喫茶モフモフ

白石華

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喫茶モフモフ

一応、回る事にした三人

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「サッパリしましたねぇ。」
「はい、生き返るようでした。」
「この後はカフェと飲食店を回るんですよね?」

 再び入浴後の集合時間になって。サナダさんたちの小屋に集まったメンバーだったが、既に今日の旅行は終了しそうなくらい、寛いだ様子になっていた。温泉→アカスリ→サウナと、疲れを解す様に次々と行った後、余った時間で休憩もして。疲れを癒した後のリラックスした、ちょっと浮かれた様子にもなっていた。

「僕ももう、寝たいぐらいですが、折角来たんですし、ちょっとだけ観光もしましょう。
 疲れたら仰ってくださいね。すぐ帰りましょう。」
「そうですね。ちょっとあくびも出そうです……。」

 マスエさんの確認にサナダさんが答え、既に眠いのかマスエさんにあくびが出ている。全くと言っていいほど緊張感がない。

「では、とりあえず移動しましょう。」

 とぼとぼと三人は移動していくこととなった。

 ・・・・・・。

「うわあ……チョコレートとコーヒーがこっちでは有名なんですね。あとチーズもか。」

 早速カフェの中に入ってみた面々だが、メニューを見たマスエさんがドリンクのコーヒーと、サイドメニューのチョコレートのお菓子の種類に圧倒されている。
 コーヒーもチョコレートも、原材料は魔法植物から作られたものだった。酪農も高原では盛んなため、チーズの種類も製造法だけでなく、乳を出す哺乳類の種類でも違いがあった。

「この後はチーズと燻製とパンを食べに行くから、簡単なおつまみにした方がいいですが。
 食べたかったらどうぞ。」

 メニューを長い時間かけてみているマスエさんを見て、サナダさんは好きにしていいよと声を掛けてくれた。

「わーい! それじゃあ……何にしようかな……。
 えっと、カフェオレと、トリュフと、チーズケーキで行きます。」
「なるほど。チーズも美味しそうですね。僕は何にしようかな……。」
「私もメニューが決めかねています。」
「二人は何で悩んでいるんですか?」

 メニューに悩んでいる、サナダさんとゴンドウさんにマスエさんが聞いている。二人も満喫するつもりなのか悩んでいた。

「やはりウインナーコーヒーみたいなクリームたっぷりのにした方がいいのか。」
「私はすごく甘くてミルクがたっぷりのココアにしようかと。」

 サナダさんもゴンドウさんの選びたいのも意外性というか二人のシリアスな見た目に似合わず、お菓子のようにクリームたっぷりか、甘そうなのを選びたいようだ。

「好きなのを選ぶといいと思います! あとチャレンジ精神とか!」
「そうですねえ、行きますか。」
「はい。」

 どうやらマスエさんの声で決まったようだった。

 ・・・・・・。

「おいし~い。」
「はい。」
「うむ。」

 食べるときは無言になって食べるマスエさん、サナダさん、ゴンドウさんの面々。コーヒーだけでもお腹いっぱいになれるくらい甘いのだが、ケーキも身が詰まってずっしりしていて味が濃い。

「トリュフも美味しい……チョコレート頼んでおいてよかった。」
「僕はサイドで頼んだメレンゲのケーキも美味しいです。コーヒーと合います。」
「甘いココアも旅先のカフェで飲むと格別ですね。」

 全員、この国で働いている者だが。この国では平地から山まで移動して登ると、それだけ風情も環境も変わるものと思って頂きたい。実際、国の周囲を隣国に囲まれている陸続きの国のため、その国側の地域に変わると文化まで影響を受けているのだった。

「次は酒場で飲み食いする予定ですが……甘いコーヒーとケーキを頂いて。
 ノンビリする内に時間が溶けるように過ぎていきます。」

 サナダさんがここに巣食ってしまいそうなくらい寛いでしまっている。

「私もです~。」

 マスエさんもだった。

「休暇ですし。ノンビリ行きましょうか。」

 ゴンドウさんも寛ぐつもりでだれも止めなかった。

「ははは……僕ももう、ダラダラしすぎて自分までとろけちゃいそうですよ。」
「チーズケーキ美味しい……。」
「普段の喧騒が嘘のようですね。」

 三人は休暇と旅行を満喫しきっていた。
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