弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

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序章『始まりの領地』

021 コレクター、竜の幼女と仲良くなる

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 もう一度言う。幼女になった。
 アイエエエ! ヨウジョ!? ヨウジョナンデ!? コワイ!

「どうしたのじゃ?」
「いやいやいや、待って。え、なにそれ? うん???」

 百歩譲って人型になるのは分かる。でもなんで幼女?
 背丈は子供のそれで、見た目は火竜族とほとんど同じだ。火竜族の里に居ても違和感はないだろう。
 しかし服装は危ない。動きやすさ重視なのかは知らないがほとんど下着のような服だ。局部だけ隠れてればいいみたいなファッション。

「ああ、この姿のことじゃな。住処にいる時はこの姿で過ごしておるのじゃ。小さいことはいいことじゃしな。全く、わしが寝ている間に盗みに入りおって……」
「だからあの時姿が見えなかったのか……」

 おかしいと思ったのだ、ドレイクが突然現れたのだから。
 空から現れたわけでもなく、そこにいたわけでもない。そう思っていたが、実は初めからいたのだ。この幼女の姿で。

「とにかく、向こうに椅子があるのでな。ついてまいれ。そこのお主も怖がっていないで出てくるのじゃ。今更どうもせん」
「は、はいいっ!」

 遠くで呆けていたエリィは、声を裏返しながら返事をした。
 住処の奥に向かうと、目の前に飛び込んできたのは火山に似つかわしくない綺麗な家具の数々だった。
 よく見るとベッドもある。ここで寝ていたのか、全く気付かなかった。

「あ~……久しぶりの戦闘で疲れたのじゃ。しかも負けたしのぉ! うはは!」
「あれは勝ったことになるの?」
「何を言っておる。あのまま戦っていたらわしは間違いなく負けていたであろう。わし、死にとうない」

 つまり降伏宣言ってことか。
 勝った気がしないのはなぜだろう。相手がこれだからかな。

「しかしこうして英雄と話をすることになるとは思わなかったのじゃ。あの時は敵同士だったしのぉ」
「それなんだけどさ、実は――――」

 俺は自分の素性を詳しく話すことにした。
 まず、俺は御伽噺と同じことが起きた別の世界から来たこと。
 そして、俺以外にもライトと同じ存在がこの世界に来ているかもしれないこと。
 ついでに、本当は人間であることも話した。

「それはまた珍妙じゃな。ということはかつてのわしと戦ったライトではないのじゃな?」
「うん。戦ったのは別の世界のドレイクと俺ね。だから申し訳ないけど、ドレイクが戦ったライトは俺じゃないよ」
「そうであったか……」

 露骨に悲しそうな顔をするドレイク。
 自分を倒した相手に会いたいと思うかな? 俺は思わない。

「……えっ!? 御伽噺の主人公だったの!?」
「そういえばお前も知らなかったっけ」

 説明中も沈黙を貫いていたエリィが声を上げた。
 そうだった、エリィには俺が別の世界から来た人間としか言っていなかった。
 正確には、この世界の御伽噺と同じことを体験した一人のプレイヤーだ。

「それで本題なんだけどさ、この財宝貰っていい?」

 俺の目的はドレイクと仲良くなることではなく、この奪われた財宝を奪い返すことだ。

「……嫌じゃ」

 返ってきたのは拒否の言葉だった。

「理由は?」
「奪ったからこれはわしの物じゃもん」

 うんうん。弱肉強食、奪われるのが悪い。だから俺はドレイクが悪いことをしているとは思っていない。
 でも、その考え方ならば奪われても文句は言えないはずだ。同じルールで奪ってやる。

「でも俺がこれを奪えば俺の物になるよね」
「それはそうなのじゃが! そうなのじゃが! うーーー!!!」

 葛藤しているのか、ドレイクは頭を抱えて唸った。
 子供らしいのか、それともドラゴンらしいのか。どちらかは分からないが、口から火を噴きながら悩み続ける。
 しかしその気持ち、俺にはよくわかる。

