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トゥーリス、ログラーツ大戦編
17.モフ耳参上!
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長い沈黙が流れる。
美しい草原には少年少女二人と一つの死体が残されていた。
かたかたと震えているミイロを見てエレミヤは更に強く抱きしめる。
「大丈夫?」
ミイロはこくこく小刻みに顔を縦に振る。
「まっくん……。もう帰ろう…。」
エレミヤは優しく頷く。
「そうだね…。帰ろう。王宮に。」
エレミヤは足が震えて立てないミイロを抱えた。
そしてゆっくりあるき出す。
ミイロは目を閉じながらエレミヤに語りかける。
「人って、あそこを斬ると凄い血が出るんだね…。」
エレミヤはこっくり頷く。
「うん。そうだよ。あそこは人の急所の一つなんだよ。」
「ふぅん……。」
ミイロは少し考える仕草をした。
「…私が殺したあの人たちはこんなに血を吹き出してなかったな…。」
そしてこう呟いた。
エレミヤは知っている。
彼女が人殺しだとしうことを。
エレミヤは頷きながらミイロを抱え直した。
「そっか。」
ゆっくり歩いて帰る2人。
しかし二人は気づいていなかった。
彼らの後をつける一つの影があることを。
❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅
二人は道を歩いていた。
そこは路地裏ではなく、普通の通り。
誰もいないそこの通りは王宮への一番の近道である。
エレミヤはこの真ん中で足を止めた。
その前には立ちふさがる一つの影。
その姿はまるで人間のようだが、耳が異常だった。いわゆるネコミミであった。
つまり、獣人である。
「あ…!モフ耳…!」
ミイロが嬉しそうに叫んだ。
彼が殺気だってなかったらエレミヤ達は彼のもとに走りより、モフモフしまくるだろう。
残念な顔をする二人に獣人は気分を悪くしたらしい。
「人間よ、私の耳を触りたい、とか思っていまいな。」
と言った。
的中ど真ん中に中てられたエレミヤ達はおお、と声を上げ、声を揃えていった。
「「当たりです!」」
と。
獣人は目をくわっと開け、
「やめろ!獣人の耳は敏感なのだ!」
と叫んだ。
二人は残念そうに目を伏せた。
「「えぇ……。」」
異世界といったらモフ耳だろ…!
と目で訴えている二人。
獣人はぐるるるるるるる……。と唸り、警戒心を顕にし、耳を隠している。
「モフ耳…!ねぇまっくん、モフモフしたい!」
「うーん……。でもな、向こうが嫌がってるし……なんか殺気立ってるし…。」
エレミヤは考えた。
どうすれはあのモフ耳をモフモフできるのかと。
そして二人は同じ結論に至った。
「「よし、倒そう!」」
モフ耳はその言葉にとっさに爪を構えた。
エレミヤも氷の剣を作り出し、ミイロは弓に矢を番える。
エレミヤが叫ぶ。
「行くよ、モフ耳ーっ!!!!」
だん!と本気で地を強く蹴る。
しかし、モフ耳はぐっと地を踏みしめ、剣を気合とともに受け止める。
「むん!」
剣は彼の手に収まった。
薄く切れているが大したことはない。
エレミヤはわぁ!と言った。
「素手で剣を受け止められるなんて久しぶり…!」
と嬉しそうに言った。
エレミヤは後ろに飛び退る。
「でも…。」
とエレミヤは笑って言う。
「ワキが甘い!」
エレミヤは氷の剣を地面に突き立てた。
その剣は地の中で溶け始め、その水が地面へ染み込まれる形で広がっていく。
するとエレミヤは叫ぶ。
「氷牙!」
がががががと地面から牙が突き出した。
その先端は返しがついており、抜けないように工夫がされている。
その牙がモフ耳に襲いかかる。
モフ耳は
「ふん!」
と鼻で息を吐いたあと上へ飛び上がった。
そして後ろへ降りようとしたのだが…。
そこにミイロの矢が飛んできた。
「ぬおっ!!!!」
モフ耳は目を見開いた。
そして慌てて重心をさらに後ろに傾けようとするが時既に遅し。
どんどん近付いてくる矢。
そして……。ガクンっと獣人の落下が止まった。
パチパチと目を瞬かせるモフ耳。
彼の全身には氷の蔓が巻き付いている。
そしてエレミヤとミイロは彼の元に走り寄ってきた。
そして二人は間近でもモフ耳を見て目をキラキラさせた。
「わぁ…!作り物じゃない!」
とエレミヤ。
「凄い…。動いてる…!」
とミイロ。
きゃっきゃっと笑う二人。
それを見てかモフ耳はぶすぅと目を細め、不機嫌そうな顔をしている。
「私は見世物じゃ……。」
「凄い凄い!ね、まっくん!」
「うん!ティナに見せたいなー…。」
「…まっくん、ティナのこと、好きなの?」
「え?あ、うん。友達だから当たり前………。え、なんで不機嫌になってるの?もちろん、みぃも好きだよ?…みぃ?今度は赤くなってるけど…。みぃってこんなに情緒不安定だっけ?」
「……まっくんのばか…………。」
「へ?」
「………むぅ……。聞いていないのか、人間よ…。」
「「何?」」
エレミヤとミイロはきょとんと顔を傾げる。
獣人はため息をつく。
「まさかこんな子供に負けるとはな…。はは。」
と呟いた。エレミヤは笑った。
「まぁ、これは僕の力ではないんですけどね。氷蓮の力です。」
獣人はうむ、と唸り、エレミヤ達を見た。
エレミヤはぴょこぴょこ動くネコ耳を見た。
(……触りたい。)
エレミヤは歯を食いしばる。ミイロはごくッと唾を飲んだ。
あのモフモフに、触りたい!
美しい草原には少年少女二人と一つの死体が残されていた。
かたかたと震えているミイロを見てエレミヤは更に強く抱きしめる。
「大丈夫?」
ミイロはこくこく小刻みに顔を縦に振る。
「まっくん……。もう帰ろう…。」
エレミヤは優しく頷く。
「そうだね…。帰ろう。王宮に。」
エレミヤは足が震えて立てないミイロを抱えた。
そしてゆっくりあるき出す。
ミイロは目を閉じながらエレミヤに語りかける。
「人って、あそこを斬ると凄い血が出るんだね…。」
エレミヤはこっくり頷く。
「うん。そうだよ。あそこは人の急所の一つなんだよ。」
「ふぅん……。」
ミイロは少し考える仕草をした。
「…私が殺したあの人たちはこんなに血を吹き出してなかったな…。」
そしてこう呟いた。
エレミヤは知っている。
彼女が人殺しだとしうことを。
エレミヤは頷きながらミイロを抱え直した。
「そっか。」
ゆっくり歩いて帰る2人。
しかし二人は気づいていなかった。
彼らの後をつける一つの影があることを。
❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅❅
二人は道を歩いていた。
そこは路地裏ではなく、普通の通り。
誰もいないそこの通りは王宮への一番の近道である。
エレミヤはこの真ん中で足を止めた。
その前には立ちふさがる一つの影。
その姿はまるで人間のようだが、耳が異常だった。いわゆるネコミミであった。
つまり、獣人である。
「あ…!モフ耳…!」
ミイロが嬉しそうに叫んだ。
彼が殺気だってなかったらエレミヤ達は彼のもとに走りより、モフモフしまくるだろう。
残念な顔をする二人に獣人は気分を悪くしたらしい。
「人間よ、私の耳を触りたい、とか思っていまいな。」
と言った。
的中ど真ん中に中てられたエレミヤ達はおお、と声を上げ、声を揃えていった。
「「当たりです!」」
と。
獣人は目をくわっと開け、
「やめろ!獣人の耳は敏感なのだ!」
と叫んだ。
二人は残念そうに目を伏せた。
「「えぇ……。」」
異世界といったらモフ耳だろ…!
と目で訴えている二人。
獣人はぐるるるるるるる……。と唸り、警戒心を顕にし、耳を隠している。
「モフ耳…!ねぇまっくん、モフモフしたい!」
「うーん……。でもな、向こうが嫌がってるし……なんか殺気立ってるし…。」
エレミヤは考えた。
どうすれはあのモフ耳をモフモフできるのかと。
そして二人は同じ結論に至った。
「「よし、倒そう!」」
モフ耳はその言葉にとっさに爪を構えた。
エレミヤも氷の剣を作り出し、ミイロは弓に矢を番える。
エレミヤが叫ぶ。
「行くよ、モフ耳ーっ!!!!」
だん!と本気で地を強く蹴る。
しかし、モフ耳はぐっと地を踏みしめ、剣を気合とともに受け止める。
「むん!」
剣は彼の手に収まった。
薄く切れているが大したことはない。
エレミヤはわぁ!と言った。
「素手で剣を受け止められるなんて久しぶり…!」
と嬉しそうに言った。
エレミヤは後ろに飛び退る。
「でも…。」
とエレミヤは笑って言う。
「ワキが甘い!」
エレミヤは氷の剣を地面に突き立てた。
その剣は地の中で溶け始め、その水が地面へ染み込まれる形で広がっていく。
するとエレミヤは叫ぶ。
「氷牙!」
がががががと地面から牙が突き出した。
その先端は返しがついており、抜けないように工夫がされている。
その牙がモフ耳に襲いかかる。
モフ耳は
「ふん!」
と鼻で息を吐いたあと上へ飛び上がった。
そして後ろへ降りようとしたのだが…。
そこにミイロの矢が飛んできた。
「ぬおっ!!!!」
モフ耳は目を見開いた。
そして慌てて重心をさらに後ろに傾けようとするが時既に遅し。
どんどん近付いてくる矢。
そして……。ガクンっと獣人の落下が止まった。
パチパチと目を瞬かせるモフ耳。
彼の全身には氷の蔓が巻き付いている。
そしてエレミヤとミイロは彼の元に走り寄ってきた。
そして二人は間近でもモフ耳を見て目をキラキラさせた。
「わぁ…!作り物じゃない!」
とエレミヤ。
「凄い…。動いてる…!」
とミイロ。
きゃっきゃっと笑う二人。
それを見てかモフ耳はぶすぅと目を細め、不機嫌そうな顔をしている。
「私は見世物じゃ……。」
「凄い凄い!ね、まっくん!」
「うん!ティナに見せたいなー…。」
「…まっくん、ティナのこと、好きなの?」
「え?あ、うん。友達だから当たり前………。え、なんで不機嫌になってるの?もちろん、みぃも好きだよ?…みぃ?今度は赤くなってるけど…。みぃってこんなに情緒不安定だっけ?」
「……まっくんのばか…………。」
「へ?」
「………むぅ……。聞いていないのか、人間よ…。」
「「何?」」
エレミヤとミイロはきょとんと顔を傾げる。
獣人はため息をつく。
「まさかこんな子供に負けるとはな…。はは。」
と呟いた。エレミヤは笑った。
「まぁ、これは僕の力ではないんですけどね。氷蓮の力です。」
獣人はうむ、と唸り、エレミヤ達を見た。
エレミヤはぴょこぴょこ動くネコ耳を見た。
(……触りたい。)
エレミヤは歯を食いしばる。ミイロはごくッと唾を飲んだ。
あのモフモフに、触りたい!
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