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㉜皇貴妃の逆転
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~概要~
中国時代劇風、皇帝・正室・側室すべてが女性という国での出来事、女性ばかりの宮廷(男が生まれると、女に性転換させられる)
むかし、ある国を治めていた女王陛下がいた。その国は、宮殿に仕える者たちがすべて女であった。妃や内官だけでなく、政について話し合う重臣までもがすべて女性である。その後宮の主である皇后は、皇帝の寵愛を多く受けていた。しかし、病を持っており、子が出来ぬため、新しい妃を迎えたのである。その者は沈氏で、皇貴妃という位を下賜された。皇貴妃は、側室たちの中で最も高位の女性であり、皇后に次ぐ位を持つ。その皇貴妃が、皇后の代わりに寵愛を受けていた。
そこまでは良かった。皇后も、陛下と国のためと思い我慢していた。一か月後、皇貴妃は懐妊したのだ。もちろん陛下との子である。しかし、その子は流産してしまったのだ。陛下は皇后の使用人を尋問するように命じ、その自白を得た。なんと、皇后が流産を促す薬を茶に混ぜて皇貴妃に贈るように指示したのだった。それを知った皇帝は、皇后を死罪に処す決断をしていた。しかし、その陛下のもとに皇貴妃がやってきた。
「陛下・・・・僭越ながらお願いがございます」
「申してみよ」
「皇后様のお命をお助けください」
それを聞いた皇帝は、筆を進めていた手を止めた。
「・・・何を言っているのか分かっているのか」
「はい。皇后様は陛下のご正室です。私のためにご正室を失われ、悲しまれる陛下のお姿を見たくはないのです」
「皇貴妃・・だが皇后はそなたと朕の子を流産させたのだ。死罪が当然ではないか」
「確かにそれが妥当でしょう。ですが、子はまた授かります。私が、世継ぎが産めぬ体ではなく、年老いていない限り」
「皇貴妃・・」
「子を産めぬ皇后様が私に嫉妬されたのでしょう。嫉妬は誰にでもある気持ちです。一時の過ちを許して差し上げて頂けませんか」
そう言った皇貴妃は、心の中で一言、このように付け足す。
「皇后に天罰という名の地獄を必ず」…と。
そして、皇貴妃は、とある頼みを皇帝に話した。
「皇貴妃、それは」
「私が心配ですか?」
「当たり前だろう」
「大丈夫です、ご安心ください。私は皇后様の命の恩人。その者に手出し出来ませんよ」
「そうか、ではそなたに任せよう。だが、何かあればすぐに言うのだぞ?」
「・・・はい。陛下のご厚恩に感謝いたします」
それから数日後、女を連れた侍女がやってきた。皇貴妃が新しい特女を欲しがり、連れて来させたのだ。その侍女は皇帝に仕える女だが、余程気に入ったのだろう、皇帝が「そなたに仕えさせよう」と皇貴妃に贈ったのだ。
「皇貴妃様、新しい侍女が参りました」
「通しなさい。お前は下がって」
「かしこまりました」
自身の侍女を耳にした皇貴妃は侍女たちを下がらせ、新しい侍女を通し、その者と二人きりにした。その侍女は皇貴妃を見て、何やら険しい表情をしている。
「何をボーっと突っ立っているの?挨拶すら出来ないのかしら」
「誰がそなたなんかに・・・!屈辱を味わわせるためにこんなことをしたのでしょうけれど、私がそなたに屈するなんて思わないことね!」
侍女らしからぬ口調と話し方。
・・・そう、この侍女の正体は、皇貴妃自ら皇帝に頼み、賜った者であり、子を流産させるよう命じた皇后である。
「私はあなたにとって、命の恩人。私があなたの命を助けるよう、陛下に直々にお願いをしたのよ。感謝くらいしたらどうなの?恩を仇で返されたような気がして、気分が悪いわ」
「ふっ・・・私がそなたに感謝?する訳ないじゃない。そんなことはお断りよ」
「・・・わからないようね」
「何が」
「ここは私の宮殿よ。あなたの宮殿では無いの。あなたは私に仕える侍女、立場をわきまえなさい」
そう言って、指で侍女の顎を少し上げた。侍女はその指を離すよう求めた。皇貴妃は暴れる侍女を押さえて、
「それが出来ないなら、一族を皆殺しにするわよ」
と言い放った。侍女は「一族皆殺し」という言葉に恐怖を覚えた。そして主を前に跪き、このように誓う。
「・・・皇貴妃様に、誠心誠意、お仕えいたします…」と。
侍女はそのような返事をする以外の選択肢を考えることなど出来なかった。それに、これ以上反抗しても損しか無い。
『相手は皇貴妃。誰より皇帝の寵愛を受け、どのような願いでも叶えるほどの力を持っている者。従うしか手は無い』・・皇后であった者は、そう、悟るしか無かった。
それから数か月後、皇帝は皇貴妃を皇后に封じたのである。皇后は数か月ぶりに懐妊をして娘を出産した。その娘は次期皇帝として、皇太女に封ぜられた。皇帝は側室も迎え入れ、平和に暮らし、皆が幸せになり、最強で最高の国になれるように尽力したのだった。
