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第五章
レイナとライラでクエストに行く
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「よーっし。モフモフどうぶつ、全員、仲間にするわよ!」
「うん! お姉ちゃんもやろう!」
「既にサブクエストが目的になっている……。」
今日は廃墟探索……廃墟に住み着いているモンスターとボスモンスターがいるらしく、それの……しかも俺を指定したクエストらしく、モンスターがいそうな場所を見つけたから、モンスターを捕獲してまたモフモフ喫茶に入れてくださいという案件で来ていた。依頼はモフモフ喫茶からではなく別のモフモフどうぶつマニアからモフモフ喫茶を通してだそうだが、モフモフどうぶつってそんなに増えて欲しいのか。
サキュバスの魅惑の術ってそんなに俺に恩恵があるんだなと改めて思ったところで今回の廃墟だが。
今回の廃墟も魔女の森と言われる霊的な力が動物にもそこにある素材にも宿りやすい場所の奥にある、洋館が廃屋になった場所だった。動物たちが住みついたり、夜な夜な何かの声が聞こえてくるホラーハウスみたいな場所らしいがモフモフどうぶつのでかいのがそこに住み着いているのが原因らしい。
動物と言ってもモンスターやほぼ霊体の魔獣らしいから狩っていいらしいが、誰も管理していないモンスターや野獣の住み着いた、野ざらしの洋館だから気をつけていこう。
「わーい! レイナ、魅惑の術を掛けましょうね!」
「ねー!」
「今回は狩りが目的か。
それじゃあ途中で引き返さないで魅惑の術が掛かったモンスターを引き連れていこう。」
「やったー!」
ライラの機嫌が最初からいいしレイナも乗っている。既にピクニック気分で魔女の森を進むことになった俺たち。
「あ、ベリーか。これも拾っとこう。」
俺は体力と魔力回復アイテムになる、魔女の森のベリーを摘んだ。
「他にもハーブとか野草とか。ここには魔石
(魔力大回復、他にも副次効果あり、アクセサリーに加工可)もあるし。
魔女の森だとそういうのがいっぱいあるから定期的にクエストに行くと便利だからね。」
「あ、それじゃあ私も拾います。」
「ご主人様、私もやるわ。」
「うん、ありがとう。余った分は錬金術師に売ろう。」
という訳で森にいよいよピクニックに来たような事をしていると。
「グルルルル……。」
魔獣の群れがあらわれた!
「レイナ、ライラ、お願い!」
「はい、ご主人様!」
「任せて頂戴。やっと私の出番が来たわね。」
レイナとライラに魅惑の術を掛けて貰おうとすると。
「「ダブルファスティネーション!」」
レイナとライラの合体技が出た! 二重に掛けたり二人以上で合体技も可能だったが効果は果たして……?
「ピキャー、ピャー。アン、アーン!」
「はーい。冒険に行きましょうねー。」
「やったー。ねえねえ、本当に連れて行っていいの?」
随分と可愛らしく人懐っこい声を出して魔獣はレイナとライラに懐いていた。いつものような展開になってきたな。ライラがとても嬉しそうだ。
「あ~ん、やっぱり、サポート魔獣、お迎えしようかな~。でもな~。」
そして抱っこして頭をなでなでしながら真剣に悩んでいる。
「よし。この先を抜ければ洋館……ってそろそろ見えてきたか。」
森を歩いていくと目立つように特徴的な窓枠と屋根の建物が見えてくる。
「さあ、いきましょう、ご主人様!」
ライラが魔獣を抱っこしながら進み始めた。後ろにぞろぞろ付いて来ていてとても可愛い。
「あ。古い洋館だから気を付けてね。レイナとライラは飛べると思うけど。」
「どうせなら私たちで進んでアイテムと魔獣の魅惑もやっとくわよ。
その間。ご主人様はここでアイテム狩ってていいし。」
「いいや。俺も付いて行くよ。こういう時は分かれて行動しない方がいい。」
「そうですね。お姉ちゃんなら大丈夫だと思うけど、油断しないで行こう。」
「そうね。二人がそう言っているんだし。」
という訳で全員で洋館に入る事になった。
「……。」
まず朽ちたドアノブに手を掛ける。開錠の術は必要なく、回すだけで開いたようだ。
ギイイ……イイイ。
「レイナ。灯は出せる?」
「はい。」
ボウッと光が点灯すると、周囲のみが明るく照らし出される。
「そんじゃ。私は後方にいるわね。」
