ラヂオ

雲黒斎草菜

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12)開眼せよ!

  
  
 ミコトは石の上に行儀よく座って大きなバナナを二本も平らげると、モミジのような手を摺り合せた。
「あはぁ~、おいしかった」
「……ほら、ミコトちゃん。食べたら何んか言わなきゃ」
「あ、はい……(こくりとうなずき)。パパさん。ママさん、ごちそうしゃまれした」
「はぁーい。よくできましたぁ~」
 とカリンが応え、幼女は純真無垢な瞳を瞬かせ、次にこう言った。

「──して、剣豪」

 どしん。
 ひっ転んだのはオレだ。

「いきなりミコトと入れ代わるな、坊主!」
「わしゃ義空じゃ!」
 ミコトは自分が食べたバナナの皮を摘んで、しばらく恨めしげに眺めていたが、おもむろに茂みの中へぽいっと捨てた。

「あーだめですよ。お大師様。神社に生ゴミなんか捨てたら」
「そうなのか?」
「な……生臭坊主め」
 ミコトの身体を借りた義空は──ああ。ややこしい。これからは入れ代わっている時は義空に統一する。

 義空は草むらの陰に拾いに戻るカリンの尻をじっと見つめ──やっぱり生臭坊主だ。
「さきほどのPN番号というのは、お主の推測どおり、パーソナルナンバーじゃ」
「あんたほんとうに坊さん? 何でそんなにカタカナが多いんだよ」

「わしゃ、西暦2296年からタイムリープして来ておるからのぉ。そのころは日本も英語が標準言語になっとる。正しい日本語を使っておるんは、わしが僧侶じゃからな」
「僧侶がカリンのケツを拝んでもいいのか?」
「悟りをひらいておる」
「おーお。便利な言葉だこと………」

 慌てて、袴の尻を両手で隠すカリンをすがめながら。
「それじゃぁ、ゴホゴホ。253480はマコトのことだと思っていいんだな」
「ごほん。左様(さよう)じゃ……それはそうとして」
「うんうん」
 二人揃って、咳払いと共に話を逸らした。

「しかしよくまぁ、あの複雑な空間揺らぎから正しく復調させたもんじゃ」
「オマエの兄貴は天才なんだぜ」
「だが本来なら、今日で終わっていた人生じゃ」
「よく平気でそんなこと言えるな。オマエの兄貴だぞ」
「ミコトの兄貴じゃ………ま、そんなこと言っても仕方がない」

「助かったんだから、それでいいじゃないか」
「時間局は黙っとらんワ」
「問題はそこだな」
「どこじゃ?」
 義空はわざとらしくオレの視線の遥か先へ、振り返って見せた。

「またごまかそうしてんだろ、ジイさん」
「わしゃ義空じゃ」

「なー坊主。ここでちゃんと自己紹介と行こうじゃないか。オレは柳生剣豪、北山高校の剣道部主将だ。母親の名前は……」
「柳生美樹(みき)。母子家庭。父親の名前は義孝(よしたか)。オマエを授かってすぐに事故死」

「ほぉ。ちゃんと調べてんだな。ならあんたの紹介をしてくれ」

 義空はしばらくオレの目の奥を覗き込んでいたが、ゆるゆると吐露を始めた。
「ワシの名は西園寺(さいおんじ)義空。藤原家の成れの果てじゃ。西暦2296年から百人近くと精神融合を果たして、ここまで来ておる精神的リーパーじゃ」
「精神的ねー。………で? オマエは?」
 丸い眼を見開いていたカリンへ顎をしゃくる。

