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【第7話】焦れた心、そして兄上たちとの初対面
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訓練場の一件から三日が経った。
あれから毎日、グラヴィスからは愛を綴った手紙や贈り物が届いている。
しかし、本人には「多忙」を理由に会えていない。──推しが足りない……!
なんだか、絶対にグラヴィスは誤解してる。すれ違ってる気がするのよね。
このまま結婚までジレジレしたままなんて、嫌。
だったら、私のほうからもっと積極的に攻めるしかない!
もともとグラヴィスは、ジェニエット(つまり私)に嫌われていると思っていたのだから、
わかりやすくアプローチしないと、気持ちなんて伝わらないよね!
そう決意を新たにする。
──もっとグラヴィスのために、おしゃれして。
ちょっと色っぽいドレスを着て。
婚約者なんだから、少しぐらいボディタッチしてもいいわよね♡
あとはちゃんと言葉で、「好き」って何度も伝えなきゃ!
そんなことを部屋で考えていると、メアリーが声をかけてきた。
「カーティス皇子殿下とドミニク皇子殿下、アドニス皇子殿下が入室をお待ちです。お通ししてよろしいですか?」
「お兄様たちが!?」
そういえば、ジェニエットには三人の兄がいた。
第一皇子カーティス(22歳)、第二皇子ドミニク(20歳)、第三皇子アドニス(19歳)。
確か──第一皇子カーティスとは母親が違うけれど、仲の良い兄妹だったはず。
けれど、後に母親同士の権力争いが原因で、皇位を巡って殺し合うことになるのよね……。
(なんとかならないかしら……?)
三人は帝国の配下国への視察から戻ってきたばかりらしい。
そんなことを考えながら、「えぇ、入ってもらって」と返事をした。
そして扉が開かれる。
眩いばかりの光の中に立っていたのは──まるで芸術品のような三人の皇子たちだった。
カーティスお兄様は金髪碧眼の正統派皇子。
ドミニクお兄様は黒髪長髪に赤い瞳を持つ、中性的な美貌の持ち主。
アドニスお兄様は銀色の髪を短く刈り上げ、澄んだ青の瞳が印象的な雄々しいイケメン。
それぞれが、思い思いに声をかけてくる。
「ジェニエット! 頭をぶつけて意識を失ったって聞いて心配してたよ。元気そうで何よりだ。相変わらず今日も、美しいね。僕の銀月の姫君」
「あの蛇のような男──グラヴィスは来ていないのか?」
「お前の好きなお菓子を土産に持ってきたぞ」
次々と甘やかしてくるお兄様たちに、思わず苦笑してしまう。
そういえば、ジェニエットの兄たちは筋金入りのシスコンだって、小説で書いてあったな……。
グラヴィスを“蛇”呼ばわりするし……。
というか、こんなに美しい皇子たちに囲まれて育ったら、ジェニエットの美意識もそりゃ上がっちゃうよねぇ。
──まぁ、私は断然グラヴィスの方が格好いいけど♡
私は軽く肩を正し、にっこりと微笑んだ。
「お兄様方、わざわざお越しくださって……ありがとうございます」
私がそう言うと、お兄様方は一瞬でメロメロになった。
ドミニクが眉をひそめて言う。
「最近、お前とグラヴィスが仲良くしていると噂で聞いた。あんなに泣いて嫌がっていたのに……。母上に何か言われたのか?」
他の兄たちも同じような顔をしている。
心配してくれているのだろう。だからこそ、伝えねば──この想いを!
「いいえ! お兄様! グラヴィス様は素晴らしいお方です!
最近になって、やっとあの方の魅力に気づいたのです!」
私は拳を握りしめ、熱く語り出した。
いつもお淑やかで泣き虫な妹姫の突然のテンションに、兄たちは明らかに引いている。
「急にどうしたんだ! 頭を打っておかしくなったのか?」と、アドニスが困惑気味に尋ねた。
「おかしくなってなどおりません!」
私は胸を張って言い切る。
「ただ気づいたのです。グラヴィス様の……大人の男性の魅力に♡
長身で鍛え上げられた逞しい体。漆黒の髪に、切れ長で琥珀の美しい瞳。
外交も内政も、軍略も、宮廷運営も……あらゆる分野で卓越した才覚をお持ちの、完璧なお方だということに♡」
カーティスが引きつった顔で言った。
「ジェニエットがそれで良いなら、私は何も言わないが……。無理をしているわけではないのだな?
嫌なら、私から父上に上奏しても構わんのだぞ?」
「いいえ!」私は勢いよく首を振った。
「私はグラヴィス様が良いのです! これは私の意思であり、母上のためではございません!
お兄様方も、どうか母上のお言葉に縛られませんように!
ご自身の意思で──ずっと仲良し兄妹でいましょう!」
私の真っ直ぐな言葉に、お兄様たちは虚を突かれたように目を見開いた。
そして、ふっと笑う。
「ジェニエット、変わったね。……そうだね。ずっと仲良し兄妹でいよう」
「あぁ、母上たちの権力争いに巻き込まれるのはごめんだ」
「大人になったな、ジェニエット。俺たちも見習わないとな!」
三人の笑顔に、胸がじんわりと温かくなる。
久しぶりの兄妹の再会は、穏やかで──そして何より、あたたかい時間だった。
---
(あとがき)
今回はジェニエットとお兄様たちの初対面シーンでした✨
皆さんはどの兄上が印象的でしたか?
それぞれのリアクションやジェニエットの思い、ぜひコメントで教えてくださいね!
