無能だと追放された「雑用係」のハル、現代の知恵(ライフハック)を駆使したら、呪われた魔王城が聖域化して伝説の賢者と呼ばれ始めた

ユネ

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第6話:伝説の時短料理、魔王城の「外食」革命

ゴーレムのアイアンが仲間になり、お城の家事効率は爆発的に上がりました。
そんなある日。城の門の前で、一人の行商人が行き倒れていました。
​「……うう、腹が減って動けねぇ……。だが、魔導コンロの火石が切れて、飯が炊けねぇんだ……」
​異世界において、旅先での炊飯は重労働です。貴重な魔力石を使い、重い鉄鍋で30分以上。火力が不安定なら芯が残る。
私はアイアンに命じて、彼を城のテラスへ運びました。
​「アイアン、『あれ』を。……行商人さん、10分で最高のご馳走を出しますよ」
「10分!? 冗談言うな、火石もなしに米が炊けるわけが……」
​私は笑って、キッチンから「パスタ(麺)」と「少しの塩」、そして「魔法瓶(に見える断熱水筒)」を取り出しました。
• ​まず、沸騰したお湯を魔法瓶に入れます。
• ​そこに、半分に折ったパスタと塩を投入。
• ​蓋をして、アイアンが掃除をしている横に放置します。
​「……おい、茹でないのか!? お湯に入れておくだけじゃ、ふやけたゴムみたいになるぞ!」
「いいえ、これでいいんです。沸騰したお湯の予熱だけで調理する『余熱調理』ですよ」
​その間に、私は余った野菜と干し肉を細かく切り、少量の油でサッと炒めてソースを作ります。
10分後。魔法瓶の蓋を開けると、そこには完璧なアルデンテのパスタが。
​「さあ、召し上がれ。『魔王城特製・予熱の時短パスタ』です」
​行商人がおずおずと口に運んだ瞬間。
「……っ!? なんだこれは! 芯までモチモチしてやがる! それに、このソース……ただの安物の干し肉が、なんでこんなに柔らかいんだ!?」
​「パスタは余熱でじっくり火を通すことで、デンプンが逃げずにもちもちになります。肉は、焼く前に『重曹水』に少し漬けておいたので、繊維が解れて柔らかくなっているんですよ」
​「魔法の道具も使わず……こんな、宮廷料理みたいな味が10分で!? ……頼む! この料理、金なら払う! 旅仲間に教えたい、いや、ここで毎日食べさせてくれ!!」
​こうして、ひっそり暮らすはずだった魔王城のテラスは、口コミで集まった行商人や冒険者たちで賑わう「予約の取れないレストラン」へと変貌し始めたのです。
​その頃、勇者パーティーは。
​「ちくしょう! 火石を使いすぎて金がねぇ! なんで一食作るのにこんなに時間がかかるんだ!」
「勇者様……見てください。あっちの魔王城の方から、ものすごく良い匂いがしますわ……。しかもあそこ、一食銀貨1枚で出してるらしいです……」
​空腹に耐えかねた彼らが、ハルの正体も知らずに客として並び始めるまで、あと数日のことでした。
​今回のライフハック:【パスタの余熱調理と肉の重曹処理】
• ​解説: パスタは1分ほど茹でた後、火を止めて蓋をして放置するだけで、茹でたのと変わらない仕上がりになります。光熱費(魔力)の節約に最適です。
• ​重曹の力: 硬い肉を重曹水に漬けると、タンパク質が分解されて驚くほど柔らかくなります(※漬けすぎに注意し、焼く前に水洗いするのがコツです)。
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