「あたし?」
「そう。オマエは室町時代から来てるって言ってたな。何しに来たんだ?」
「え? まだ解らないの?」
「バカにすんな。おっと。巫女の修行とか言うなよ」

「ばれてんのか………」
 カリンはオレに手のひらを出されて、今日も艶やかな唇から赤い舌の先をちろっと出し、マンガみたいに自分の頭をひと小突きした。

「あたしは…………」
 視線を一旦義空に振ってから、そいつがうなずくのを待って、
「あたしは………西園寺花梨。西園寺家の血を継ぐ娘なの」

「なんだ、オマエら親戚どうしか」

「花梨は歴史上には現れぬ。まぁ早い話が隠し子じゃ。当時はそんなもんじゃろ。英雄色を好むと言ってな。あちこちに……ごほん」
 小さな拳で咳払いを押さえ、義空は上目遣いにカリンを窺い、
「西園寺の血筋にはリーパーになり得るほどに精神感応力が達者な者が多い。実際その中の数人はリーパーになっておるが、たいがいの者は精神崩壊を起こして死亡する」
「あたしもなりかけたのよ。だって精神融合を続けていくと、どれが自分だか分からなくなるの」

「ワシが1800年代まで遡った時、思考波の奥で迷子になっておる花梨を見つけてな。調べてみるとなんと我が先祖だと分かった時は大喜びじゃ」

「身内の話をされてもつまらん」

「そんな狭い話しではない。これで時間のパスが引かれたんじゃ。解るか剣豪? 過去から未来まで直通になったんじゃぞ」
 慢性的渋滞の緩和のために作られたバイパス道路と、そう変わらん気がするが……。

 気が逸れそうになるオレの頭をさっきの小枝で突っつきながら、
「花梨から見て四十五代目の子孫が、わしじゃ。いいか、ここをよく覚えておけ。花梨のほうが婆さんじゃぞ。曾(ひい)、曾、曾……そうじゃな『曾』を四十回以上言い続けなきゃならんがな」

「ヒイヒイ、苦しそうだな」

 カリンと揃って、二人から面白く無さそうな顔をされ、オレは肩をすくめつつ、湿気た溜め息を吐く。
「そんな話、信じられん………」

「信じるしかあるまい。それよりお主の未来はもっと波乱に満ちることになるぞ」
「今日の事か?」
 こくんと顎を引き、義空はカリンと見つめ合った。
「歴史ではマコトの命はここまでじゃった。これは天命。時間局もこの流れを待っていたが、お主がぶち壊した」

「オレは後悔してねえぜ。マコトがこんな中途半端な若さで生涯を閉じるなんてあり得んだろ………あり?」
 自分の発言に頭をもたげる。
「なぜ、ここで終わるんだ。オマエら矛盾したことを言ってんのに気が付かないのか。マコトは未来を変えるほどの発明をするって言ってたろ」

「そのとおり。マコトはとてつもないものを作ってしまう。それが原因で最終的にわしの暮らしていた時代は壊滅的なことになる。だから時間局が動き出したんじゃ。そんな物を作らない未来にして地球を守ろうとしてな」

「マコトはいったい何を作るんだ?」

「最初の功績はテートリオンを発見したことじゃ。本来は今より十五年後に発見される物質なんじゃが、マコトが二十七才の時、歴史より五年早く発見する」
「別にいいじゃないか、遅かれ早かれ発見間近だったんだ。やっぱマコトだ。すっげーぜ」

 自分の手柄でもないのに、ひどく誇らしげな気分になった。

「それを利用すると時間を飛び越えてメッセージが送れるようになるんだろ? 世界で最初に電波を利用してメッセージを送ったのは誰だっけ。それと同じ快挙じゃないか。そっか、そっか。あのブロードキャストはマコトのおかげか……………」

 急に頭の中でカタチの無い暗雲がモクモクと広がる。
 自分の発明したテクノロジーを見て、その理論に気付いたとしたら、それって誰が作ったことになる?

「お主の言いたいことは解る。そういうのをタイムパラドックスと言うのじゃが、おそらくマコトはもっと以前からこのアイデアを浮かべておったんじゃろ。それなら問題は無い。むしろタイムパラドックスを引き起こしたのはお主だ。今日で生涯を閉じる者を助け、存在しないものを完成させた。それによって未来が変わり、ここにわしらが自然発生した」

「うはは。ゴミムシみたいじゃないか。害虫の駆除業者でも呼んでやろうか?」
「発生したという以外に言いようがない」
「意味わからんワ」
「当然じゃ。お主の頭ごときでは理解できぬ」

 なんだか腑に落ちない言われ方だが……まあいいだろう。ややこしくなってきたので話を戻すぜ。
「どっちにしても、マコトの発見はすごいことだろ?」
「そうじゃ。初めは今世紀最大の発見だと絶賛された。グラビトンでさえまだ見つからない時にじゃぞ。えらい騒ぎになったモンじゃ」
 義空は急激にトーンを落とした。
「大きな不合理は起きぬと時間局も踏んでいたのじゃが、ここから徐々に流れが変わってくる」

「時間の研究成果をマコトがちょっと早めただけだろ?」

「そうじゃが……。時間というモノにまだ早熟な人類が禁断の手引き書を開封してしまったのじゃぞ。しかもマコトの才能はこれで尽きたのではない。それからさらに3年後、30才になったマコトは物質を送ることまで成功した瞬間、未来が大きく変わったんじゃ。その先の未来で、装置を利用した秩序の無い者どもが時代を飛び回ったからな。もちろん焦った時間局はそいつらを始末したが、精神的リーパーなる者の存在まで暴露され、慌ててクローラーなる組織を作り、しゃしゃり出てきたということじゃ」

「これでマコトさんが未来から目の仇にされる理由が、はっきりしたでしょ」
「ちょっと待て。物質が時間を飛べるって………アレか?」
「そうよ。タイムマシンよ。マンガじゃないわ。ホンモノなのよ」
「マジかよ………………………」
 確かにとんでもないモノだ。

「じゃが。すぐに時間局が取り上げて一般人は使用禁止となる」
「一般人でない者は?」
「ガーディアンと呼ばれる特別な訓練を積んだ者だけが許可され、その下層組織、クローラーたちが狂わした歴史の改ざんを行っておる」

「ガーディアン………浅間絵里、あいつのことだ」
 目の前が暗くなる気分だ。一介の女子高生だと思っていたのに未来人で、それも特殊組織の人間だったとは。

「前にも言ったが、時間局の行う歴史の改ざんとは、すべて自らにとって都合のいいことばかりじゃ。だからマコトを狙ってくる。それはタイムマシンをあの子に完成させないため。そして自分の管理の下(もと)に完成させるためにな」

 すべてを話せと言ったが…………………。
 突拍子もない説明をあからさまに曝け出されるとは思ってもいなかったので、オレの思考は乱れまくっていた。
「なんか………引いちまうな。そんな重要なことをオレに教えちまってもいいのか。時間規則とやらを守らなきゃならんのだろ?」

 義空はワンピーススカートの裾をうるさげにはたきながら、
「もう時間規則は崩壊した。お主が根底からひっくり返したからな。時間局相手に宣戦布告をしたのと同じじゃ」
 幼げな面立ちをもたげて、義空は不気味な言葉を並べ立てた。

「オレのせいかよ。ならもっと……」
 止めてくれても、と言いかけたが、そしたらマコトはあそこで………いや、そんなことは絶対に許さん。

「お主の考えなどお見通しじゃワ。わしらがどんな手段をとろうともお主の暴走は止まらん」

 ………暴走って言うな、ジジイ。

「じゃあなんで、その西園寺家がオレにまとわりつくんだよ? オマエらは時間局の者でも無さそうだし、クローラーらとも対立してそうだし。何なんだ?」

「まだ気付かんのか。お主になぜテレパスが備わっておるか……。つまりわしらと同じ種類の人間なんじゃ」
「その話はもういいよ。頭が痛くなるんだ……」
「理解できぬのも致し方なかろう………」
「バカにすんな。そういう意味じゃない。マジで頭が痛くなるんだ」

