気ままにダラダラ狩猟生活~冒険しながら世界を食らいつくします!~

瀬口恭介

文字の大きさ
53 / 65

破壊の果てに

しおりを挟む
 破壊の鉄球……じゃなくて鉄球を破壊した後、休憩をしてから隊長に他にトラップがないか調べてもらった。
 確実に罠地帯よりもトラップは減っているようで、まず踏むことはないらしい。
 そして、しばらく進むとトラップの無い通路に変わった。それによりゴーレムが現れるようになるのだが……やはりそこまでの苦戦はしなかった。

「ほっ」
「よく集中できるよね」
「慣れればこんなものだよっ」

 ちなみにだが、魔物を倒せば倒すほど空気中の魔力が増えるらしく、ポコは歩き錬金術をしている。空気中の魔力で品質が上がるのだそうだ。難しそう。

「と、見えてきたでありますよ」
「やっと大部屋かな?」

 実はここに来るまでに何度か小部屋があったのだ。どれも魔物がいて、全部倒すと台座の魔石を取れるようになるみたいな仕掛けだった。よくわからないが素材が手に入ったのは嬉しい。お金にするもよし、ポコの錬金術に使うもよしだ。
 通路の先に大部屋が見えてくる。数体のゴーレムを倒しつつ、部屋に入ると、そこには休憩所にいた狩人が言っていたように人二人分の高さの石像が一つあるだけだった。

「……何もないね」
「あの狩人が言っていた通り、石像以外何もない、か。とりあえず調べよう。何か見つけたら報告ね」
「了解であります」

 各々やりたいことをやり始める。ポコは錬金術、隊長は道具の整理。おう、探索しろや。
 二人とは違い私は真面目に探索をしたいので、早速石像を調べることにした。
 今頃あの休憩所にいた人たちも石像を調べているだろう。私が石像の謎を解き明かせばさらに探索を任されることになるだろう。そうすれば王様もいい性能の道具を揃えてくれるはず。気合入れていくぞ。

「ん?」

 石像の額には赤い球が埋め込まれていた。あれは、装飾だろうか。
 わからん、わからんぞ。何をすればいいんだ。

「エファ殿! 止まるであります!」
「んえ?」

 石像を観察した後に考えながら歩いていると、突然隊長が大声を出した。
 何さ、この部屋に魔物なんて一体も……ん? 魔物がいないのはなぜだ。だってトラップが無くなってから山ほど出てきたじゃないか。
 ……もしかして、トラップがある? だから魔物がいない?

「あっ!」

 踏んだ石レンガがガコンとズレる。重々しくガチンと音を鳴らすと、部屋全体が揺れ始めた。
 トラップである。ふざけんな。

「えっちゃん! 人のこと言えないじゃん!」
「それは本当にごめん!」

 ポコの言う通りだ、私ももうトラップは無いと思い警戒心皆無で歩き回っていた。もっとトラップについて考えるべきだったんだ。
 しかし地面が揺れるのみで、落とし穴が開くことも、天井から何かが落ちてくることもない。壁から何かが噴き出ることもない。ただの地震? そんなはずはない。

「石像を見るであります!」
「石像?」

 地震で立ちにくい状況だが、何とかバランスをとって石像を確認する。目が、赤く光った。
 揺れが一層激しくなる、ここでようやく地震の正体に気づいた。石像が動いているのだ。

「え、まさかあれと戦うのっ!?」
「だろうね。うわ、ゴーレムまで出てきた」

 部屋の四隅からゴーレムが一体ずつ現れた。おっおっおっおっ、囲まれ申した。

「とにかく破壊するしかないか」
「脳みそまで筋肉だねっ!」
「仕方ないじゃん解決法方がそれしかないんだから」

 石像は読んで字のごとく石の像。私たちはつい先程鉄球を破壊したんだぞ、石の像くらいなによ!

「だあああらっしゃああああああああああああああああ!!!」

 拳に力を入れてゴーレムをパンチ一発で粉に変える。よっしゃ! 次ィ!!

「すごいであります! とても小柄な女の子とは思えない叫び声であります!」
「うるせえええええええ!! しねえええええええええ!!!」
「怖い……えっちゃん怖いよ……」

 四の五の言ってないで戦ってくれ。戦わなければ生き残れない。鏡の世界には行かない。
 ゴーレムを二体残し、石像に向かって拳を放つ。
 ガキン、と石像の拳と私の拳がぶつかる。勢いがついているのと、石像の拳自体の堅さにより砕くことはできなかった。だが、後退させることはできた。確実に威力は足りている。ならば、私は同じように攻撃を繰り返すだけだ。

「オラオラオラ!!! ぐあああっ!」

 何発か拳を打ち込んだ後、石像の反撃により吹き飛ばされる。一気に攻撃をしても魔力の防御を崩すことはできなかった。
 一旦下がって回復ポーションを飲み、状況を確認する。私が戦っている間に残りのゴーレムも倒してくれたらしく、ゴーレムはいない。
 隊長は石像を食い止める役割で、ポコは石像に攻撃する役割だ。私も加勢しようかと思っていると、部屋の四隅から先程と同じようにゴーレムが生まれる。

