『私はただのブスだったはずなのに、異世界では「天使様」と呼ばれてます〜女神ルミエールの祝福〜』

透子(とおるこ)

文字の大きさ
5 / 41

王城へ──渡り人、謁見のとき


朝、目を覚ますと、見なれた天井ではなく、簡素な木造の天井が目に入った。

「……やっぱり夢じゃないかー」

 現実を受け入れきれずにため息をつく私に、遠慮がちなノックの音が響いた。



「カナコ様、目覚められましたか? 朝食をご用意しました。あと、簡素ですが着替えもあります」



 声の主はアースファルトさんだ。

「はい、起きてます。着替え、ありがとうございます! 着替えたら朝食いただきます!」

 返事をすると、「失礼します」とドアが少し開き、中から着替えがそっと差し入れられた。



 用意された服に着替え、食堂らしき場所に向かうと、アースファルトさんがテーブルの向かいに座っていた。

 朝食は……硬いパンと、野菜らしき具の入った薄いスープ。それだけ。



「すみません、今は食材がこれしかなく……」

 申し訳なさそうにうつむく彼に、私は心から微笑んだ。

「いいえ! 見ず知らずの私を助けてくださって、ありがとうございます。お腹も空いてたので、うれしいです」

 その瞬間、アースファルトさんはガタッと椅子を鳴らして立ち上がりそうになり、顔を真っ赤にしてむせてしまった。



「だ、大丈夫ですか!?」

「だ、大丈夫です!」

 なんか、かわいいな……。



 食事を終えると、王城へ向かうために馬に乗ることに。もちろん私は馬なんて初めてで、彼の前に座る形で乗せてもらった。アースファルトさんの背中越しに聞こえる、鼓動が妙に速くて――



(こんなにドキドキしてくれるなんて、なんか悪いなぁ……。特別イケメン好きってわけじゃないけど、こんなイケメンに意識されると、こっちも意識しちゃうじゃん。だって、女の子だもん)



 森を抜けると、大きな城壁と賑やかな街が見えた。人々の笑顔があふれ、治安の良さを物語っている。

 フードを深く被せられた私は、アースファルトさんの横で、門番に通行証のようなものを見せて街に入った。



 そして、ついに――王城の前に到着した。

「渡り人様だ。王に謁見を要請する」

 そうアースファルトさんが告げると、城の扉がゆっくりと開かれた。



 案内された謁見の間。中央に玉座、王冠をかぶった人物が座っている。その右に王妃らしき人、左には……王子様?



(……うん、予想はしてたけど、やっぱり地味寄りなビジュアルだなぁ)

 髪も目も、くすんだグレー。背もあまり高くないし、顔立ちも優しげだけどのっぺりしてる。たぶんこの世界ではこれが「美形」なのかも。



 そんなことを思いながら、私はこれからの運命を感じ始めていた。

感想 1

あなたにおすすめの小説

召しませ、私の旦那さまっ!〜美醜逆転の世界でイケメン男性を召喚します〜

紗幸
恋愛
「醜い怪物」こそ、私の理想の旦那さま! 聖女ミリアは、魔王を倒す力を持つ「勇者」を召喚する大役を担う。だけど、ミリアの願いはただ一つ。日本基準の超絶イケメンを召喚し、魔王討伐の旅を通して結婚することだった。召喚されたゼインは、この国の美醜の基準では「醜悪な怪物」扱い。しかしミリアの目には、彼は完璧な最強イケメンに映っていた。ミリアは魔王討伐の旅を「イケメン旦那さまゲットのためのアピールタイム」と称し、ゼインの心を掴もうと画策する。しかし、ゼインは冷酷な仮面を崩さないまま、旅が終わる。 イケメン勇者と美少女聖女が織りなす、勘違いと愛が暴走する異世界ラブコメディ。果たして、二人の「愛の旅」は、最高の結末を迎えるのか? ※短編用に書いたのですが、少し長くなったので連載にしています ※この作品は、小説家になろう、カクヨムにも掲載しています