ライラも後方で灯を点けてくれたようで、明るさの範囲が広がる。先頭とバックアタックの心配は少し減った。洋館だと暗いしそういう事とかもあるからな。
「一階はホールにでもなっているのか。螺旋階段が真ん中奥にあるだけね。他はがらんどう。」
「それじゃあ、本格的な探索は二階になるか。洋館だからキッチンぐらいはあると思ったけど。
何か違う目的で建てられたのかもしれないね。」
ライラが辺りを見渡し、俺も確認する。
「それだと教会ぐらいしか思い当たらないんだけど……教会のつくりとは違うわね。」
「うん。パイプオルガンとかないし。中も木造で何もないとすると……と思ったけど。
モフモフどうぶつとボスモフモフを捕まえるだけだからいいのかな。」
「ええ。私が言ってみただけだから特に場所の推理とかはしないで進みましょう。」
俺たちは螺旋階段を伝って二回に向かうと。
「念のため、ご主人様は私とレイナで抱えていくわよ。階段抜けたら怪我じゃすまないわ。」
「ええ。」
「ありがとう。」
二人に持ち上げられてグルグルと回るように飛び、二階に行くと。そこは螺旋階段から直線で進むように左右に空き部屋があり。螺旋階段から見て一番奥の中央……にボスモンスターがいそうな大きな部屋があった。
「随分とシンプルなつくりね。ホテルみたい。」
「その方がやりやすかったんでしょうけど……言われたほど、モフモフどうぶつがいませんね。」
レイナが訝しんでいる。一階は大ホールだったのにモフモフどうぶつがいない。これは。
「ボスモンスターがいるって言うし、そいつらの所に集まっているか。追い出されたのかもね。」
「そういう事だろうね。これだけ何もないと。」
「私たちが魔獣の群れを引き連れているから警戒しているのかもしれません。」
俺たちの依頼はモフモフどうぶつの捕獲だから一室ずつ、調べてみることにした。まずは手前から。
ギイイ……。
やはり開錠の術が必要なく開き、中を確認すると。
「グアアアアッ!」
開けた瞬間、魔獣が飛び出してきた!
「開幕ファスティネーション!」
ピキイイイイン!
ライラが魅惑の術を掛けた!
「クキューン。クンクン。」
「あ~ん。かわいい~。」
ライラがまた、モフモフどうぶつをモフっている。
「ピキャー、ピキャー。」
「はいはい。みんな可愛いわよ~。」
ライラが捕らえたモフモフどうぶつに囲まれている。
「一応中も調べるか……何もないな。」
個室のような場所を調べたが、特に何もない部屋だった。
「ここは一体、何の洋館だったんでしょう。」
「まさかじゃないけど吸血鬼の館だったとか。キッチンも風呂も調度品もいらないなら。
棺桶で寝ていたとか。」
ライラの質問に俺が推理する。
「う~ん。私らもここにいるんだから吸血鬼がいても不思議じゃないけど。
それなら窓がいらないわね。吸血鬼って日光に浴びたら灰になるんでしょ?」
「もっと怖い想像は人さらいのアジトですが……この話はやめましょう。」
「本当にやめた方がいいわね。一階が何もないのはオークション会場とか思わない方がいいわ。
中心奥に螺旋階段があるのも見えるように連れてこさせるとか。
一時的に連れてくるだけなら確かに何もいらないでしょうからね。」
「よし、行こう!」
俺たちは何もないのが逆に怖くなって推理とかはしないで進むことにした。やっぱりホラー話のオチの王道は、一番恐ろしいのは人間だったってオチだな。
「はあ……開けるのが憂鬱になってきたけど、開けるぞ!」
ガチャリとドアを開けると……やはり何もない部屋かと思ったら。
「あら、魔獣の親子。」
「ピキュー。」
魔獣のお母さんが団子になって、そのお腹の中に子供の魔獣たちがくっついて寝ている。
「ちょっと魔力を注いであげましょう。それからファスティネーション。」
小声でライラが魔力を注いであげて、魅惑の術を掛けた。
「スー、スー。」
魔獣はそのまま、お腹一杯になって眠ってしまったようだ。
「あとで連れて行くことにして。可愛いから放ってあげましょう。」
俺たちは先に進むことにした。
・・・・・・。
「なんだかんだで奥に来ちゃったけど。ここは広間になっているみたいね。ボス魔獣がいるのかしら。」
「うん。開けるけど、何かあったらレイナ、ライラ。魅惑の術をお願い。」
「はい。」
「任せて。全員モフモフにして帰るわよ。」
小声で話して、俺が先頭になってドアを開けると……そこには。
「グルルル……グアアッ!」
ボスモンスターと思わしき、強大な魔獣が潜んでいた!
