。

それはクリストファーも同じだった。

ミアがマリア王女を思い泣いたのか?
ミアは優しい。
だが、それが涙を流すくらい辛い事だったのか?
医者で毒にも詳しいミアならある程度、予想はできていたはずだ。

自分の内面に抱え込んで、感情を押し殺すミアが涙を流すくらいに感情が揺れる出来事なのか?

クリストファーはなぜかわからないが、モヤモヤしたものを感じた。

クリストファーの勘はよく当たる。
ミルアージュに関してなら百発百中。
これは自他ともに認めるクリストファーの特技だ。

「何か嫌な予感がする‥」
自分の知らないところで何かが起こりそうな気がしていた。

「そんなに気になるのなら私も注意しておきましょう。」
ルンバートも真顔で答える。

ルンバートはクリストファーという王太子を信用していない。
アンロックの頃から知っているだけに関わり合いになるのを避けたい人物だった。

だが、姫様の事に関しては別だ。
誰よりも姫様が傷つくのをおそれ、敏感に感じ取っていたし、それを排除する為なら全てを犠牲にしていた。
姫様の為になら命すらかけるとルンバートは思っている。

そんなクリストファーが不審に思っているのなら、姫様も何か人に言えない悩みを抱えているのだろう。

姫様は元々誰かに相談するタイプではない。
誰よりも優しく繊細な姫様。
何に心を痛めているのだろうか。

「あぁ、助かる。医者であるおまえの方が私よりミアの助けになるかもしれない。私にできることがあれば、言ってくれ。何でもする。」
クリストファーはルンバートの言葉に少しホッとした表情を浮かべた。

この時、クリストファーもルンバートも忘れ去っていたのだ。

マリア王女以外にもランケットの毒を飲んだ者がいたことを‥
思い出していたなら、きっと対応は変わっていたはずだ。

ミルアージュがなぜ、妊娠について質問したのかの意味を‥。


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