中国時代劇風、皇帝・正室・側室すべてが女性という国での出来事、女性ばかりの宮廷(男が生まれると、女に性転換させられる)
むかし、ある国を治めていた女王陛下がいた。その国は、宮殿に仕える者たちがすべて女であった。妃や内官だけでなく、政について話し合う重臣までもがすべて女性である。その後宮の主である皇后は、皇帝の寵愛を多く受けていた。しかし、病を持っており、子が出来ぬため、新しい妃を迎えたのである。その者は沈氏で、皇貴妃という位を下賜された。皇貴妃は、側室たちの中で最も高位の女性であり、皇后に次ぐ位を持つ。その皇貴妃が、皇后の代わりに寵愛を受けていた。
そこまでは良かった。皇后も、陛下と国のためと思い我慢していた。一か月後、皇貴妃は懐妊したのだ。もちろん陛下との子である。しかし、その子は流産してしまったのだ。陛下は皇后の使用人を尋問するように命じ、その自白を得た。なんと、皇后が流産を促す薬を茶に混ぜて皇貴妃に贈るように指示したのだった。それを知った皇帝は、皇后を死罪に処す決断をしていた。しかし、その陛下のもとに皇貴妃がやってきた。
「陛下・・・・僭越ながらお願いがございます」
「申してみよ」
「皇后様のお命をお助けください」
それを聞いた皇帝は、筆を進めていた手を止めた。
「・・・何を言っているのか分かっているのか」
「はい。皇后様は陛下のご正室です。私のためにご正室を失われ、悲しまれる陛下のお姿を見たくはないのです」
「皇貴妃・・だが皇后はそなたと朕の子を流産させたのだ。死罪が当然ではないか」
「確かにそれが妥当でしょう。ですが、子はまた授かります。私が、世継ぎが産めぬ体ではなく、年老いていない限り」
「皇貴妃・・」
「子を産めぬ皇后様が私に嫉妬されたのでしょう。嫉妬は誰にでもある気持ちです。一時の過ちを許して差し上げて頂けませんか」
そう言った皇貴妃は、心の中で一言、このように付け足す。
「皇后に天罰という名の地獄を必ず」…と。
そして、皇貴妃は、とある頼みを皇帝に話した。
「皇貴妃、それは」
「私が心配ですか?」
「当たり前だろう」
「大丈夫です、ご安心ください。私は皇后様の命の恩人。その者に手出し出来ませんよ」
「そうか、ではそなたに任せよう。だが、何かあればすぐに言うのだぞ?」
「・・・はい。陛下のご厚恩に感謝いたします」
それから数日後、女を連れた侍女がやってきた。皇貴妃が新しい特女を欲しがり、連れて来させたのだ。その侍女は皇帝に仕える女だが、余程気に入ったのだろう、皇帝が「そなたに仕えさせよう」と皇貴妃に贈ったのだ。
「皇貴妃様、新しい侍女が参りました」
「通しなさい。お前は下がって」
「かしこまりました」
自身の侍女を耳にした皇貴妃は侍女たちを下がらせ、新しい侍女を通し、その者と二人きりにした。その侍女は皇貴妃を見て、何やら険しい表情をしている。
「何をボーっと突っ立っているの?挨拶すら出来ないのかしら」
「誰がそなたなんかに・・・!屈辱を味わわせるためにこんなことをしたのでしょうけれど、私がそなたに屈するなんて思わないことね!」
侍女らしからぬ口調と話し方。
・・・そう、この侍女の正体は、皇貴妃自ら皇帝に頼み、賜った者であり、子を流産させるよう命じた皇后である。
「私はあなたにとって、命の恩人。私があなたの命を助けるよう、陛下に直々にお願いをしたのよ。感謝くらいしたらどうなの?恩を仇で返されたような気がして、気分が悪いわ」
「ふっ・・・私がそなたに感謝?する訳ないじゃない。そんなことはお断りよ」
「・・・わからないようね」
「何が」
「ここは私の宮殿よ。あなたの宮殿では無いの。あなたは私に仕える侍女、立場をわきまえなさい」
そう言って、指で侍女の顎を少し上げた。侍女はその指を離すよう求めた。皇貴妃は暴れる侍女を押さえて、
「それが出来ないなら、一族を皆殺しにするわよ」
と言い放った。侍女は「一族皆殺し」という言葉に恐怖を覚えた。そして主を前に跪き、このように誓う。
「・・・皇貴妃様に、誠心誠意、お仕えいたします…」と。
侍女はそのような返事をする以外の選択肢を考えることなど出来なかった。それに、これ以上反抗しても損しか無い。
『相手は皇貴妃。誰より皇帝の寵愛を受け、どのような願いでも叶えるほどの力を持っている者。従うしか手は無い』・・皇后であった者は、そう、悟るしか無かった。
それから数か月後、皇帝は皇貴妃を皇后に封じたのである。皇后は数か月ぶりに懐妊をして娘を出産した。その娘は次期皇帝として、皇太女に封ぜられた。皇帝は側室も迎え入れ、平和に暮らし、皆が幸せになり、最強で最高の国になれるように尽力したのだった。
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