「どうするのご主人様。これだけでかかったら、魅惑の術も強大になるわよ!」
「うーん。ひとまず戦って、弱らせよう。」
「かといって弱いので仕留めないでチマチマいっていたら消耗戦になりそうですね。」
「かといって大技で仕留められない……ちょっと面倒な規模の魔獣ね。」
ボス相手に魅惑の術がどれだけ効くのか不明だし、かと言ってチート成長してしまったレイナとライラだと手加減が逆に難しい、そんな相手に当たってしまうと。
「グアアッ!」
巨大な魔獣が襲い掛かってきた!
「とりあえず戦おう! レイナ、ライラ、物理のサポートでお願い!
俺は……ひょっとしたら俺がメインで戦うかもしれない!」
「ご主人様、そう戦われるんですね!」
「普段の任務みたいなことね、了解!」
任務ってそういうのなのか。ライラが壁を蹴って跳躍し、跳弾の様にガガガッと辺りを跳ねると魔獣に飛び掛かっていく!
「レイナ、反対方向をお願い!」
「うん!」
レイナもライラと反対側を跳躍する!
「グッ、グルルッ!?」
ライラとレイナの動きに付いてこられないのか魔獣はきょろきょろしている!
「そーら、サキュバスクロー!」
ライラが背後に回ると爪で魔獣の背中を引っ掻いたが、魔獣は霊体の集まりのため、そこまでダメージはなさそうだった!
「ゴアアアッ!」
魔獣はライラの方を向いて襲い掛かってくる!
「うーん、手ごたえが無いわね。でも。こっちに引き付けられればいいのよ! ご主人様!」
「うん。ライトニング……エクスプロージョン!」
ドン、ドドドドンッ!
「ゴアアアアッ!」
背後からの光熱系魔法の爆発呪文で魔獣の霊体組織を一気に焼き尽くす!
「ギャ、ギャアァアア!」
「レイナ! ライラ!」
「オーケー。ダブルファスティネーション……。」
「アトラクション!!」
ピキイイイイン……。
二人が魅惑の術を掛けて、辺りが術で包み込まれていく……二倍掛けの更に二倍だから四倍か。これなら……。
「アーン、アーン。キャン。キャン。」
魔獣はでかくてモフモフして、人なっつっこい甘えん坊になった。ひっくり返ってお腹を見せながら身体をフリフリしている。
「さあ。他にも放っておいた魔獣を回収して帰りましょう、ご主人様。」
「そうね。あっちの親子はどうなっているかしら。」
レイナとライラがデカモフをモフモフしながら先頭を進んでいくと。
「ピキャー。キュン、キューン。」
さっき引き取り忘れたモフモフの親子がでかいモフモフの所に行く。
「くーん、きゅー。」
くっついてフンフンしている。どうやら親子だったようだ。
「あ~ん。かわいい~。やっぱりモフモフどうぶつの親子っていいわよね。」
「はい。これでクエスト完了でしょうか。」
「うん……館の秘密は解かないで帰ろう。」
俺たちは館を後にした。後ろにいっぱい、大量のモフモフ魔獣を引き連れながら……。
・・・・・・。
「あら、無事、建築途中で権利者が失踪した物件のクエスト、完了したんですね。」
「あ、そうなんですか?」
「はい。その後も買い手が魔獣が住みついちゃって付かなかったから。
これで一件落着するといいんですが。」
「へ、へー、なるほど~。」
その後。ギルドの受付のお姉さんからアッサリ真相を教えて貰った。何していたか分からなくて怖いところをうろつくクエストじゃなくて良かったと俺は安堵したのだった。
・・・・・・。
「はーい。それじゃ、カンパーイ!」
「「かんぱーい!」」
ライラが嬉しそうにコップを掲げ、今回捕獲した、でかいモフモフと、モフモフ親子を見守るライブ中継視聴を、近くでスキンシップなどをしない代わりに可能にした特別テレビパネルもモフモフ喫茶に完成したところで、乾杯する。
「はー、それにしても最初から私たち、いいパーティじゃない。
