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序章『始まりの領地』
014 コレクター、妖精の国に行く
エリィの錬金術を確認した結果、エリィは『Sポーション』のみ作れることが発覚した。
その次の『Mポーション』は作ることができない。原因はやはり練度だろうか。
ゲーム内の言葉で言うとスキルというやつだ。錬金術スキルレベルが十を越えなければ『Mポーション』を作ることはできない。
しかしそうなると大量生産が難しくなってくる。
まあそもそもポーションの大量生産自体が難しいので、エリィのスキルレベルを上げて高品質のポーションを安定して売れるようになるのがベストだ。
と、いうわけでポーションについてはひたすらポーションを作って売る方がいい。
沢山作れば沢山スキルレベルは上がる。なら、一度に作れる数が増えた方が効率がいいじゃないか。
多分、個数と品質によってスキルレベルは上がりやすくなるのだ。
ゲーム内だと品質というものは存在しなかった。ポーション代を節約するために自分で作るプレイヤーは多かったなぁ。
この世界でのポーションの品質は、色のムラで決まる。低品質ならばムラがあり、高品質ならば均一で綺麗なポーションとなる。当然回復量も変わる。
そういった効率面も考えて、やはりエリィのために新たな錬金窯を手に入れた方がいいと判断した。
ちなみに、俺の錬金窯は動いてくれなかった。最初はこれでいいじゃん! とも思ったんだけど、なぜか低品質なポーションしか作れずこりゃダメだと作戦変更になった。
そして今、俺はエリィと共にシャムロットに来ている。
ちなみに〈浮遊〉でエリィを背負って飛んできた。次からは〈空間移動〉で来ようね。
「ここがシャムロットかー!」
木々に囲まれた国。遠くには巨大な世界樹が見える。
トワ村にいた時も、ロンテギアの王都にいた時も見えていた木だ。
ほら、めっちゃ遠い場所にあるのにいつも見えてたやつが目の前にあったらさ、テンション上がらない?
富士山とかスカイツリーとかめっちゃテンション上がるよね。
「ほ、本当に大丈夫なの?」
「大丈夫大丈夫。『エルフ耳』装備してるんだから」
今、俺とエリィの耳はエルフのようにとがっている。
『トワイライト』のアイテムである『エルフ耳』を装備しているからだ。
ゲーム内でもこの装備はコスプレなどでよく使われた。これを常につけている人もいた。
ただのコスプレ道具ではなく、魔力回復効果などの優秀な効果があるからだ。
もちろん非表示にもできる。頭部の装備は五つまでなので、上級者になれば代用品もできて使わなくなるんだけどね。
後は服装を綺麗なものにすれば完成。どこからどう見てもエルフだ。
「いや、怪しまれたりとか。ほら、レクト今仮面付けてるし……」
「ああこれ。まあ大丈夫でしょ。顔を隠したい人もいるだろうし」
俺は鼻から上に仮面を装備している。
『スカルマスク』鬼のような小さな角がついた、顔の上半分を隠すマスクだ。
別にそこまで怖がられるような見た目でもないだろう。むしろ可愛いまである。
顔を隠しておかないと、今後領主として活動するときに面倒なことになる。
例えば、そのうち領主として権力を手にし他の国と交流することになったらどうだろうか。
顔を隠していなければ、裏での冒険者活動が国にバレてしまう。
それでは自由に動き回ることができない。
「さて、錬金窯はどこかなーっと」
如何せん始めてくる街なので、何一つ分からない。
人に聞くにも、本物のエルフやフェアリーだらけで謎に緊張してしまう。
あ、おじさんのエルフがいた。話しかけよう。
「すみませーん」
「ん? 見ない顔だな」
「あ、ちょっと田舎の村から来たんですよ。錬金窯に使う鉱石ってどこで買えるんですかね」
嘘はついていない。田舎の村、つまりトワ村だ。
誰もシャムロットにある村とは言ってないんだぜ。へへっ。
「へぇ、女二人でわざわざ大変だな。錬金窯っつーと……『ポルシン鉱石』か。なら直接ドワーフの鍛冶屋にでも行ったらどうだ? 場所は……ほら、あの煙突のとこだ。その隣には酒場に冒険者ギルドもあるぞ」
「なるほどなるほど。ありがとう!」
そう言って俺はそそくさとおじさんエルフから離れた。
おかしい! 顔の上半分を隠していたのに、また女と間違われた!
俺の可愛さが仮面程度じゃ隠せないことが証明されてしまった。嬉しいのか嬉しくないのか。
「レクト……やっぱり女なんじゃ」
「それ以上言ったら怒っちゃうぞ?」
「ご、ごめん」
百歩譲って女と間違われるのは構わない。というか慣れた。
しかし男と説明したのに疑われるのは心外だ! 心はきっちり男なんだよ俺は!
そんな気持ちを吐き出すわけにもいかず、俺はおじさんエルフの言っていた鍛冶屋を目指す。
道中辺りを見回したが、人間の姿は少なかった。
外国に行って、そこで日本人を見かけるようなものだ。これなら『エルフ耳』を付けなくてもよかったかもしれない。
ま、多少は警戒心も薄れるからこのまま付けよう。
大きな煙突のある家、ドワーフの鍛冶屋前にやってきた俺は勢いよく扉を開けた。
「うわ」
思わず声が漏れてしまうほど、店内はどんよりしていた。
店主だろうか、髭面のドワーフが奥の方に座っている。
だ、大丈夫なのかな? 不安になってしまったが、俺はとりあえず店内を見て回ることにした。
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