「分かる。分かるよ。苦労して集めたアイテムを失いたくないよね」
「り、理解してくれるのじゃな!?」

 やはり、ドレイクもコレクターなのだ。
 カラスなどが光る物を集めるのと同じように、このドレイクも綺麗な物を集めているだけなのだ。
 それを簡単に手放すわけにはいかない。もし渡してしまったら、とんでもない喪失感に苛まれることになるだろう。

「同じコレクターだからね。というわけで折衷案せっちゅうあんだ。これを二人の財としよう」

 人差し指をドレイクの顔の前で立てながらそう言う。

「ど、どういうことじゃ?」
「つまり、この財宝は二人の物ってこと。俺にもドレイクにも所有権がある状態ね」

 全部俺の物にはならないのは痛いが、まあ同じコレクターのよしみだ。仲良く分け合おうじゃないか。
 昔入っていたギルドではこうはいかなかった。よくレアアイテムで言い争いになったものだ。
 そして何らかの勝負をして所有権を勝ち取るのだ。そういう楽しいギルドだった。
 ギルドのじゃんけん大会、懐かしいなぁ。ちなみに優勝は俺ね。

「よいのか!?」
「うん。でも何個かのアイテムは持ち主に返すから貰うね」
「うぬぬ……仕方ないのじゃ」

 俺も少し後悔していたりする。いくら金が手に入るとはいえ、依頼を受けなければ俺の物になっていたのだ。
 ある程度の金は今目の前にある金貨の山から拝借したりすれば手に入る。なので金銭面のために依頼を受ける必要はない。
 が、冒険者としての信用を勝ち取るために依頼は達成しなければならない。

「その代わりと言ってはなんだけど、いいもの見せてあげるよ。俺もアイテムを集めるのが趣味でさ。例えば……ほら、こういうの」

 俺はストレージから『紫電のアメジスト』を取り出し、ドレイクに見せる。
 この世界に来る前にゲーム内で手に入れたレアアイテムだ。内部で稲妻が轟いている。

「これは……美しいのぉ」
「ほんとだ、綺麗……」

 コレクター気質でもないエリィですら見とれてしまうほどの美しさ。
 これ以外にも美しい宝石はいくつも持っている。『春風のエメラルド』『荒波のアクアマリン』『夏空のサファイヤ』などなど。鑑賞しているだけで時間を忘れてしまうような一品だらけだ。

「他にも色々持ってるから、好きに鑑賞していいよ」
「なんとぉ! このような美しい宝石をいくつも持っておるのか!?」

 ドレイクは身を乗り出しながら俺の肩を掴んできた。
 ええい近い近い。いくらドラゴンで幼女とはいえ露出が高すぎるんだよその恰好。

「まあね。いつでも見せるよ……って言いたいんだけど俺もやることがあるし、トワ村って村に来てくれたらゆっくり見せられるかな」
「行く! 絶対行くのじゃ!」
「じゃあとりあえず場所の確認を……って地図が無いか」

 地図が無いのでトワ村の場所を教えることができない。
 仕方ない、地図を買った後にまた〈空間移動テレポート〉でここに戻ってくるか。

「うむ。では案内せい。この姿なら人里に降りても問題ないじゃろ」
「えええっ!?」
「ここを離れちゃってもいいの?」
「ここは寝床でしかないからの。財宝に関しては、そもそもここに来る輩がいないから問題ないじゃろ。結界を張ればいいしの」

 結界……確かドレイクは炎の壁を作り進路を妨害していたはずだ。
 ストーリーではその炎で道が塞がれていて、進むことができなかった。
 それがこの世界では宝を守る結界として使われていると。
 財宝が安全なら言うことはない。俺に不利益があるわけでもないのだ。ならばこう答えよう。

「よし、面白そうだし。連れて行こう」
「それでいいんだ!?」

 こうして、俺は幼女状態のドレイクを連れ、トワ村に案内することになった。
 その前に、依頼とドワーフのおっさんのアイテムも回収しておこう。あと、族長の言っていた指輪もね。
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