弱小領主のコレクター生活~アイテムチートで冒険、領地運営をしながら最強領主に成り上がります~

瀬口恭介

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第二章『黄金の羊毛編』

091 コレクター、騎士と決着をつける

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 試合が近づくにつれて緊張感が増していく。
 いつも通り、トワの森での修行で何度も戦っただろう。あの時のように戦えばいいだけだ。
 そう自己暗示をかけるが、落ち着かない。
 今後もカリウスとは修行をするだろう。同じように模擬戦をすることもある。
 それでも、こうして多くの目がある場所でどちらが強いかを決めるとなると話が変わってくるのだ。

 今まで勝ったり負けたりしてきた。しかも、お互いに手加減してだ。殺しちゃいけないんだから。
 今回ばかりは、救護班もいるしエリィのポーションもある。死にかけても構わない。
 全力を出せる。正真正銘の決着となるだろう。

「手加減は無しだぜ」
「うん。殺す気で行くから覚悟してね」
「おお怖い。ま、そんくらいじゃなきゃな」

 首さえ飛ばさなきゃいいかなって思ってるよ。
 腕が切断されようとどうにかなる。心臓を突かれても……まあ、急いで対処すれば何とかなる。
 最悪蘇生すればいいしね。最悪ね。エリィに蘇生アイテム渡しといたし。

 待機所から一緒に出る。
 歓声が上がるが、その中には俺へ向けられた野太い声が多い。
 中央まで移動し、深呼吸をする。

「両者向かい合うのだ」

 大王に従い、俺とカリウスは中央の印から数歩お互いに離れた。
 カリウスは剣を、俺は刀を抜き、構える。
 カリウスは現在鎧姿ではないので、鎧を纏う前に一気に仕掛けようか。

「準備はよいな?」

 小さく頷く。

「では、試合……始めえええええええ!」

 大王の大声が闘技場に響き渡る。
 まず最初は力比べと決めていた。正面から、エクスカリバーに対抗する。

「うおおおおおおおおおおおお!!!」
「だらあああああああああああ!!!」

 剣と刀がぶつかると、重々しい金属音が響く。
 ギリギリと鍔迫り合いになりながら、お互いに力を込めて押し合う。一歩も引かない、武器が悲鳴を上げているように火花が散った。
 鍔迫り合いの力比べは互角か、それなら!

「はあっ!」

 払うように一気に力を入れ、その勢いを利用して下がる。
 それを見たカリウスは手の甲を光らせた。銀色の光と共に、魔力が鎧の形に変わっていく。
 もう使いこなしているのか、だが、動きが多少良くなったところでこっちの方が速く動ける!

「そりゃあ!!」
「くっ……」

 攻撃を仕掛けると、カリウスは剣を思いっきり叩きつけてくる。
 こちらも攻撃を受けないように調整するので一向に身体に攻撃を入れることができない。
 一撃一撃が全て強力な攻撃だ。どちらが当てても大怪我を負うだろう。

「エクスカリバー!」
「っ、光か!」

 次の攻撃はどこを狙おうと離れたタイミングで、カリウスのエクスカリバーが金色の光を発した。
 周りにある光の粒子自体には攻撃力は無いが、刀身として伸びている光には攻撃力がある。
 単純にリーチが伸びているのだ。それだけでも十分警戒しなければならないのに、さらにそのリーチが一定ではないのがとても質が悪い。

「お、重っ!?」
「っしゃあ! どうしたレクトぉ!!」

 いつもは自らの加えた力を利用するか、地面を蹴るかで後ろに飛んでいたのだが、今回はカリウスの力に吹き飛ばされてしまった。
 受け止めようとしたのだが、急激に上がったカリウスのパワーに負けてしまった。
 このままじゃいけない、俺は身軽さを活かして一旦避けることに専念する。

「――〔キルタイム〕」
「やっと使ったか」

 避けながら、集中力をひたすら高めていた。
 そして、〔キルタイム〕を発動させた。辺りの色がモノクロに変わり、能力が上昇する。
 カリウスの動きがはっきり見え、今まで出来なかった動きができるようになる。

「っすぅー……」

 発動時間は限られている。
 エクスカリバーを弾いて隙を作るか、速さを利用して撹乱するか。
 まずは、撹乱だ。回り込むまではできなくても瞬時に移動して攻撃すれば多少の隙はできる。

「っぶねぇ、当たるところだったぜ」
「あれを避けるとか……」

 まずは腕を落とそうとしたのだが防がれてしまった。
 完全に当たったと思ったんだけどなぁ。第六感でもあるのだろうか。

「こっちの番だ! そらああああ!!」
「いっ!?」

 カリウスが予想よりも早く剣を振った。簡単に避けることができる……と思ったのだが、光が集まり刀身を伸ばした。
 それにより剣の当たる範囲内に入ってしまったので、刀で受ける。
 初めて見たんだけどそれ! だけど……

「そこだああああ!!」

 剣を振り抜いたことによりこちらが攻撃できるようになる。
 咄嗟の防御もできない、確実に一撃入る!
 俺の刀はカリウスの左腕に直撃する。いや、通過した。
 空中には血をまき散らしながら離れる腕が。これで片腕を封じた!

「ちぃ……」

 PVPの基本、攻撃の手を緩めない!!!
 相手が動揺しているときはそのまま攻撃を続けるんだ!

「はあああああああ!!」
「ま、だだ……まだだあああああ!!」
「っ!?」

 咄嗟に飛び上がって避けようとするがもう遅い。
 刀身の伸びた『騎士剣エクスカリバー』は、俺の右足を完全に捉えていた。
 空中で自らの足に視線を向けると、右足が、足首の辺りから切断されていた。
 鋭い激痛。今まで感じたことのない痛みだが、ここで痛みに気を逸らしてしまってはいけない。
 着地と同時に、左足で地面を蹴った。地面とすれすれの状態で突撃する。

「なっ!?」
「いっけええええええええええ!!!!!」

 一瞬での特攻に驚きを隠せないカリウス。
 俺の頭の中に飛び込んできたイメージは、ヘビだった。
 地面を高速で這い、牙で獲物を噛み砕く。
 そのイメージに沿うように、刀をカリウスに向けた。

「がはっ……!?」

 鎧があったとはいえ、当たったのは腹だ。
 完全に貫通したわけではなく、俺のタックルと刀での突きにより途中まで刺さった段階で吹き飛ばされたらしい。
 闘技場の壁まで飛ばされたカリウスは、そのまま寄りかかりながら荒く息をしていた。

「ははっ、負けたぜ……もう立てねぇ」

 口元から血を垂らしながら、カリウスは手を上げ、手のひらを審判に見せる。
 負けを認めたのだ。それを見た後、鞘を杖代わりにして立ち上がる俺を見た審判は大王に合図を送る。

「勝者! レクト!」

 大王の言葉に安堵し、一気に力が抜ける。
 冷静になって目の前に飛び込んできたのは、切断されたカリウスの左腕だった。

「ああ、カリウスの腕だ……回復……回復しなきゃ……」
「あんたの足もでしょ馬鹿! やりすぎよ!!!!」

 観客席にいたエリィが大声で怒っている。ごめんて。
 遅れてやってきた激痛に苦しみながら、俺は何とか足をくっつけることに成功した。
 カリウスの腕もくっつき、これで後の戦いに支障がなくなる。
 切断したばかりならくっつけることもできる。そう、『グリーンポーション』ならね。
 そう心の中で大王に見せつけながら、俺は疲れた身体を休めることにした。
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