異世界推し生活のすすめ

八尋
恋愛
 現代で生粋のイケメン筋肉オタクだった壬生子がトラ転から目を覚ますと、そこは顔面の美の価値観が逆転した異世界だった…。  この世界では壬生子が理想とする逞しく凛々しい騎士たちが"不細工"と蔑まれて不遇に虐げられていたのだ。  身分違いや顔面への美意識格差と戦いながら推しへの愛を(心の中で)叫ぶ壬生子。  異世界で誰も想像しなかった愛の形を世界に示していく。​​​​​​​​​​​​​​​​ 完結済み、定期的にアップしていく予定です。 完全に作者の架空世界観なのでご都合主義や趣味が偏ります、ご注意ください。 作者の作品の中ではだいぶコメディ色が強いです。 誤字脱字誤用ありましたらご指摘ください、修正いたします。 なろうにもアップ予定です。

私が美女??美醜逆転世界に転移した私

恋愛
私の名前は如月美夕。 27才入浴剤のメーカーの商品開発室に勤める会社員。 私は都内で独り暮らし。 風邪を拗らせ自宅で寝ていたら異世界転移したらしい。 転移した世界は美醜逆転?? こんな地味な丸顔が絶世の美女。 私の好みど真ん中のイケメンが、醜男らしい。 このお話は転生した女性が優秀な宰相補佐官(醜男/イケメン)に囲い込まれるお話です。 ※ゆるゆるな設定です ※ご都合主義 ※感想欄はほとんど公開してます。

黒騎士団の娼婦

星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
夫を亡くし、義弟に家から追い出された元男爵夫人・ヨシノ。 異邦から迷い込んだ彼女に残されたのは、幼い息子への想いと、泥にまみれた誇りだけだった。 頼るあてもなく辿り着いたのは──「気味が悪い」と忌まれる黒騎士団の屯所。 煤けた鎧、無骨な団長、そして人との距離を忘れた男たち。 誰も寄りつかぬ彼らに、ヨシノは微笑み、こう言った。 「部屋が汚すぎて眠れませんでした。私を雇ってください」 ※本作はAIとの共同制作作品です。 ※史実・実在団体・宗教などとは一切関係ありません。戦闘シーンがあります。

【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています

22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。 誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。 そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。 (殿下は私に興味なんてないはず……) 結婚前はそう思っていたのに―― 「リリア、寒くないか?」 「……え?」 「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」 冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!? それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。 「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」 「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」 (ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?) 結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?

美醜逆転世界でお姫様は超絶美形な従者に目を付ける

朝比奈
恋愛
ある世界に『ティーラン』と言う、まだ、歴史の浅い小さな王国がありました。『ティーラン王国』には、王子様とお姫様がいました。 お姫様の名前はアリス・ラメ・ティーラン 絶世の美女を母に持つ、母親にの美しいお姫様でした。彼女は小国の姫でありながら多くの国の王子様や貴族様から求婚を受けていました。けれども、彼女は20歳になった今、婚約者もいない。浮いた話一つ無い、お姫様でした。 「ねぇ、ルイ。 私と駆け落ちしましょう?」 「えっ!? ええぇぇえええ!!!」 この話はそんなお姫様と従者である─ ルイ・ブリースの恋のお話。

美醜逆転までいかない何か

りこ
恋愛
 異世界の価値観って、むずかしい……。  異世界に転移してしまった女子・黒須あずみ。  あずみという発音は難しいらしく、アシュリー・クロスという名前で生きていくことに。  冒険者になったはいいものの、戦闘経験もなく、出来ることは雑用や薬草採取ばかり。  お金も経験もなく、日々の生活で手一杯の中で出会ったのは──仮面をつけた物静かで優しい青年・ロロシュ。  どこか周囲から浮いている彼は、左右の目の幅が非対称で不気味だと陰口を叩かれていた。  ……正直、見てもわからない程度。  アシュリーには、ロロシュの優しさも、真面目な仕事ぶりも、何より彼の顔も……ぜんぜん“おかしく”なんて思えなかった。  異世界ならではの「ズレた美醜感覚」に戸惑いながらも、 ふたりは少しずつ距離を縮め、やがて“相棒”として絆を育んでいく。  ──でも、世界の偏見は、そんなに甘くない。  ふたりが向き合うのは、外見の話だけじゃない。 “違い”のある世界で、それでも一緒に生きていくために。  これは、美醜逆転までいかない“どこかズレた世界”で、 ふたりが互いの居場所になるまでの、ささやかな冒険と再出発の物語。

美醜逆転の世界に間違って召喚されてしまいました!

エトカ
恋愛
続きを書くことを断念した供養ネタ作品です。 間違えて召喚されてしまった倉見舞は、美醜逆転の世界で最強の醜男(イケメン)を救うことができるのか……。よろしくお願いします。