147 / 160
最終章『黄昏の約束編』
147 コレクター、誰かに似ている?
しおりを挟むライトさんへの説明を終え、俺に戦闘能力が無いと分かったためそのまま別れずに捜索を続けることにした。
捕らえようと襲い掛かってくる魔術師たちはライトさんが倒してくれる。なんとライトさん、魔術を使わずに魔術師を倒し始めた。
拳で大量の魔術師を吹き飛ばしていく。頭おかしいんだなって思った。
「ふう、ほとんど気絶させたな」
「もう全部ライトさん一人でいいんじゃないかな」
「レクトくん、そもそも私たちは戦っていないし戦えないぞ」
「そうだった」
全部ライトさんがやってくれましたと。
魔術師が集まっているとはいえ戦えるような魔術師の数は限られている。襲い掛かってくるどころか逃げ出す魔術師が多いのを見るにほとんどが勝てないと判断したのだろう。
そのほうが捜索しやすくて助かるが、なんだか拍子抜けだ。ライトさんが強すぎて安心感が違う。
「そういえば、俺たちを無視して逃げる魔術師の中に出口とは反対側に逃げてる人もいたよね。何かあるの?」
「ゲートだな。異世界へと通じる道だ」
「え、異世界に逃げられたってことですか?」
「確かにゲートの先は異世界だけど、天界という天空にある空間に繋がってるんだ。確か、その天界にも同じような施設が建てられていたな」
「なにそれぇ……」
天界……あの創作で何度も聞いた神聖な場所にこの研究所が建てられてるの?
あまりにもこっちの人間が侵食しすぎている気がする。自然界から見た人間もこんな感じなのかもしれない。
しかしそんな場所に逃げてどうするのか。安全になる場所があるのか、それとも何か目的があるのか。
「根上が天界にいる可能性もあるしな……とりあえずこっちのエリアを探し終わったら天界にも突入しよう」
その後も捜索を続けていると、突然廊下の閉鎖が始まった。
天井から壁が降りてくる。出口を塞ごうという作戦だろうか? 何故今更?
警告音にビビっていると、視線の先に合った扉がシュインと開いた。
「な、なんですか!? 何が起こってるんですかー!?」
部屋から出て辺りを見回していたのは、一人の少女だった。
背中には……羽が生えている。異種族だ。
「ライトさん、あれは?」
「天使だな、なんでこんなところにいるんだ?」
「実験に協力してもらっている。ライトのような拘束は警戒されているからできなかったのだそうだ」
無理やり従わせなかったのは、天使にある程度戦闘能力があるからだろうか。
「だ、誰でしょうか?」
こちらに気付いた天使が怯えながら見つめてくる。うっ可愛い。マジ天使って言葉がそのままの意味になってしまう。
「む、お前英雄なのに知られていないのか」
「関わりがなかったからな。俺が帰ってきてから異世界の警備とか担当してたみたいだし」
天使とライトさんはすれ違いになっていたらしい。そりゃ怯えられて当然か。
「……?」
さてどう話しかけようかと考えていると、天使が俺の顔をじっと見つめてきた。
顔に何かついているのだろうか。
「え、何?」
「むー? むむむ???」
「なにそれかわいい。じゃない、どうしたの?」
「……誰かに似ているんです」
はて、俺に似ている有名人なんていただろうか。
しばらく考え込んだ天使は、ピンと来たのかハッと顔を上げ指をさした。
「あー! レクトさんにそっくりです!!!」
「……本人なのにそっくりさん認定されたんだけど」
まさかの俺の名前が飛び出してきた。
いや本名でもないんだけど、なんでこの子がレクトって名前を知ってるの?
「まさか、君はレクトくんに会ったのか?」
「え、ええ。会いました、少し前にですが」
俺に会った……いや、あっちの俺に会ったのか。
ということはもう一人の俺が近くにいるということ。異世界で何があったのだろうか、何故こっちの世界に来ているのだろうか。疑問は尽きない。
「俺は異世界を再び救いに来たライトだ。他の天使もいるんだろ? 中に入って話を聞かせてくれないか?」
「ライト? あ、あのですか!? どうぞどうぞ! お茶くらいしか出せませんけど!!!」
ライトさんが名乗ってくれたおかげですんなりと部屋に入れるようになった。
あっちの俺も、異世界を救おうとしてくれているのかもしれない。それならば話を聞いた天使もそれなりの情報を持っているだろう。
封鎖された廊下はライトさんの魔術でどうにでもなる。一旦ここでゆっくり情報収集をしていこう。
0
あなたにおすすめの小説
大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います
町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。
神様転生~うどんを食べてスローライフをしつつ、領地を豊かにしようとする話、の筈だったのですけれど~
於田縫紀
ファンタジー
大西彩花(香川県出身、享年29歳、独身)は転生直後、維持神を名乗る存在から、いきなり土地神を命じられた。目の前は砂浜と海。反対側は枯れたような色の草原と、所々にぽつんと高い山、そしてずっと向こうにも山。神の権能『全知』によると、この地を豊かにして人や動物を呼び込まなければ、私という土地神は消えてしまうらしい。
現状は乾燥の為、樹木も生えない状態で、あるのは草原と小動物位。私の土地神としての挑戦が、今始まる!
の前に、まずは衣食住を何とかしないと。衣はどうにでもなるらしいから、まずは食、次に住を。食べ物と言うと、やっぱり元うどん県人としては……
(カクヨムと小説家になろうにも、投稿しています)
(イラストにあるピンクの化物? が何かは、お話が進めば、そのうち……)
ジャングリラ~悪魔に屠られ魔王転生。死の森を楽園に変える物語~
とんがり頭のカモノハシ
ファンタジー
「別の世界から勇者を召喚する卑怯な手口」に業を煮やした堕天使・ルシファーにより、異世界へ魔王として転生させられた大学生・左丹龍之介。
先代・魔王が勇者により討伐されて100年――。
龍之介が見たものは、人魔戦争に敗れた魔族が、辺境の森で厳しい生活を余儀なくされている姿だった。
魔族の生活向上を目指し、龍之介は元魔王軍の四天王、悪魔公のリリス、フェンリルのロキア、妖狐の緋魅狐、古代龍のアモンを次々に配下に収めていく。
バラバラだった魔族を再び一つにした龍之介は、転生前の知識と異世界の人間の暮らしを参考に、森の中へ楽園を作るべく奔走するのだが……
神様から転生スキルとして鑑定能力とリペア能力を授けられた理由
瀬乃一空
ファンタジー
普通の闇バイトだと思って気軽に応募したところ俺は某国の傭兵部隊に入れられた。しかし、ちょっとした俺のミスから呆気なく仲間7人とともに爆死。気が付くと目の前に神様が……。
神様は俺を異世界転生させる代わりに「罪業の柩」なるものを探すよう命じる。鑑定スキルや修復スキル、イケメン、その他を与えられることを条件に取りあえず承諾したものの、どうしたらよいか分からず、転生した途端、途方にくれるエルン。
異世界転移物語
月夜
ファンタジー
このところ、日本各地で謎の地震が頻発していた。そんなある日、都内の大学に通う僕(田所健太)は、地震が起こったときのために、部屋で非常持出袋を整理していた。すると、突然、めまいに襲われ、次に気づいたときは、深い森の中に迷い込んでいたのだ……
出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜
シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。
起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。
その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。
絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。
役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる