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独楽の音

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第12話-減量とパフォーマンス、その境界線

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成果が中途半端となってしまった糖質追加のあとに行った、8月13日の胸トレ記録。

プッシュアップ 20回×3セット

インクラインダンベルプレス(45°・22.5kg)
 1st:12 / 12
 2nd:9 / 12
 3rd:7 / 8

ダンベルフライ(18kg)
 1st:15 / 15
 2nd:11 / 12
 3rd:9 / 11

ダンベルプレス(18kg)
 1st:10 / 10
 2nd:9 / 10
 3rd:9 / 9

ディップス
 1st:8 / 10
 2nd:8 / 10
 3rd:6 / 10

(今回/前回)

……明らかに、パフォーマンスが落ちている。

それも「気のせい」とか「調子が悪かった」なんて言葉で誤魔化せるレベルじゃない。
自分でもはっきり分かるくらいに、重量が重く感じるし、回数も伸びない。

原因はたぶん、最近のダイエットを意識した食生活。
頭では分かっている。分かっているけど、認めたくはなかった。

とりあえず、この下降線を描いているトレーニング結果を、そのままAIに投げて分析してもらうことにした。

AIの回答は、だいたい想像通りだった。

胸トレのパフォーマンス低下には、今回のカーボ量や摂取タイミングが関係している可能性が高いという。

主な要因は大きく四つ。

・グリコーゲン不足
 前回に続いて追加糖質がやや控えめ(約586kcal)。
 翌日の胸トレ分は何とか足りていても、二日間の消費を考えると、トレ当日の朝には残量が少なかった可能性。

・回復の遅れ
 前回の胸トレによる筋損傷や疲労が、完全に抜けきっていない。
 胸は回復に72時間以上かかる人も多い。

・コンディション(日内要因)
 睡眠の質や前日の歩数、暑さによる体内水分の減少。
 水分不足はパンプ感にも重量にも影響する。

・神経系の疲労
 直近の足トレや背中トレで中枢神経の回復が追いつかず、力を出し切れなかった可能性。

そして対策案として提示されたのが、

「胸トレ前日のハイカーボを700~800kcalに増やしてみてはどうか」

という結論だった。

……うん、分かってる。
それは本当に、よく分かっている。

でも、どうせやるなら「痩せながら筋肉を付けたい」という欲がどうしても勝ってしまう。
そうすると、頭の中に別の不安が浮かんでくる。

――このまま食べて、本当にいいのか?

考えるのが得意じゃない自分にできたのは、正直な気持ちをそのままAIにぶつけることだけだった。

「今って、減量も兼ねてるから、一気にカロリー増やすわけにもいかないよね?」

AIの返答は、数字付きでかなり具体的だった。

今の8日サイクルは、月あたり脂肪-1.0~1.1kg減ペースで回っている。
ここでハイカーボのカロリーを一気に増やしすぎると、このペースが崩れる可能性がある。

ただし、今回のように胸トレのパフォーマンスが落ちるほど糖質が足りていない場合は、
「糖質だけ」を微調整する方が安全。

現在:追加586kcal(糖質135g)
次回:追加700~800kcal(糖質175~200g)

増加分は+114~+214kcal、糖質で+40~+65g程度。
このくらいなら脂肪増のリスクは低く、二日間の筋トレで消費し切れる計算になる。

つまり、全体の減量ペースは維持したまま、
トレ前日だけエネルギー配分を糖質寄りに変えるという戦略だ。

脂質やタンパク質を増やさず、糖質だけを足せば、
ほぼ水分とグリコーゲン補充で済む。

要するに、「一気に増やすのが怖いなら、二日間に分けて足せばいい」という話なんだろう。

当時の自分は、

胸トレ → 足トレ → 休養2日 → 背中トレ → 足トレ → 休養2日

という8日間サイクルで過ごしていた。

確かにトレーニングが二日連続なら、
糖質を二日で入れても、その後の休養日でアンダーカロリーは作れる。

理屈は分かる。
分かるんだけど――次に気になってくるのは、やっぱり体重だ。

せっかく減らしたのに、今日と明日、二日連続で体重が増えるかもしれない。
それを考えると、どうしても気持ちがザワつく。

AIはそこについても、かなり現実的な数字を出してきた。

700~800kcal(糖質175~200g)のハイカーボを入れると、
翌日の体重は+0.8~1.2kg増える可能性が高い。

ただし、それは脂肪ではなく、水分とグリコーゲン。

翌日(胸トレ日)は一時的に増え、
翌々日(足トレ)で0.4~0.8kg減少。
三日目の休養日には、ハイカーボ前と同等か、むしろ少し軽くなる。

結果的には±0~-0.4kg程度に落ち着きやすい。

……二日間、少し歩けば取り戻せる。
理屈の上では、確かにそうだ。

それでも、だ。

分かってはいたけど、
改めて「減量のペースは落ちるかもしれない」と突きつけられると、
正直、結構ショックだった。

ちなみに、この時の自分は見落としていたことがある。

糖質というと、
「筋肉がパワーを出すための燃料」
というイメージしか持っていなかった。

でも後になって知ったのは、
糖質は神経系が力を発揮するための燃料でもある、ということ。

そう考えると、この日のパフォーマンス低下は、
筋力が落ちていたわけではなく、
ただ「出力できる状態じゃなかった」だけだった可能性が高い。

さらに、AIが少し触れていたコンディション――
睡眠の質や前日の歩数、暑さによる水分不足。
それらが影響していなかったとは言い切れない。

本当なら、
あまり気にせず、次の日以降も淡々とやっていけばよかったんだと思う。

でも、この時の自分は――
明らかに、結果を焦りすぎていた。
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