なんだかんだでとっさの判断はご主人様ね。
私達じゃ吹っ飛ばせない時はご主人様に判断聞かないと。」
「うん……ボスモンスターが魔獣で捕獲対象の時は今回みたいにしないと。」
ライラの振り返りに俺が答える。
「お姉ちゃんも普段の任務、ああだったんだね。」
「ええ。具体的には言わないけどあんな感じよ。」
サキュバスにやらせるのか、あの任務。と思ったが、実際、俺が助かったんだからいいか。
「ここのご飯も美味しい。ピザってもちもちフワフワパンでも美味しいわね。」
「ああ。何かここのモフモフ喫茶とか移動遊園地であった売店のピザとか。
そういうのみたいなんだよね。美味しいからいいけど。」
「はい。美味しいからいいですね!」
レイナも美味しそうにピザパンを食べている。しかしモフモフ喫茶と言い。俺たちの知らないピザパンだけどめっちゃうまいパンと言い。ここはどこの国からの出展なのかと思ったが。
美味しいからいいかとサクッと流した俺たちだった。
「あ~でも、今度はパスタとかピッツァとか。地元の料理も食べた~い。」
「それならトマト料理にしようよ。トマトとペペロンチーノソースが無いとさ~。」
「今度モフモフ喫茶でもそれ出すみたいですよ。ホラ、来月のメニュー。」
「あ、ホントだ。本場で修行したシェフ監修で新メニュー作りましただってさ。
そんなにうまい料理にこだわりがあるお店ってこっちに来たんだね。」
「そうですね。」
そんなに食い物にこだわりがある国ってあるんだなと思いながら、レイナとライラでピザパンをつついて、ソフトドリンクを飲んだのだった……。
「うん! お姉ちゃんもやろう!」
「既にサブクエストが目的になっている……。」
今日は廃墟探索……廃墟に住み着いているモンスターとボスモンスターがいるらしく、それの……しかも俺を指定したクエストらしく、モンスターがいそうな場所を見つけたから、モンスターを捕獲してまたモフモフ喫茶に入れてくださいという案件で来ていた。依頼はモフモフ喫茶からではなく別のモフモフどうぶつマニアからモフモフ喫茶を通してだそうだが、モフモフどうぶつってそんなに増えて欲しいのか。
サキュバスの魅惑の術ってそんなに俺に恩恵があるんだなと改めて思ったところで今回の廃墟だが。
今回の廃墟も魔女の森と言われる霊的な力が動物にもそこにある素材にも宿りやすい場所の奥にある、洋館が廃屋になった場所だった。動物たちが住みついたり、夜な夜な何かの声が聞こえてくるホラーハウスみたいな場所らしいがモフモフどうぶつのでかいのがそこに住み着いているのが原因らしい。
動物と言ってもモンスターやほぼ霊体の魔獣らしいから狩っていいらしいが、誰も管理していないモンスターや野獣の住み着いた、野ざらしの洋館だから気をつけていこう。
「わーい! レイナ、魅惑の術を掛けましょうね!」
「ねー!」
「今回は狩りが目的か。
それじゃあ途中で引き返さないで魅惑の術が掛かったモンスターを引き連れていこう。」
「やったー!」
ライラの機嫌が最初からいいしレイナも乗っている。既にピクニック気分で魔女の森を進むことになった俺たち。
「あ、ベリーか。これも拾っとこう。」
俺は体力と魔力回復アイテムになる、魔女の森のベリーを摘んだ。
「他にもハーブとか野草とか。ここには魔石
(魔力大回復、他にも副次効果あり、アクセサリーに加工可)もあるし。
魔女の森だとそういうのがいっぱいあるから定期的にクエストに行くと便利だからね。」
「あ、それじゃあ私も拾います。」
「ご主人様、私もやるわ。」
「うん、ありがとう。余った分は錬金術師に売ろう。」
という訳で森にいよいよピクニックに来たような事をしていると。
「グルルルル……。」
魔獣の群れがあらわれた!
