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新しい場所で
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「コーディさん、俺、行きます」
「今までありがとうございました。お客さんにも伝えておいてください」
「それと、俺がここを出てしばらくしたら、アレクを離してください」
「…すまないリシュカル」
「私はずっとお前のことを子供のように思っていたよ」
力強く抱きしめられてる涙が出てきそうになる。
「今から魔法で皇帝陛下達に伝える」
「…これを持って行きなさい」
渡されたのはこの地方でずっと伝わっている模様が施されたリボンだった。これはいつもコーディさんが髪の毛を束ねるのに使っていたものだ。
「…ありがとう」
コーディさんはすぐに魔法道具を使い、知らせを送った。そして俺はコーディさんに再び抱きついた。
「ありがとう」
「……大好きだよ、お父さん」
最後にそう伝えて、宿舎を走り去った。
ー
ーー
ーーー
国境に近い領地だったため、途中で馬車に乗ればすぐにフィンツェルへ繋がる検問所についた。
身分証明書になりそうなものは持っていないけれど、きっと皇帝陛下達が何かしら対策をしてくれているだろう。
少しドキドキしながらも順番を待っていると、ついに俺の番が来た。
「パスポートと身分証明書、それと目的をどうぞ」
「…リシュカルです」
途中市場で買ったフードを頭からとり、顔を出した。
「!」
「どうぞ!」
「ありがとうございます」
「いえ、お帰りなさいませ、リシュカル様!」
検問所にいたのはフィンツェルの人だったらしい。すごく大きな笑顔を浮かべてそう言ってくれた。
少し微笑んで会釈して、奥に進んで行った。しばらく石造りのトンネルのような場所が続き、あかりが見えてきた。通り抜けると、一気に賑やかな市場が広がっていた。
「わぁ...!」
フードをとり辺りを見渡す。リリレアとは違う顔立ちに服装の人が多いが、やはり国境が違うからか海外の人らしき人も沢山いる。
「シュカ、シュカ」
どこからか自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。辺りを見渡してもそれらしき人はいない。
「上だよ、上!」
「え?」
上を見あげると、あの時見た6人の人がいた。
「もう、おっちょこちょいなんだから」
人が浮いている状態が理解出来ず、口を開けているとデコを小突かれた。
「...あの、あなたたちは?」
「こっちこっち」
手を捕まれ引っ張られるがまま進んで行くと、森に入った。
「久しぶり、リシュカル」
「我らの愛し子」
「え?」
「私たちは精霊王なの。そしてあなたに、祝福を授けた」
「まずは自己紹介だろう」
「俺は風の精霊王。名前はそれぞれお前がつけるんだ」
「あーずるい!」
「私は火の精霊王のトゥリだよ!」
「いちいち競うなよ、僕は水の精霊王のメルク」
「私は風のヴァンだね」
「僕達は光と闇で、僕がリヒトで、闇の方がフィンだよ」
「双子なの!」
「私は大地のラントだ」
「よろしくお願いします、皆さん」
「...あの、実は俺精霊についてほとんど知らなくて...」
「大丈夫よ!これから学んで行けばいいもの」
「そうだ、まだお前は16なのだからな」
「...そう、ですね」
16歳は彼らにとってまだ守るべき存在なのだろう。
あちらでは店の影響もあり16ともなれば自立し誰かを守る側になっていく時期だった。
「考えてる暇はないよ、シュカ」
「さあ私の手を掴んで」
ヴァンさんに言われるがまま手を握ると、当たりが風で包まれた。よく分からないままで目に砂が入りそうになり目をつぶると、風がやんだ。
恐る恐る目を開くと、そこは先程までいた森の中ではなくなっていた。
「今までありがとうございました。お客さんにも伝えておいてください」
「それと、俺がここを出てしばらくしたら、アレクを離してください」
「…すまないリシュカル」
「私はずっとお前のことを子供のように思っていたよ」
力強く抱きしめられてる涙が出てきそうになる。
「今から魔法で皇帝陛下達に伝える」
「…これを持って行きなさい」
渡されたのはこの地方でずっと伝わっている模様が施されたリボンだった。これはいつもコーディさんが髪の毛を束ねるのに使っていたものだ。
「…ありがとう」
コーディさんはすぐに魔法道具を使い、知らせを送った。そして俺はコーディさんに再び抱きついた。
「ありがとう」
「……大好きだよ、お父さん」
最後にそう伝えて、宿舎を走り去った。
ー
ーー
ーーー
国境に近い領地だったため、途中で馬車に乗ればすぐにフィンツェルへ繋がる検問所についた。
身分証明書になりそうなものは持っていないけれど、きっと皇帝陛下達が何かしら対策をしてくれているだろう。
少しドキドキしながらも順番を待っていると、ついに俺の番が来た。
「パスポートと身分証明書、それと目的をどうぞ」
「…リシュカルです」
途中市場で買ったフードを頭からとり、顔を出した。
「!」
「どうぞ!」
「ありがとうございます」
「いえ、お帰りなさいませ、リシュカル様!」
検問所にいたのはフィンツェルの人だったらしい。すごく大きな笑顔を浮かべてそう言ってくれた。
少し微笑んで会釈して、奥に進んで行った。しばらく石造りのトンネルのような場所が続き、あかりが見えてきた。通り抜けると、一気に賑やかな市場が広がっていた。
「わぁ...!」
フードをとり辺りを見渡す。リリレアとは違う顔立ちに服装の人が多いが、やはり国境が違うからか海外の人らしき人も沢山いる。
「シュカ、シュカ」
どこからか自分の名前を呼ぶ声が聞こえた。辺りを見渡してもそれらしき人はいない。
「上だよ、上!」
「え?」
上を見あげると、あの時見た6人の人がいた。
「もう、おっちょこちょいなんだから」
人が浮いている状態が理解出来ず、口を開けているとデコを小突かれた。
「...あの、あなたたちは?」
「こっちこっち」
手を捕まれ引っ張られるがまま進んで行くと、森に入った。
「久しぶり、リシュカル」
「我らの愛し子」
「え?」
「私たちは精霊王なの。そしてあなたに、祝福を授けた」
「まずは自己紹介だろう」
「俺は風の精霊王。名前はそれぞれお前がつけるんだ」
「あーずるい!」
「私は火の精霊王のトゥリだよ!」
「いちいち競うなよ、僕は水の精霊王のメルク」
「私は風のヴァンだね」
「僕達は光と闇で、僕がリヒトで、闇の方がフィンだよ」
「双子なの!」
「私は大地のラントだ」
「よろしくお願いします、皆さん」
「...あの、実は俺精霊についてほとんど知らなくて...」
「大丈夫よ!これから学んで行けばいいもの」
「そうだ、まだお前は16なのだからな」
「...そう、ですね」
16歳は彼らにとってまだ守るべき存在なのだろう。
あちらでは店の影響もあり16ともなれば自立し誰かを守る側になっていく時期だった。
「考えてる暇はないよ、シュカ」
「さあ私の手を掴んで」
ヴァンさんに言われるがまま手を握ると、当たりが風で包まれた。よく分からないままで目に砂が入りそうになり目をつぶると、風がやんだ。
恐る恐る目を開くと、そこは先程までいた森の中ではなくなっていた。
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