「ほう。痛むのか?」

「ああぁ」

「そうか。で、どの辺が痛む?」
「痛いというより、頭の芯が熱くなる感じだ」

「そろそろ開眼の時期かな。お大師様……?」
 オレを観察していたカリンが小首をかしげた。

「あのさ、けんご……」
 何か言いたげに朱唇を開いたので、先に割り込む。
「あのな。オレん家(ち)は柳生だ。西園寺の親戚はいない」

「そんなの知ってるわよ。あんたのお母さん……」
「まだ時期尚早じゃ、カリン。やめておけ!」

「おい。意味深いこと言いやがったな、坊主!」
「わしには義空という名前があるわい」
「オレの母親がどうしたって言うんだ。気になるじゃねえか!」

「ふん。マザコンめが」
「坊主がカタカナ使うんじゃねえワ」

「熱くなりよって。だからお主はマザ………ん? ……マザコンと言われ………な……なんじゃ?」
「なにこの揺れ?」
 会話が中断された。

「おい! どうした?」
 何とも気味の悪い揺れを感じて周りを見渡した。それは今までに感じたことのなかった振動だ。地面を伝わるのではなく、空気を震わすのでもない。脳ミソを直接揺らされる、としか言いようのない不気味な波動だった。

「あ、頭がおかしい」
「来たか!?」
 義空が小さな体を直立させ、不安げに遠望するが、神社の杜は暗闇に沈んでいるだけ。オレも目を凝らすが何も見えなかった。
「何が来たんだよ?」
 得たいの知れない恐怖に体が強張り、さっきから足が動かない。

「お大師様。次元フィールドが比較的弱い神社の裏に集結したようです」
「集結って、誰が?」
「時間局の犬どもじゃよ」
 そこへ空間を切り裂くような声がした。

「犬など飼ってないわよ!」

 反射的に体が反応。弾けるように振り返ると、黒布のカーテンに仕切られた闇が揺れており、
「みなさんお揃いで……………」
 霊気を含んだ冷たい風に制服のスカートをなびかせて浅間絵里が立っていた。

 喉の奥から苦い唾液と共に言葉が洩れる。
「あ、さ、ま……マジかよ………」

 がさっ、がさっ、と枯れ葉を踏みしめオレたちに歩み寄ると、浅間は無感情なセリフを綴った。
「西園寺義空! 同じく花梨。時間規則第三十二条違反で逮捕します。それと柳生くん……」

 表情を消した冷徹な面立ちをオレへと旋回し、意外な反応をする。
「私はてっきり別人だと思っていた」

「別人……?」

 不可解な単語を漏らした後、赤く薄い唇に決意の動きを加える浅間。
「しかしアナタがあの放送を聞いていたとは驚きだわ。いいこと。一つ教えてあげる」
 さらに一歩迫ると、身の切れそうな鋭い視線をオレに浴びせた。
「一般人が未来を知ることは禁じられてるの。本日を持ってこの問題が解決されるまでブロードキャストは停止しまします。もう情報は流れてこないからそのつもりで……それと、当局はあなたを部外者として扱う予定だったけど………」
 ピンと伸びた人差し指がゆっくりと持ち上がり、その先でオレの鼻先を示したヤツの瞳はなぜか狼狽(うろた)えていた。いや驚きを隠せず戸惑っていると言ったほうが当てはまる。

「それにしても………灯台下暗しってこのことだわ」

 自分の胸中を吐き出したかのようなセリフを並べた浅間絵里は、
「甚大な歴史の改変をされる前に………たった今を持ってあなたを抹消します」
 意味不明の宣告を事務的に振る舞って話を終結させた。