「レイナ、ライラ、お願い!」
「はい、ご主人様!」
「任せて頂戴。やっと私の出番が来たわね。」
レイナとライラに魅惑の術を掛けて貰おうとすると。
「「ダブルファスティネーション!」」
レイナとライラの合体技が出た! 二重に掛けたり二人以上で合体技も可能だったが効果は果たして……?
「ピキャー、ピャー。アン、アーン!」
「はーい。冒険に行きましょうねー。」
「やったー。ねえねえ、本当に連れて行っていいの?」
随分と可愛らしく人懐っこい声を出して魔獣はレイナとライラに懐いていた。いつものような展開になってきたな。ライラがとても嬉しそうだ。
「あ~ん、やっぱり、サポート魔獣、お迎えしようかな~。でもな~。」
そして抱っこして頭をなでなでしながら真剣に悩んでいる。
「よし。この先を抜ければ洋館……ってそろそろ見えてきたか。」
森を歩いていくと目立つように特徴的な窓枠と屋根の建物が見えてくる。
「さあ、いきましょう、ご主人様!」
ライラが魔獣を抱っこしながら進み始めた。後ろにぞろぞろ付いて来ていてとても可愛い。
「あ。古い洋館だから気を付けてね。レイナとライラは飛べると思うけど。」
「どうせなら私たちで進んでアイテムと魔獣の魅惑もやっとくわよ。
その間。ご主人様はここでアイテム狩ってていいし。」
「いいや。俺も付いて行くよ。こういう時は分かれて行動しない方がいい。」
「そうですね。お姉ちゃんなら大丈夫だと思うけど、油断しないで行こう。」
「そうね。二人がそう言っているんだし。」
という訳で全員で洋館に入る事になった。
「……。」
まず朽ちたドアノブに手を掛ける。開錠の術は必要なく、回すだけで開いたようだ。
ギイイ……イイイ。
「レイナ。灯は出せる?」
「はい。」
ボウッと光が点灯すると、周囲のみが明るく照らし出される。
「そんじゃ。私は後方にいるわね。」
ライラも後方で灯を点けてくれたようで、明るさの範囲が広がる。先頭とバックアタックの心配は少し減った。洋館だと暗いしそういう事とかもあるからな。
「一階はホールにでもなっているのか。螺旋階段が真ん中奥にあるだけね。他はがらんどう。」
「それじゃあ、本格的な探索は二階になるか。洋館だからキッチンぐらいはあると思ったけど。
何か違う目的で建てられたのかもしれないね。」
ライラが辺りを見渡し、俺も確認する。
「それだと教会ぐらいしか思い当たらないんだけど……教会のつくりとは違うわね。」
「うん。パイプオルガンとかないし。中も木造で何もないとすると……と思ったけど。
モフモフどうぶつとボスモフモフを捕まえるだけだからいいのかな。」
「ええ。私が言ってみただけだから特に場所の推理とかはしないで進みましょう。」
俺たちは螺旋階段を伝って二回に向かうと。
「念のため、ご主人様は私とレイナで抱えていくわよ。階段抜けたら怪我じゃすまないわ。」
「ええ。」
「ありがとう。」
二人に持ち上げられてグルグルと回るように飛び、二階に行くと。そこは螺旋階段から直線で進むように左右に空き部屋があり。螺旋階段から見て一番奥の中央……にボスモンスターがいそうな大きな部屋があった。
「随分とシンプルなつくりね。ホテルみたい。」
「その方がやりやすかったんでしょうけど……言われたほど、モフモフどうぶつがいませんね。」
レイナが訝しんでいる。一階は大ホールだったのにモフモフどうぶつがいない。これは。
「ボスモンスターがいるって言うし、そいつらの所に集まっているか。追い出されたのかもね。」
「そういう事だろうね。これだけ何もないと。」
「私たちが魔獣の群れを引き連れているから警戒しているのかもしれません。」
俺たちの依頼はモフモフどうぶつの捕獲だから一室ずつ、調べてみることにした。まずは手前から。
ギイイ……。
やはり開錠の術が必要なく開き、中を確認すると。
「グアアアアッ!」
開けた瞬間、魔獣が飛び出してきた!
