6 / 21
お出かけ
しおりを挟む
娼夫は基本娼館からは出ることが出来ない。ただ買い物をする時は別だ。
外出する2週間前に店主に申請をし、受理されたら外出が可能になる。逃げ出す可能性もあるのでは、と最初は考えて居たが、ここで雇われるときに契約書を書いたため、逃げてもいつかは見つけられて捕まる。
念の為見張りもつけているのだとか。
今日は、買い物をするため街に出かける。
発情期が来る前に、ネックガードを新調しようと思ったからだ。それと、公爵家に手紙を書くための便箋とペンを買おう。
ひとりではない。同じくコーディさんが経営する主に女性向けの店で働くαのレオンという人と一緒だ。
面をとって、宿舎を出るとレオンらしき人は待っていた。
「レオン、で合ってる?」
「あ?あぁ」
一応確認するため後ろから声をかけると、こちらを振りむいて返事をした。
目があった瞬間、少しだけ項が熱くなった気がして、項を抑える。
きっとαとあったからそうなったのだろう、とあまり深く考えないことにした。
「…お前、抑制剤飲んできたか?」
「え?うん。発情期前だし強めのやつ」
口元を抑えながらそう聞いてきたが、きちんと病院から処方された俺専用の薬を飲んできたからフェロモンの匂いがするはずも、漏れているはずも無い。
「…まさかな」
ボソッと彼が呟いたのが聞こえた。
何が、と聞こうとしたがそれは彼の言葉で遮られてしまった。
「まあいい。行くぞ」
「あぁ…うん」
「ねえ、君は何を買いに行くの」
「君とか言うな。気色悪い」
「そう。じゃあレオン」
「何を買う予定?」
「服だよ」
路地を出て、表にでると一気に賑やかになった。
やはりαは顔がいい。視線も一気に集めている。
「いいね、レオンのおかげで俺は目立たない」
「何言ってんだ。お前の方が視線は多いぞ」
「そうかな」
癖で、面を掴む仕草をしてしまう。
「何、お前普段メガネでもかけてんの?」
その仕草に気づいたようで、さすがだと思った。
「面だよ。コーディさんに着けるように言われてるんだよ」
「今日はつけて来なかったのか」
「まぁ、逆にめだっちゃうからなぁ」
「…それもそうだな」
そう話しているうちに、目当ての文具店についた。
「俺店前で待ってるから」
「一緒に選んでよ、俺センスないんだから」
「手紙くらい自分で選べや」
そんな文句を言いながらも店内に一緒に入ってきてくれる。優しいんだなとか思いながら彼を眺めるとデコを小突かれた。
「いて」
「俺に見とれてんじゃねえよ」
「はぁ?んなわけ」
「あ、これ」
不意に視界に入った便箋に目を止める。
金色で縁取られ、赤で模様が書かれた便箋。
アレクの金髪に赤い瞳を思い出させるこの便箋は彼のために作られたのではないかと思うほど彼にピッタリだった。
「これどう思う?」
「いいんじゃねえの」
「…誰に書くんだ?」
「よくぞ聞いてくれた!」
「友達に書くのだよ!」
少しふざけた口調で胸に拳をあててドヤっとしながら言った。
「………それなんなんだよ…」
少し沈黙が流れたあと、少し呆れたように彼はそう言った。
「お前、友達すくねえんだな」
「……」
図星をつかれて、何も言い返すことが出来なかった
外出する2週間前に店主に申請をし、受理されたら外出が可能になる。逃げ出す可能性もあるのでは、と最初は考えて居たが、ここで雇われるときに契約書を書いたため、逃げてもいつかは見つけられて捕まる。
念の為見張りもつけているのだとか。
今日は、買い物をするため街に出かける。
発情期が来る前に、ネックガードを新調しようと思ったからだ。それと、公爵家に手紙を書くための便箋とペンを買おう。
ひとりではない。同じくコーディさんが経営する主に女性向けの店で働くαのレオンという人と一緒だ。
面をとって、宿舎を出るとレオンらしき人は待っていた。
「レオン、で合ってる?」
「あ?あぁ」
一応確認するため後ろから声をかけると、こちらを振りむいて返事をした。
目があった瞬間、少しだけ項が熱くなった気がして、項を抑える。
きっとαとあったからそうなったのだろう、とあまり深く考えないことにした。
「…お前、抑制剤飲んできたか?」
「え?うん。発情期前だし強めのやつ」
口元を抑えながらそう聞いてきたが、きちんと病院から処方された俺専用の薬を飲んできたからフェロモンの匂いがするはずも、漏れているはずも無い。
「…まさかな」
ボソッと彼が呟いたのが聞こえた。
何が、と聞こうとしたがそれは彼の言葉で遮られてしまった。
「まあいい。行くぞ」
「あぁ…うん」
「ねえ、君は何を買いに行くの」
「君とか言うな。気色悪い」
「そう。じゃあレオン」
「何を買う予定?」
「服だよ」
路地を出て、表にでると一気に賑やかになった。
やはりαは顔がいい。視線も一気に集めている。
「いいね、レオンのおかげで俺は目立たない」
「何言ってんだ。お前の方が視線は多いぞ」
「そうかな」
癖で、面を掴む仕草をしてしまう。
「何、お前普段メガネでもかけてんの?」
その仕草に気づいたようで、さすがだと思った。
「面だよ。コーディさんに着けるように言われてるんだよ」
「今日はつけて来なかったのか」
「まぁ、逆にめだっちゃうからなぁ」
「…それもそうだな」
そう話しているうちに、目当ての文具店についた。
「俺店前で待ってるから」
「一緒に選んでよ、俺センスないんだから」
「手紙くらい自分で選べや」
そんな文句を言いながらも店内に一緒に入ってきてくれる。優しいんだなとか思いながら彼を眺めるとデコを小突かれた。
「いて」
「俺に見とれてんじゃねえよ」
「はぁ?んなわけ」
「あ、これ」
不意に視界に入った便箋に目を止める。
金色で縁取られ、赤で模様が書かれた便箋。
アレクの金髪に赤い瞳を思い出させるこの便箋は彼のために作られたのではないかと思うほど彼にピッタリだった。
「これどう思う?」
「いいんじゃねえの」
「…誰に書くんだ?」
「よくぞ聞いてくれた!」
「友達に書くのだよ!」
少しふざけた口調で胸に拳をあててドヤっとしながら言った。
「………それなんなんだよ…」
少し沈黙が流れたあと、少し呆れたように彼はそう言った。
「お前、友達すくねえんだな」
「……」
図星をつかれて、何も言い返すことが出来なかった
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
80
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる