弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

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序章『始まりの領地』

016 コレクター、冒険者登録をする


 酒場は、ロンテギアとさほど変わらなかった。
 冒険者ギルドの規模もロンテギアに比べて少し大きい程度で、さほど違いはない。
 とりあえず冒険者登録だけでもしておこう。

「登録をしたいんですけど」
「はい、冒険者登録ですね。ではお名前をお願いします」

 当然、冒険者登録をするためには名前が必要になる。
 偽名を使うとして、どんな名前にしようか。
 俺はサブキャラは持っていなかった。なので名前のストックなど当然ない。
 そうだな……どうせだし、『トワイライト』のデフォルトネームにしようか。

「俺がライト、彼女がエリで」

 俺がそう言うと、受付さんはカードのようなものにスラスラと文字を書き始めた。
 名前を書いているのだろう。異世界の冒険者登録というイベントは誰もが想像するだろう。
 いざやってみると、普通に役所で手続きをしている気分になる。まあ、ワクワクはするんだけども。

「ライト様と、エリ様ですね。ではこちらに指を乗せてください」

 すっ、と先程名前を書いていたカードが前に出てくる。
 その上に指を乗せると、ファンタジーな世界に似つかわしくないSFチックな青い線が入る。
 すると、カードに文字が浮かび上がった。冒険者と認めるとかなんとか、規約みたいなやつね。後で詳しく読んでおこう。

「ライト様は適性がありますね」
「適性?」
「ええ、適性の無い人はそもそも文字が浮かび上がらないんです。戦闘能力のある者、魔力のある者ならば問題なく登録ができます」
「へぇ」

 なんとなくだが、レベルが関係していそうだ。
 この世界にも隠れたスキルレベルが存在するのなら、隠れたレベルもあるはずだ。
 レベル5なら登録できる、とかかな? ある程度錬金術ができるエリィなら、レベルも上がっているはずなので大丈夫だろう。
 エリィが指を乗せると、同じように青い線が入り光る。そして、文字が浮かび上がった。

「エリ様も適性がありますね」
「よ、よかったぁ……」

 まあ、もし適性がなくても火山に行って、帰ってきたら十分そのレベルに達するだろう。
 最初はレベルがガンガン上がるのだ。錬金術でレベル5になっていてもおかしくない。

「依頼はすぐ隣の依頼掲示板を。モンスター討伐報告は私が担当しています。では、よい冒険者生活を」

 受付さんはそう言うと、にっこりと微笑みながら頭を下げた。
 とりあえず大量の紙が貼られている依頼掲示板を見る。ドレイクの討伐依頼……は流石に無いか。
 火山のモンスター討伐……もない。

「あの、火山関係の依頼ってありますかね」
「あるにはあるんですけど……ほとんどがドレイクに奪われた道具を奪い返してほしいというものでして……」
「じゃあそれ全部受けます」
「はいっ!?」

 ついでに稼げるのならそれに越したことはないだろう。
 メモだけしてその奪われた物を奪い返すだけで同時に依頼を達成できるのだ。受けない手はない。
 『グリーンクローバー』と『ピンクブロッサム』の取り引きが始まれば莫大な金が入ってくるだろうが、今はそれまでの活動に必要な金が欲しい。

「あれ、依頼って複数同時に受けられないんでしたっけ」
「いえ、それは大丈夫です。ですが火山は……」

 冒険者になったばかりなのに火山に行こうとしているのだ、心配するのも当然だろう。
 四竜なんて言われているドレイクが住んでいる火山だ、そもそも依頼が少ないのも頷ける。

「大丈夫です、奪い返すだけですから」
「だとしても、冒険者の数が減っている今そのような無茶無謀は止めなくてはなりません。なので警告です、本当に、この依頼を受けるおつもりですか」

 冒険者の数が少ない、それは冒険者ギルドの規模を見てすぐにわかった。
 よくある異世界ファンタジーのように、冒険者が沢山いるというわけではないのだ。
 兵士と違って毎日命がけの戦いをして金を稼がないといけない。
 当然、志望者は少なく死んでいく者は多い世界なのだ。
 警告されても仕方ない。なので俺ははっきりと答える。

「もちろん」
「そうですか……では、これを」

 少し悲しそうな顔をした受付さんが依頼書を引き出しから取り出す。
 一通り目を通す、金貨や武器、宝石……なるほど、財宝を集めているわけか。
 被害は多いが依頼を出している人は少ないらしい。まあ、初めから諦めている人がほとんどなのだろう。
 むしろ、依頼を出す方がおかしいまである。その中にあのドワーフの依頼はなかった。
 こっそりストレージから『魔法のノート』を取り出し、そこに書いていく。

 『魔法のノート』は無限に書くことができるノートだ。
 羽根ペンもセットになっており、こちらはインク切れの心配はない。
 ゲーム内アイテムの便利さは異常だな、流石にこういったアイテムの再現は難しいだろう。
 なんて思いながら全てのアイテムのメモが終わる。

「あ、そうだ。プレイヤーって知ってます?」

 ギルドを去る直前に、まだそれを聞いていないことを思い出した。
 俺の目的の一つ、他のプレイヤーを探す。ロンテギアにはいないが、シャムロットにはいるかもしれない。

「ぷれいやー……すみません、聞いたこともないですね」
「そうですか」

 こんな大きな国にもいない、か。
 俺以外のプレイヤーもこの世界で役割を持っているかもしれない。事情があってプレイヤー探しができていない可能性もある。
 ……まあ、期待するだけ損かもしれない。でも、いるといいな、くらいの気持ちで探そう。
 元の世界にも帰れないかもしれない。でも、その時はその時だ。この世界で生きよう。
 約束を果たせないのは悔しいけど。

「よし、行くぞエリ」
「ライト様……ご武運を」
「うわぁ、不安になってきた……」

 受付さんに警告されて不安になっているエリィを連れて外に出る。
 遥か遠方に見える火山を確認し、そこを歩みを進めた。
 レクト……いや、ライトの冒険者としての一歩目だ。最初の一歩は大きく。目標もでっかくだ。
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