「開幕ファスティネーション!」
ピキイイイイン!
ライラが魅惑の術を掛けた!
「クキューン。クンクン。」
「あ~ん。かわいい~。」
ライラがまた、モフモフどうぶつをモフっている。
「ピキャー、ピキャー。」
「はいはい。みんな可愛いわよ~。」
ライラが捕らえたモフモフどうぶつに囲まれている。
「一応中も調べるか……何もないな。」
個室のような場所を調べたが、特に何もない部屋だった。
「ここは一体、何の洋館だったんでしょう。」
「まさかじゃないけど吸血鬼の館だったとか。キッチンも風呂も調度品もいらないなら。
棺桶で寝ていたとか。」
ライラの質問に俺が推理する。
「う~ん。私らもここにいるんだから吸血鬼がいても不思議じゃないけど。
それなら窓がいらないわね。吸血鬼って日光に浴びたら灰になるんでしょ?」
「もっと怖い想像は人さらいのアジトですが……この話はやめましょう。」
「本当にやめた方がいいわね。一階が何もないのはオークション会場とか思わない方がいいわ。
中心奥に螺旋階段があるのも見えるように連れてこさせるとか。
一時的に連れてくるだけなら確かに何もいらないでしょうからね。」
「よし、行こう!」
俺たちは何もないのが逆に怖くなって推理とかはしないで進むことにした。やっぱりホラー話のオチの王道は、一番恐ろしいのは人間だったってオチだな。
「はあ……開けるのが憂鬱になってきたけど、開けるぞ!」
ガチャリとドアを開けると……やはり何もない部屋かと思ったら。
「あら、魔獣の親子。」
「ピキュー。」
魔獣のお母さんが団子になって、そのお腹の中に子供の魔獣たちがくっついて寝ている。
「ちょっと魔力を注いであげましょう。それからファスティネーション。」
小声でライラが魔力を注いであげて、魅惑の術を掛けた。
「スー、スー。」
魔獣はそのまま、お腹一杯になって眠ってしまったようだ。
「あとで連れて行くことにして。可愛いから放ってあげましょう。」
俺たちは先に進むことにした。
・・・・・・。
「なんだかんだで奥に来ちゃったけど。ここは広間になっているみたいね。ボス魔獣がいるのかしら。」
「うん。開けるけど、何かあったらレイナ、ライラ。魅惑の術をお願い。」
「はい。」
「任せて。全員モフモフにして帰るわよ。」
小声で話して、俺が先頭になってドアを開けると……そこには。
「グルルル……グアアッ!」
ボスモンスターと思わしき、強大な魔獣が潜んでいた!
「どうするのご主人様。これだけでかかったら、魅惑の術も強大になるわよ!」
「うーん。ひとまず戦って、弱らせよう。」
「かといって弱いので仕留めないでチマチマいっていたら消耗戦になりそうですね。」
「かといって大技で仕留められない……ちょっと面倒な規模の魔獣ね。」
ボス相手に魅惑の術がどれだけ効くのか不明だし、かと言ってチート成長してしまったレイナとライラだと手加減が逆に難しい、そんな相手に当たってしまうと。
「グアアッ!」
巨大な魔獣が襲い掛かってきた!
「とりあえず戦おう! レイナ、ライラ、物理のサポートでお願い!
俺は……ひょっとしたら俺がメインで戦うかもしれない!」
「ご主人様、そう戦われるんですね!」
「普段の任務みたいなことね、了解!」
任務ってそういうのなのか。ライラが壁を蹴って跳躍し、跳弾の様にガガガッと辺りを跳ねると魔獣に飛び掛かっていく!
「レイナ、反対方向をお願い!」
「うん!」
レイナもライラと反対側を跳躍する!
「グッ、グルルッ!?」
ライラとレイナの動きに付いてこられないのか魔獣はきょろきょろしている!
「そーら、サキュバスクロー!」
ライラが背後に回ると爪で魔獣の背中を引っ掻いたが、魔獣は霊体の集まりのため、そこまでダメージはなさそうだった!
「ゴアアアッ!」
魔獣はライラの方を向いて襲い掛かってくる!
