38 / 65
探せ! 鉱石の竜!
しおりを挟む
鉱山の反対側は、採掘が進んでいて多少抉れている。
鉱石の作られる範囲を広げて、採掘効率を大幅に上げているそうだ。言ってしまえば畑で耕した土地を増やすようなもの。種である鉱石は人工的には作れないけど、それでも効果はある。
「ここにドラゴンが現れるのかー」
「今は平和だけどねー」
「早速、探すであります!」
各自ドラゴン退治を前にして気を張る。それもそうだ、ドラゴン、話には聞くが実際にどのような見た目なのかはみんな知らないのだから。
一応以前倒したデクセスも竜種なのだが、あれは完全にでかいトカゲだったしなぁ……いや、ドラゴンも案外羽が生えているだけのトカゲなのかもしれない。そう考えると気持ちが楽になってきた。よし、ぶっ殺すわ。
「いざドラゴン退治だ、今から夜にかけて採掘場の探索を行う。各自見つけ次第報告すること、解散!」
リーダーっぽいことを言って解散しようとする。私かっこいい。
「えー、みんなで探さないの?」
「だってねぇ、その方が効率が……」
待てよ? 確かさ、隊長ってなんか魔獣を探せる道具を持ってなかったっけ。それを使えば簡単に見つけることができるのではないか。
「隊長! あの、探すやつ!」
「え、あれは精霊の力を借りてるんで、いるかもって時にしか使えないでありますよ。足跡があったとか、咆哮が聞こえたとかじゃないと」
「ダメかー……じゃ、やっぱり自力で探すしかないね。見つけたらその時はお願いね、隊長」
「了解したであります!」
無駄に使えないのなら無駄じゃなければいいのだ。ちょっとでも声が聞こえたら使わせようかな。
そんなことを考えながら、働いている人などと話をしたり、採掘の行われていない高い場所を探索したりして時間を潰した。
* * *
二日目。一日目は見つからなかったが、二日目ならば見つかるだろう。
そう思っていた時期が私にもありました。結果、見つからない。警戒心が強いというのは本当なのだろう、もしかしたら私たちの気配に気づいているのかもしれない。
そのままだらだらと三日、四日と過ぎていく。採掘のついでとはいえ悔しい。
これは本当に気づいているのでは。賢いな……ワンチャン、猪の前に出てきたポコより賢いのではないか。
「これさぁ……動かない方がいいんじゃない?」
小屋に帰り、就寝する前にそう言った。
「え、なんでー? 探したほうが早く見つかるよ?」
「いや、向こうはこっちに気づいてるかもでしょ? ならさ、待ってた方がいいじゃん」
「なるほど、確かに気づいているかもであります」
「でしょ? どうすればいいんだろうね」
気づいてるなら動かずに待てばいい。でも、待っていたら気が狂ってしまう。せめて効率を上げられればいいんだけど。
「そうなんだー……あ、じゃあエサで釣るとか!」
「そんな、ポコじゃないんだから」
「なんでわたし!?」
ポコ=バカの法則が成り立っている。
エサで釣る? そんなの……そんなのって……あれ? いけるのでは? 効率上がるし、気持ち的にも楽になる。
「どしたの」
「そのドラゴンのエサってさ、鉱石だよね」
「そうだね」
「これ」
私は袋から宝石を取り出し、二人に見せた。運がよくなる気がしてお守り代わりに持ち歩いていたのだ。
「なんでありますかこれは」
「宝石、すっごい高いの」
「これで釣るんでありますか!? で、でもこれを売ったら大金が手に入るんじゃ……」
「金よりロマンだ。明日はこれでドラゴンを釣る」
「おお、男らしいでありますな」
「だねー、えっちゃんかっこいい」
女の子に向かって男らしいとはなんたることか。それに、宝石なんてなくても毎日採掘してればお金は稼げるのだ。さらに、ドラゴンを倒せば大量の素材が手に入る。さらにさらに、報酬金も出るのだ。むしろおつりがくるのではないだろうか。
「じゃ、明日が本番だと思ってね。おやすみ」
「おやすみなさーい」
「おやすみなさいであります」
なぜ今まで気づかなかったんだというようなアイデアだが、とにかく現状が変わるという事実に安心してしまう。気ままに狩りをするのなら、こういう不安要素は解消しなくてはいけない。
楽しみで寝られないかとも思ったが、採掘の疲れか一気に来たのか、一気に眠気に意識を奪われた。
* * *
「さて」
やってまいりました深夜の鉱山。木陰に隠れながら、遠くに置いた宝石を眺める。
原始的なやり方だが、今はこれ以外思いつかない。一応魔術を使って遠視をしているので、気配で気づかれることはなさそうだ。
「来るかなー?」
「どうだろうね。監視役は一人でいいし、交代しながら待とうか」
一番最初は私。ひたすら宝石を眺めたり、空の様子を見たりして、時間を潰す。
……。
……。
…………。
「飽きた。って何してるのさ」
「錬金術だよー」
「道具の準備であります」
いいなー、私も暇つぶしというか、その場でできること探さなきゃなー。
ポコは何を作っているんだろう、小石を錬金窯に入れてひたすらかき混ぜている。ふむ、わからん。石から何ができるって言うんだ。
「吾輩も暇になってきたので、そろそろ代わるでありますよ」
「マジ? いやぁ悪いねぇ」
「絶対悪いと思ってないでありますな」
