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第2.5章『魔王懐柔編』
109 コレクター、魔王について調べる
しおりを挟む次の日、〈空間移動〉でロンテギアに転移した俺、カリウス、ルインの三人は図書館で魔王について調べることにした。
早速魔王について記されている本を探すがやはり少ない。しかも書かれている内容もそこまで詳しくなく、ほんの少しだけ記されているのみだ。
「デルビリア大陸を支配する悪魔の王……」
当たり障りのない紹介のされ方をしている。
もっとこう、性格だとか成し遂げたことに対しての紹介はないのだろうか。
「巨漢らしいぞ」
「こっちには細身の男って書かれてるけど、どういうこと?」
一応容姿については記されているが、カリウスの読んでいる資料には巨漢と書かれていて俺の読んでいる資料には細身の男と書かれている。
これはいったいどういうことだろうか。ここまで情報が違うと混乱してしまう。
「あーそれはね、歴代魔王だよ。魔王は初代の魔王から力を引き継いでるの」
「なるほどなるほど」
魔王の力が初代から引き継がれてきたということは、今の魔王はここに記されている魔王とは全く違う見た目をしているかもしれない。
一番新しい本はどれだろうか。どれも古いな。年代も分からないし、手掛かりにはならなそうだ。
というか。
「ルインに聞けばいいんだ。今の魔王ってどんな見た目してるの?」
「んー、分からない。魔王城からほとんど出ないから、容姿を見た人は本当に少ないんだって」
あら残念。国民に容姿を知られてない王様ってどういうことなの。
「そっかぁ、ってことはルインは魔王についてほとんど知らないんだ?」
「うん。まあ少しは知ってるけど、期待には応えられないかな」
こちらが想定していたよりも魔王の情報は手に入れることができなさそうだ。
それはそれとしてオルタガの話ならば聞くことができるのでそちらを中心に調べてみようか。
「エルフに匹敵するほどの魔力、魔法技術。獣人に匹敵するほどの潜在能力……最強じゃないこれ?」
「種族からして上位種だよな」
オルタガについて書かれている資料には、シャムロットとアルゲンダスクのいいところを取ったような解説がされていた。世界から浮いているような感覚だ。
一番種族差を感じるのはこのオルタガという国かもしれない。
「人間とは立場が違うからね」
「……人間もやれるよ、十分ね」
「ふーん、まあレクトくんたちが特別なのはわかるけど他はどうかなぁ」
「どうだろうね」
人間が劣らないことも証明しなくては。
今のところ錬金術の技術などで他国を上回ることができそうだが、戦闘技術に関してはまだまだ未知数だ。
これから先、ロンテギアの兵士や騎士たちを鍛えていけば戦力も引けを取らないものになるのだろうか。
可能なら、時間があるときにでも実験をしてみようか。カリウス辺りに教官をさせれば強くなれそうな気がする。
「何その反応、つまんないなぁ」
「あくまで種族ごとの話だからね。絶対に人間は悪魔族に敵わないなんて言われたら流石にもう少し言うけど」
「人間が悪魔族にねぇ……今度騎士長に頼んで他の騎士と修行してみるのもいいかもしれねぇなぁ」
「いいね、エリィの錬金術も広めたいし時間があるならしばらく王都で強化合宿してもいいかも」
現状錬金術はエリィだけが飛びぬけている状態だ。
見習いの錬金術師たちにも質のいい錬金窯を用意したり一日の錬金回数を増やしたりするよう呼びかけなくては全体のレベルアップには繋がらない。
この世界の人たちは才能以外で効率的に強くなる方法を知らないのだ。その技術が他国にも渡れば他国の戦力も上がるだろうが、それでも隠れていた天才は姿を現すはず。
「そんなことしても意味ないのに」
「え?」
「ううん何でもないよ。それでこの後はどうするのかな?」
この後か、今回王都にやってきたのは図書館と王様との話し合いだけだ。
なので王様と話をしたら目的は達成したことになる。後はさっさと魔法で帰るだけだ。
「王様と話し合いをしたら、用事は終わりだよ」
「なら宿でも探すか。せっかくだし今日は王都に泊まろうぜ。ルインも王都を観光したいだろ?」
そういえばそうだ、完全に忘れていたがルインは旅をしているのだ。当然王都の観光もしたいはず。
ならすぐには帰らずに王都でできることを探したほうがいいか。
「そういえば王都はまだだったなぁ。それなら、二人が王様と会っている間に観光しちゃおうかな」
「ああそうか、旅してるんだもんね。このまま王都に住んじゃってもいいと思うけど、どう?」
「観光してから決めようかな」
トワ村よりも色々なものが揃っているので住むのなら王都がいいと思ったのだが、そんなにルインはトワ村を気に入っているのか。
なんだか少し嬉しくなってしまう。最近は領主らしいこともできていないし、もう少し村のためになることも進めていきたい。
「じゃあ宿探しからだね。お金はあるからいいところ泊まろうよ」
「だな。というか、お前の『王証』を見せたら無料で泊まれそうだけど……」
「マジぃ? 権力って怖いなぁ」
分かってはいたが宿屋の料金を払わずに利用できるとは。『王証』恐るべし。
さあ、さっさと宿を探してお城に向かおう。
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