次回もお楽しみに♡
あれから毎日、グラヴィスからは愛を綴った手紙や贈り物が届いている。
しかし、本人には「多忙」を理由に会えていない。──推しが足りない……!
なんだか、絶対にグラヴィスは誤解してる。すれ違ってる気がするのよね。
このまま結婚までジレジレしたままなんて、嫌。
だったら、私のほうからもっと積極的に攻めるしかない!
もともとグラヴィスは、ジェニエット(つまり私)に嫌われていると思っていたのだから、
わかりやすくアプローチしないと、気持ちなんて伝わらないよね!
そう決意を新たにする。
──もっとグラヴィスのために、おしゃれして。
ちょっと色っぽいドレスを着て。
婚約者なんだから、少しぐらいボディタッチしてもいいわよね♡
あとはちゃんと言葉で、「好き」って何度も伝えなきゃ!
そんなことを部屋で考えていると、メアリーが声をかけてきた。
「カーティス皇子殿下とドミニク皇子殿下、アドニス皇子殿下が入室をお待ちです。お通ししてよろしいですか?」
「お兄様たちが!?」
そういえば、ジェニエットには三人の兄がいた。
第一皇子カーティス(22歳)、第二皇子ドミニク(20歳)、第三皇子アドニス(19歳)。
確か──第一皇子カーティスとは母親が違うけれど、仲の良い兄妹だったはず。
けれど、後に母親同士の権力争いが原因で、皇位を巡って殺し合うことになるのよね……。
(なんとかならないかしら……?)
三人は帝国の配下国への視察から戻ってきたばかりらしい。
そんなことを考えながら、「えぇ、入ってもらって」と返事をした。
そして扉が開かれる。
眩いばかりの光の中に立っていたのは──まるで芸術品のような三人の皇子たちだった。
カーティスお兄様は金髪碧眼の正統派皇子。
ドミニクお兄様は黒髪長髪に赤い瞳を持つ、中性的な美貌の持ち主。
アドニスお兄様は銀色の髪を短く刈り上げ、澄んだ青の瞳が印象的な雄々しいイケメン。
それぞれが、思い思いに声をかけてくる。
「ジェニエット! 頭をぶつけて意識を失ったって聞いて心配してたよ。元気そうで何よりだ。相変わらず今日も、美しいね。僕の銀月の姫君」
「あの蛇のような男──グラヴィスは来ていないのか?」
「お前の好きなお菓子を土産に持ってきたぞ」
次々と甘やかしてくるお兄様たちに、思わず苦笑してしまう。
そういえば、ジェニエットの兄たちは筋金入りのシスコンだって、小説で書いてあったな……。
グラヴィスを“蛇”呼ばわりするし……。
というか、こんなに美しい皇子たちに囲まれて育ったら、ジェニエットの美意識もそりゃ上がっちゃうよねぇ。
──まぁ、私は断然グラヴィスの方が格好いいけど♡
私は軽く肩を正し、にっこりと微笑んだ。
「お兄様方、わざわざお越しくださって……ありがとうございます」
私がそう言うと、お兄様方は一瞬でメロメロになった。
ドミニクが眉をひそめて言う。
「最近、お前とグラヴィスが仲良くしていると噂で聞いた。あんなに泣いて嫌がっていたのに……。母上に何か言われたのか?」
他の兄たちも同じような顔をしている。
心配してくれているのだろう。だからこそ、伝えねば──この想いを!
「いいえ! お兄様! グラヴィス様は素晴らしいお方です!
最近になって、やっとあの方の魅力に気づいたのです!」
私は拳を握りしめ、熱く語り出した。
いつもお淑やかで泣き虫な妹姫の突然のテンションに、兄たちは明らかに引いている。
「急にどうしたんだ! 頭を打っておかしくなったのか?」と、アドニスが困惑気味に尋ねた。
「おかしくなってなどおりません!」
私は胸を張って言い切る。
「ただ気づいたのです。グラヴィス様の……大人の男性の魅力に♡
長身で鍛え上げられた逞しい体。漆黒の髪に、切れ長で琥珀の美しい瞳。
外交も内政も、軍略も、宮廷運営も……あらゆる分野で卓越した才覚をお持ちの、完璧なお方だということに♡」
カーティスが引きつった顔で言った。
「ジェニエットがそれで良いなら、私は何も言わないが……。無理をしているわけではないのだな?
嫌なら、私から父上に上奏しても構わんのだぞ?」
「いいえ!」私は勢いよく首を振った。
「私はグラヴィス様が良いのです! これは私の意思であり、母上のためではございません!
お兄様方も、どうか母上のお言葉に縛られませんように!
ご自身の意思で──ずっと仲良し兄妹でいましょう!」
私の真っ直ぐな言葉に、お兄様たちは虚を突かれたように目を見開いた。
そして、ふっと笑う。
「ジェニエット、変わったね。……そうだね。ずっと仲良し兄妹でいよう」
「あぁ、母上たちの権力争いに巻き込まれるのはごめんだ」
「大人になったな、ジェニエット。俺たちも見習わないとな!」
三人の笑顔に、胸がじんわりと温かくなる。
久しぶりの兄妹の再会は、穏やかで──そして何より、あたたかい時間だった。
---
(あとがき)
今回はジェニエットとお兄様たちの初対面シーンでした✨
皆さんはどの兄上が印象的でしたか?
それぞれのリアクションやジェニエットの思い、ぜひコメントで教えてくださいね!
次回もお楽しみに♡
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