GL短編集

涼-りょう‐

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㉒欲は破滅の道

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美琴(みこと)…お嬢様。レズ。欲が強い。艶かしい体と声で女をたぶらかし、相手を滅ぼす。
 千紗(ちさ)…美琴の執事。

※美琴side


私は美琴。大財閥の令嬢。
だけれど、この体と声は、女をたぶらかすためにあるようなもの。人間から生まれた人間のはずなのに、まるで悪魔と契約して妖艶な体を手に入れた、とでもいうよう。人から羨ましがられ、その反面、淫乱な女だと言いふらされ、良い意味でも悪い意味でも、私の噂は広まった。
私はこの体と声を嫌だとは思いながらも、心のどこかでは、利用して女を思いのままにするという征服欲に似た事を考え、その欲に取り憑かれたまま生きていきたいと思う気持ちがある。
そして私は沢山の女を、この体でたぶらかし、手に入れてきた。…ただ1人、この女を除いては。
 
 千紗「…お嬢様、いい加減、女性をたぶらかすのはおやめください。奥様も旦那様も困ってらっしゃいます」
 
 私に仕える執事、千紗。
 この女は私の体にも声にも反応しない。
 いくら耳元で囁いても、体を見せても私になびく気配がない。
 
 美琴「そんなこと言われたって…仕方ないじゃない…。千紗こそ、いい加減私になびいて?」
 千紗「…何を仰るのですか…全く」
 美琴「……ねぇ、どうして、私になびかないの…?貴女にも欲望くらいあるでしょう?」
 千紗「ありますが、そちらの欲ではありません」
 美琴「……嫌な人」
 千紗「さ、お嬢様、お着替えを」
 美琴「…つれない」
 千紗「……お嬢様」
 美琴「…その前に」
 
 私は千紗の元に寄り、耳元で囁く。
 
 美琴「どうせ貴女も、本当はしたいくせに…」
 千紗「したいとは、何をです?私の考えることがお嬢様に分かるとは思えませんが」
 美琴「…私が、貴女を滅ぼしてあげる。もちろん死の意味じゃない。…私が言う滅ぼすの意味は分かるはず…さ、教えてあげる」
 
 そう言って私は千紗をベッドの前に連れて行き、押し倒した。
 
 千紗「…私の諌言(かんげん)を聞いてくださったと思ったら」
 美琴「分かってるはずよ…ほら」
 
 千紗にキスをしながら、服を脱がす。
 私は快楽に逆らうことができない。人なんて、そんなもの。この、千紗という女も、そうであるはず。
 
 千紗「っ、っ、お嬢様、んっ」
 美琴「ちゅっ、ちゅ、ん、んんっ、っ、……欲に逆らうことは、私の前では許さない。ちゅっ……ちゅっ」
 千紗「っ、…っ、んん、んぁ、んっ、ぁ…何が、お嬢様を、変えたのですか」
 美琴「……ちゅっ、ちゅっ、…この声と、この体。ちゅっ、ちゅ、貴女には滅んでもらうの。ちゅ…」
 千紗「…んっ、っ、あっ、んんん」
 美琴「ちゅ、ん、体と声、私の全てに乱れて、ちゅ、私のために狂い、ちゅ」
 千紗「んんっ、ちゅ、んんん」
 美琴「…私のために滅び、私のために、ちゅっ、乱れ、私のために生き」
 千紗「……ちゅっ、ちゅっ、………」
 美琴「っ…私に溺れなさい、それが、貴女の定め。ちゅっ……」
 千紗「…っ、んんっ、お嬢様、私は」
 
 少し唇を離し、千紗の言葉を待つ。
 
 千紗「…私は、お嬢様にお仕えする執事。確かに私はお嬢様に愛を持ってお仕えしております。ですが」
 美琴「…その続きは、聞きたくない。私のために狂い、滅び、乱れ、溺れ、私のために生きることは貴女の定め。定めに逆らうことは許されない。…分かっているでしょう?貴女なら…」
 
 キスを再開させようとする私の唇に、千紗は指をそっと乗せ、抑止した。
 
 美琴「…私のこと、好きなくせに。強がる必要、無いでしょ…?…キスがダメなら…」
 千紗「お嬢様」
 美琴「……さっきから感じてるくせに。気持ちいいんでしょう?…こうやって胸元を触られるの…首筋も、こんなに綺麗じゃない…。ねぇ」
 千紗「………はぁ。お嬢様のお好きなようにどうぞ」
 美琴「うふっ。…そのまま、私のものになればいいのよ」
 
 そう言い放ち、私は千紗の体を貪った。
 とても甘く、酸っぱく、私を虜にする味だった。千紗のクセになる味は、私を、疼かせ、続ける度に激しくさせ、私の胸を昂らせた。
 
 千紗「……楽しんで頂けたなら、何より」
 美琴「楽しいだけじゃあ、つまらない。貴女が私のものになってこそ、満足するというものよ」
 千紗「お嬢様はいつもそうやって、私を興奮させますね」
 美琴「っ、ふふ、だって、貴女は私のものだもの。この心も、この体も、ね?ちゅっ……ちゅ…千紗、私の、千紗」
 千紗「……どうぞ、ご勝手に。私はただ、貴女に滅ぼされる女ですから」
 美琴「…よく分かってる、ふふ。さ、千紗?私のことも、貴女のものにして?」
 千紗「…淫乱、お嬢様」
 美琴「ふふ♪」
 
 私は千紗によって滅ぼされる。
 千紗は私によって滅ぼされるなら、その逆も然り、でしょう?ふふ。
 これで私たちは、お互いに滅ぼされる。これこそが、本当の定め。だから、逆らえない。どう足掻いても、最後はお互いに辿り着く。
 それが、私たちにかけられた、永遠の呪いなのよ。
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