「うーん、手ごたえが無いわね。でも。こっちに引き付けられればいいのよ! ご主人様!」
「うん。ライトニング……エクスプロージョン!」
ドン、ドドドドンッ!
「ゴアアアアッ!」
背後からの光熱系魔法の爆発呪文で魔獣の霊体組織を一気に焼き尽くす!
「ギャ、ギャアァアア!」
「レイナ! ライラ!」
「オーケー。ダブルファスティネーション……。」
「アトラクション!!」
ピキイイイイン……。
二人が魅惑の術を掛けて、辺りが術で包み込まれていく……二倍掛けの更に二倍だから四倍か。これなら……。
「アーン、アーン。キャン。キャン。」
魔獣はでかくてモフモフして、人なっつっこい甘えん坊になった。ひっくり返ってお腹を見せながら身体をフリフリしている。
「さあ。他にも放っておいた魔獣を回収して帰りましょう、ご主人様。」
「そうね。あっちの親子はどうなっているかしら。」
レイナとライラがデカモフをモフモフしながら先頭を進んでいくと。
「ピキャー。キュン、キューン。」
さっき引き取り忘れたモフモフの親子がでかいモフモフの所に行く。
「くーん、きゅー。」
くっついてフンフンしている。どうやら親子だったようだ。
「あ~ん。かわいい~。やっぱりモフモフどうぶつの親子っていいわよね。」
「はい。これでクエスト完了でしょうか。」
「うん……館の秘密は解かないで帰ろう。」
俺たちは館を後にした。後ろにいっぱい、大量のモフモフ魔獣を引き連れながら……。
・・・・・・。
「あら、無事、建築途中で権利者が失踪した物件のクエスト、完了したんですね。」
「あ、そうなんですか?」
「はい。その後も買い手が魔獣が住みついちゃって付かなかったから。
これで一件落着するといいんですが。」
「へ、へー、なるほど~。」
その後。ギルドの受付のお姉さんからアッサリ真相を教えて貰った。何していたか分からなくて怖いところをうろつくクエストじゃなくて良かったと俺は安堵したのだった。
・・・・・・。
「はーい。それじゃ、カンパーイ!」
「「かんぱーい!」」
ライラが嬉しそうにコップを掲げ、今回捕獲した、でかいモフモフと、モフモフ親子を見守るライブ中継視聴を、近くでスキンシップなどをしない代わりに可能にした特別テレビパネルもモフモフ喫茶に完成したところで、乾杯する。
「はー、それにしても最初から私たち、いいパーティじゃない。
なんだかんだでとっさの判断はご主人様ね。
私達じゃ吹っ飛ばせない時はご主人様に判断聞かないと。」
「うん……ボスモンスターが魔獣で捕獲対象の時は今回みたいにしないと。」
ライラの振り返りに俺が答える。
「お姉ちゃんも普段の任務、ああだったんだね。」
「ええ。具体的には言わないけどあんな感じよ。」
サキュバスにやらせるのか、あの任務。と思ったが、実際、俺が助かったんだからいいか。
「ここのご飯も美味しい。ピザってもちもちフワフワパンでも美味しいわね。」
「ああ。何かここのモフモフ喫茶とか移動遊園地であった売店のピザとか。
そういうのみたいなんだよね。美味しいからいいけど。」
「はい。美味しいからいいですね!」
レイナも美味しそうにピザパンを食べている。しかしモフモフ喫茶と言い。俺たちの知らないピザパンだけどめっちゃうまいパンと言い。ここはどこの国からの出展なのかと思ったが。
美味しいからいいかとサクッと流した俺たちだった。
「あ~でも、今度はパスタとかピッツァとか。地元の料理も食べた~い。」
「それならトマト料理にしようよ。トマトとペペロンチーノソースが無いとさ~。」
「今度モフモフ喫茶でもそれ出すみたいですよ。ホラ、来月のメニュー。」
「あ、ホントだ。本場で修行したシェフ監修で新メニュー作りましただってさ。
そんなにうまい料理にこだわりがあるお店ってこっちに来たんだね。」
「そうですね。」
そんなに食い物にこだわりがある国ってあるんだなと思いながら、レイナとライラでピザパンをつついて、ソフトドリンクを飲んだのだった……。
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