弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

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第二章『黄金の羊毛編』

089 コレクター、毒使いを倒す

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 カリウスの試合から数試合続き、遂に俺の試合が始まろうとしていた。
 相手はドグマ。毒ナイフで戦う獣人だ。

「このナイフにはなァ! 毒が塗ってあるんだァ!」

 そう言いながら、狼の獣人であるドグマは毒ナイフを片手にこちらを睨みつけてきた。
 少し待ったが、ナイフを舐めることはなかった。てっきりここでナイフを舐めて自爆する奴だと思ってたのに。

「流石に舐めないかぁ」
「舐めたら死ぬだろ馬鹿か!?」

 ごもっともです。

「試合開始いいいいいい!」

 馬鹿な会話をしている間に、大王が試合開始の宣言をした。
 俺は刀を構え、ドグマは一気に突っ込んでくる。

「先手必勝ッ!」
「よっと」

 ひょいひょいとドグマのナイフを避ける。
 素早い動きだが、そのくらいの速さならば余裕で対応できる。
 ジャスターほど速ければ強かったんだろうけどね。一応ゲーマーだから、速い戦闘はできる。
 それに、今ならばジャスターと同じくらい速くても対応できるのだ。無敵すぎる。

「へッ、やるなァ!」
「それはどうも」

 そう言いながら俺は刀を鞘の中に収める。
 今の回避で『ツムカリ』を使った防御は必要ないと判断した。
 なのでここからは素手での対処や攻撃を行うことになる。
 毒使いの動きを見切り、ある程度戦闘に慣れたら拳か、抜刀スキルで倒そうか。

「ふっ! はあああ!」
「よっ、ほっと」

 時折加速したりして、緩急をつけて攻撃をしてくるため避けるのが難しい。
 なるほど、これは練習になる。変則的な動きをする相手には集中し、警戒する必要がある。
 隙を突いて拳をわき腹に叩き込む。よし、上手く入った。

「うぐっ! ど、どうなってんだァ……?」
「そろそろ速さ比べしようよ」

 さほどダメージは入っていないようだが、俺の拳を何度も叩き込めれば倒せそうだ。
 ここからは避けるだけでなくこちらから攻める。あの変則的な動きを、こちらも攻撃を加えながら避ける。難しそうだ。

「うぐっ、当たらねェ……!」
「あぶねっ」

 思い出せ、ドレイクの戦い方を。
 ただ高火力で押し切るわけではなく、格闘技のような動きで相手の技を受け流す。
 真似をするだけではあるが、格闘技のような動きは『トワイライト』で何度かやったことがある。
 何度か攻撃をするが、緩急のある動きのせいで強力な一撃は入らない。

「埒が明かねェ。一気に終わらせてやる! ポイズンレイン!」
「ええええええええなにそれっ!?」

 『トワイライト』の魔法や武技っぽい技名だが……毒ナイフは光っていない。
 なんだなんだと警戒していると、ドグマは腕を高速で動かして大量のナイフを飛ばしてきた。
 ほぼ同時に毒ナイフを投げる技術はすごいが、飛んでしまえば簡単に避けることができる。
 俺は全力でジャンプし、大量の毒ナイフを避けた。

「うおおおおおおお!!」
「ちょっと! それダメでしょ!?」

 俺のジャンプに合わせて、ドグマは毒ナイフを空に向けて投げてきた。
 これでは投げられた毒ナイフが観客席に当たってしまうかもしれない。
 そう判断した俺は、刀を抜いて全てのナイフを撃ち落とした。危なかった。

「馬鹿なッ!?」
「観客に当たったら危ないでしょうがスラッシュ!!」

 落下すると同時に地面を蹴り、一気に距離を詰めた俺はドグマの腹に刀を振り抜いた。
 安心してほしい、刃の無い方で斬ったから。
 それでも相当な威力が襲ってきたのか、ドグマは腹を抱えて片膝をついた。

「ぐっ……くそぉ……」
「続ける?」
「……いや、降参だ」

 最後の俺の加速を見たドグマは、勝てないと判断したのか降参する。
 よし、今後は舐めプしないで一瞬で倒そう。これが優勝候補なら、カリウスたちと戦う時までまともな戦闘はしなさそうだ。

「勝者! ロンテギアのレクト!」

 詳しくはロンテギアトワ村のレクトね。
 再び見知らぬ人間が優勝候補に勝利したことにより、会場の熱気は物凄いことになっていた。
 一回戦から盛り上がってるなぁ。

「うおーーー!! かわいいぞー!!!」
「結婚してくれーーー!!!」

 なんか聞こえて気がする。
 勝ったし、早いとこ待機所に戻ろう。

* * *

 一回戦が終わり次の試合がかなり先になったので観客席に向かうと、そこにはカリウスと少し前にカリウスは負けると予想していた獣人が立っていた。
 その獣人は顔を青くしながら震えており、カリウスはため息をついていた。

「どしたの」
「ん、ああ。なんかこいつが謝ってきてよ」
「ああああんたもっ、すんげー強かったんだなぁ! いやぁ申し訳ないことをした!」

 どうやらカリウスと俺の戦闘を見て先程の無礼を謝りに来たらしい。
 俺は特に気にしてないけども。この後カリウスとこの人が試合だったはず。大丈夫かな?

「別にいいけど……そういえばカリウス、次この人とでしょ?」
「そうだな。楽しみにしてるぜ」
「あ、ああ……はははっ」

 悲惨だ。きっとカリウスにボコボコにされてしまうのだろう。
 そういえば、カリウスとは決勝で会うことができないらしい。
 勝ち進んだ場合、カリウスと戦うのは準決勝だ。もう片方のトーナメントでは、エリィとドレイクが準決勝になる。
 つまり俺が勝てばエリィかドレイクと決勝で戦えるということ。
 俺がカリウスに負けた場合はカリウスがあの二人のどちらかと戦う……それはそれで面白そうだ。
 そろそろエリィの試合が近い。準決勝までは特に苦戦しないだろうし、獣王戦を楽しもう。
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