 背筋が震えた。なぜかと言うと、『抹消』という恐ろしい言葉で厳命した彼女の背後に控える暗闇から、面識ある連中が続々と姿を現したからだ。

「ぐっ! 三上祥子と啓子!」
「ほぉ。フルネームで覚えてもらったとは感激だな」
 あの気味の悪い姉妹を後ろに並べて、浅間は腕を組んでオレを睥睨していた。

「このあいだは遅刻せんかったか?」
 横手の茂みがガサガサと掻き広げられて、山高帽を被った白髪混じりの男が現れ、オレは息を詰める。
「あの時のジジィか……」

 年老いた男は持っていた杖の先でオレを指しながら、
「ワシの名前は東条源三郎だ。これからちょくちょく訪ねるのでよろしく頼む」

「やなこった!」

 さらに──。
「オマエは……香坂、ひとみ」
「こんばんは、剣道部の主将さん………」
 手にはギラリと光る両刃の長い槍の先をオレに突きつけて凄んだ。

「相変わらず物騒な物を持ってんな」
「あなたがナナミさんと知ったからには武装するのが当たり前でしょ」

「オレがナナミ?」
「そう。まさかね。まだ若いんでちょっとビックリしてるの」
「え? ……どういうことだ? ナナミってあのナナミ?」
「いずれ時間局の脅威となるナナミだ。早いうちに始末しないと後がメンドイからのぉ」
 香坂は唸るような声音にトーンを転じて爆弾発言をした。

 これまで何度も聞いてきた『ナナミ』という人名が、ここでしっかりとオレに放たれた事に激しく戸惑った。
「爺さん。コイツら何を言ってるんだ?」

 オレの後ろで直立していた五才児に助けを求めたが、義空は返事をせず、花崗岩の上から平然と問い掛けた。
「まだ一人足りんのぉ。藤田高志はどうしたんじゃ?」

「あの男はメンタルサージに弱いからな。ここまで入って来るのに難儀しているようだ」
 双子の姉妹の片割れが答え、カリンが喰いつく。
「祥子! あたしにあれだけ痛めつけられたのにまだ懲りないの?」
「ふん。あれごときでやられるか。私にはお姉さまがついておる。そこのくそ坊主に匹敵する精神力の持ち主だ」
 黒色ドレスの輪郭が暗い景色の中で重々しく舞い上がり、周囲の枯れ葉が乾いた音を出した。

「浅間! なぜオレの記憶の奥底にオマエがいる? 灯台下暗しってどういう意味だ?」
 ヤツは沈黙を貫き通した。

「おい……!」

 いつまで経ってもオレは蚊帳の外だった。いい加減に腹が立ち、焦燥めいた態度になる。
「義空、答えろ! なぜオレがナナミなんだ。なぜ誰も応えてくれない?」

「──時間規則だからよ」
 意を決した態度で無機質な声を轟かせたのは、やっぱり浅間だった。

「規則は守らないとね。でないとこの場で処罰されるの。この私がこの場でね」
 浅間は自分の学生カバンから刃の長いナイフを取り出し、暗闇に白い顏を浮かべた。それは学校では決して見せない、仮面みたいにゾッとする顔だった。

 月明かりに露わにされたコントラストのきつい白い顔と陰影が、葉むらの揺れと同期して不気味に蠢き、銀の刃は自ら光を発するかのように危険な輝きをオレに注いでいた。

「お……オマエ。学校の持ち物検査でよく引っかからなかったな」

 オレの疑問はすぐに晴れた。香坂ひとみが空中から長槍を取り出したのと同じ方法だったからだ。羽音みたいな振動と共に、カバンの中の何も無い空間から取り出されたのだ。しかもその切っ先がぴたりと静止し、俺を示していた。

「柳生くん……私は素人じゃないからね。今日のバスジャックと一緒にしないこと。義空から聞いたでしょ。時間局のガーディアンはあらゆる時代の武器を使った戦闘訓練をしてるの。舐めてかかると痛い目に遭うわよ」

 言うだけ言うと、浅間は四人のクローラーと入れ代わり、連中はオレたちの周りを取り囲んだ。

「しかし、さすがナナミだ。精神波を上手くコントロールしておるな」
 と三上姉妹のどちらかが言い。
「いや、まだ開眼してないのよ」と香坂が答える。

 どちらもジワリと包囲の輪を半歩ほど縮め、拳を握りしめたカリンがそれを威圧し下がらせる。一触即発状態で、まさに臨戦態勢だ。

 その時だった。
  
  
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