「ゴーレムは任せて!」
「お願いっ! あーらららららららーーーい!」

 ポコの矢は様々な色の軌跡を描きながらゴーレムに命中していた。氷、水、炎、雷。矢と隊長の罠であの巨大な石像の動きを封じ込めている。
 久しぶりの変態連射。よくわからん掛け声は無視して私はゴーレムを倒すことに専念する。

「はいいーーち! にーー! さーーん! だああああああああああ!!!」
「よーーーん! じゃないんだ」

 この方がなぜか気合が入るのだ。赤いタオルとか持参すればよかった。元気ですか? 元気じゃないです。

「今どんな感じ?」
「岩を作って投げるようになったよ。岩の撃墜に手間取っちゃうから、えっちゃんの攻撃を中心にした方がいいかも」
「了解」

 遠くから観察しながら攻撃をしているからか、ポコは正確に指示を飛ばしてくれた。
 隊長は何やら新しい道具を取り出しているようだ。眼鏡も掛けている、トラップの時と違うな、あれも精霊の力を借りているのだろうか。

「それは?」

 攻撃を避けながら隊長の設置している箱のようなものについて聞く。

「とどめの一撃であります。爆弾でありますな」
「へぇ、私はどうすればいい?」

 邪魔にならないように行動したいので、爆弾の使うタイミングなどを知っておいた方がいいだろう。

「この眼鏡で石像の魔力量の確認をしているでありますから、倒せると思ったら指示を出すであります。エファ殿は石像の魔力を削るのに集中しててほしいであります」
「了解。やっぱり殴るしかないじゃん」

 結局倒せるようになるまで殴れと。
 しかし足への攻撃はあまり効かない。いくら殴ってもはじき返されてしまう。

「ならっ!」

 ドラゴンナックルから爪を出し、ドラゴンクローに切り替える。
 そして、殴ってきた石像の腕に爪を引っかけ、振り上げる石像の力を利用して高く飛びあがる。
 爪を戻し、空中で胴体目掛けて拳を放つ。さらに爪を出し、落ちる前にまた飛ぶ。瞬時に爪を出し入れするのは難しいが、慣れれば連続で攻撃が効きやすい場所に攻撃を当てることができる。

「だあ!! らああ!! はっ、ほっ、でやああああああ!!!」
「エファ殿! 離れるであります!」
「よしきた!」

 最後に全力の拳を胴体に叩き込み、身体を自らの力で後方へ飛ばす。
 少し離れたところに着地し、走っている隊長と一緒にポコの元へ走る。

「ポコ殿! 今であります!」
「はーいよっ! てやっ」

 真紅の矢が石像の足元に設置された箱に命中する。
 ――――――刹那、身体が引き寄せられるような感覚と共に箱が爆発した。
 爆風から顔を守りながら、砕け散る石像を確認した。

 ミッションコンプリート。
 地面に落ちた丸い石を視認した瞬間、戦闘の勝利を確信した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

追放聖女だってお茶したい!─セカンドライフはティーサロン経営を志望中─

石田空
ファンタジー
「ミーナ今までありがとう。聖女の座を降りてもらおう」 貴族の利権関係が原因でいきなり聖女をクビになった庶民出身のミーナ。その上あてがわれた婚約者のルカは甘味嫌いで食の趣味が合わない。 「嫌! 人の横暴に付き合うのはもうこりごり! 私は逃げます!」 かくしてミーナは神殿から脱走し、ティーサロン経営のために奔走しはじめた。 ときどき舞い込んでくるトラブル。 慌ててミーナを探しているルカ。 果たしてミーナは理想のセカンドライフを歩めるのか。 甘いお菓子とお茶。そしてちょっとの恋模様。 *サイトより転載になります。

掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく

タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。 最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。

侯爵家の愛されない娘でしたが、前世の記憶を思い出したらお父様がバリ好みのイケメン過ぎて毎日が楽しくなりました

下菊みこと
ファンタジー
前世の記憶を思い出したらなにもかも上手くいったお話。 ご都合主義のSS。 お父様、キャラチェンジが激しくないですか。 小説家になろう様でも投稿しています。 突然ですが長編化します!ごめんなさい!ぜひ見てください!

【完結】貧乏令嬢の野草による領地改革

うみの渚
ファンタジー
八歳の時に木から落ちて頭を打った衝撃で、前世の記憶が蘇った主人公。 優しい家族に恵まれたが、家はとても貧乏だった。 家族のためにと、前世の記憶を頼りに寂れた領地を皆に支えられて徐々に発展させていく。 主人公は、魔法・知識チートは持っていません。 加筆修正しました。 お手に取って頂けたら嬉しいです。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~

みつまめ つぼみ
ファンタジー
 17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。  記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。  そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。 「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」  恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!

処理中です...