ばれてら。全くためらわずにその場を離れたのが敗因だったか。もうちょっと「いやいやいいですよーまだ始めたばかりですしー、えー、でもー、いいんですかぁ? やったぁ!」みたいな演技しておけばよかったんだ。
誰だそいつ気持ち悪い。
「ははは、じゃあお願いね」
さーて、私は体を動かしてすぐに動けるようにしておくか。軽く体をほぐしていく。んー気持ちいい。こうなったらお風呂にも入りたい。
「よし、できた」
ポコの錬金術が成功したようなので何を作ったのか聞こうと思ったその時、風が吹いた。
ふと空を見上げる。ここからでもわかる。月明かりに照らされたシルエットは、ドラゴンのそれだった。
鉱石の作られる範囲を広げて、採掘効率を大幅に上げているそうだ。言ってしまえば畑で耕した土地を増やすようなもの。種である鉱石は人工的には作れないけど、それでも効果はある。
「ここにドラゴンが現れるのかー」
「今は平和だけどねー」
「早速、探すであります!」
各自ドラゴン退治を前にして気を張る。それもそうだ、ドラゴン、話には聞くが実際にどのような見た目なのかはみんな知らないのだから。
一応以前倒したデクセスも竜種なのだが、あれは完全にでかいトカゲだったしなぁ……いや、ドラゴンも案外羽が生えているだけのトカゲなのかもしれない。そう考えると気持ちが楽になってきた。よし、ぶっ殺すわ。
「いざドラゴン退治だ、今から夜にかけて採掘場の探索を行う。各自見つけ次第報告すること、解散!」
リーダーっぽいことを言って解散しようとする。私かっこいい。
「えー、みんなで探さないの?」
「だってねぇ、その方が効率が……」
待てよ? 確かさ、隊長ってなんか魔獣を探せる道具を持ってなかったっけ。それを使えば簡単に見つけることができるのではないか。
「隊長! あの、探すやつ!」
「え、あれは精霊の力を借りてるんで、いるかもって時にしか使えないでありますよ。足跡があったとか、咆哮が聞こえたとかじゃないと」
「ダメかー……じゃ、やっぱり自力で探すしかないね。見つけたらその時はお願いね、隊長」
「了解したであります!」
無駄に使えないのなら無駄じゃなければいいのだ。ちょっとでも声が聞こえたら使わせようかな。
そんなことを考えながら、働いている人などと話をしたり、採掘の行われていない高い場所を探索したりして時間を潰した。
* * *
二日目。一日目は見つからなかったが、二日目ならば見つかるだろう。
そう思っていた時期が私にもありました。結果、見つからない。警戒心が強いというのは本当なのだろう、もしかしたら私たちの気配に気づいているのかもしれない。
そのままだらだらと三日、四日と過ぎていく。採掘のついでとはいえ悔しい。
これは本当に気づいているのでは。賢いな……ワンチャン、猪の前に出てきたポコより賢いのではないか。
「これさぁ……動かない方がいいんじゃない?」
小屋に帰り、就寝する前にそう言った。
「え、なんでー? 探したほうが早く見つかるよ?」
「いや、向こうはこっちに気づいてるかもでしょ? ならさ、待ってた方がいいじゃん」
「なるほど、確かに気づいているかもであります」
「でしょ? どうすればいいんだろうね」
気づいてるなら動かずに待てばいい。でも、待っていたら気が狂ってしまう。せめて効率を上げられればいいんだけど。
「そうなんだー……あ、じゃあエサで釣るとか!」
「そんな、ポコじゃないんだから」
「なんでわたし!?」
ポコ=バカの法則が成り立っている。
エサで釣る? そんなの……そんなのって……あれ? いけるのでは? 効率上がるし、気持ち的にも楽になる。
「どしたの」
「そのドラゴンのエサってさ、鉱石だよね」
「そうだね」
「これ」
私は袋から宝石を取り出し、二人に見せた。運がよくなる気がしてお守り代わりに持ち歩いていたのだ。
「なんでありますかこれは」
「宝石、すっごい高いの」
「これで釣るんでありますか!? で、でもこれを売ったら大金が手に入るんじゃ……」
「金よりロマンだ。明日はこれでドラゴンを釣る」
「おお、男らしいでありますな」
「だねー、えっちゃんかっこいい」
女の子に向かって男らしいとはなんたることか。それに、宝石なんてなくても毎日採掘してればお金は稼げるのだ。さらに、ドラゴンを倒せば大量の素材が手に入る。さらにさらに、報酬金も出るのだ。むしろおつりがくるのではないだろうか。
「じゃ、明日が本番だと思ってね。おやすみ」
「おやすみなさーい」
「おやすみなさいであります」
なぜ今まで気づかなかったんだというようなアイデアだが、とにかく現状が変わるという事実に安心してしまう。気ままに狩りをするのなら、こういう不安要素は解消しなくてはいけない。
楽しみで寝られないかとも思ったが、採掘の疲れか一気に来たのか、一気に眠気に意識を奪われた。
* * *
「さて」
やってまいりました深夜の鉱山。木陰に隠れながら、遠くに置いた宝石を眺める。
原始的なやり方だが、今はこれ以外思いつかない。一応魔術を使って遠視をしているので、気配で気づかれることはなさそうだ。
「来るかなー?」
「どうだろうね。監視役は一人でいいし、交代しながら待とうか」
一番最初は私。ひたすら宝石を眺めたり、空の様子を見たりして、時間を潰す。
……。
……。
…………。
「飽きた。って何してるのさ」
「錬金術だよー」
「道具の準備であります」
いいなー、私も暇つぶしというか、その場でできること探さなきゃなー。
ポコは何を作っているんだろう、小石を錬金窯に入れてひたすらかき混ぜている。ふむ、わからん。石から何ができるって言うんだ。
「吾輩も暇になってきたので、そろそろ代わるでありますよ」
「マジ? いやぁ悪いねぇ」
「絶対悪いと思ってないでありますな」
ばれてら。全くためらわずにその場を離れたのが敗因だったか。もうちょっと「いやいやいいですよーまだ始めたばかりですしー、えー、でもー、いいんですかぁ? やったぁ!」みたいな演技しておけばよかったんだ。
誰だそいつ気持ち悪い。
「ははは、じゃあお願いね」
さーて、私は体を動かしてすぐに動けるようにしておくか。軽く体をほぐしていく。んー気持ちいい。こうなったらお風呂にも入りたい。
「よし、できた」
ポコの錬金術が成功したようなので何を作ったのか聞こうと思ったその時、風が吹いた。
ふと空を見上げる。ここからでもわかる。月明かりに照らされたシルエットは、ドラゴンのそれだった。
0
あなたにおすすめの小説
追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─
石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」
貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。
「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」
かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。
ときどき舞い込んでくるトラブル。
慌ててミーナを探しているルカ。
果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。
甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。
*サイトより転載になります。
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました
下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。
ご都合主義のSS。
お父様、キャラチェンジが激しくないですか。
小説家になろう様でも投稿しています。
突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!
【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革
うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。
優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。
家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。
主人公は、魔法・知識チートは持っていません。
加筆修正しました。
お手に取って頂けたら嬉しいです。
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?
来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。
そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった!
亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。
「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」
「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」
おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。
現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。
お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、
美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。
渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。
しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。
「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」
※※※
虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。
※重複投稿作品※
表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる