気ままにダラダラ狩猟生活~冒険しながら世界を食らいつくします!~

瀬口恭介

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お父さんマジック

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 大声の主を確認するため振り向いた。
 焦げ茶色の髪の毛に巨大な杖、黒い皮に金色の模様が入ったマント。金属の装飾。ギラギラした服装に対して頼りなさげな顔。なのに焦っている。不思議な雰囲気の人が来た。

「お、お父さん!?」

 デスヨネーと思いながら私と隊長はニヤニヤしながら親子を見守ることにした。向こうから関わってくるまでこちらからは話しかけないようにしよう。

「久しぶりだなぁ、元気だったか? あーあーお友達も一緒で、ポコって名前の魔術師が来たって聞いたからまさかとは思ってたけど本当に来てるとはねぇ、お母さんは元気? たまには帰らないとなぁ。そうだ、この戦いが終わったら一緒に帰らないか? 早馬を出せば休みの日を使って会いに行けるだろうしね」
「えっと、えっと」
「おおそうだ! ポコンのお友達を紹介してほしいな。えっと、同い年くらいの子と……迷子のお子さんかな。保護するなんてポコンは優しいなぁ」
「誰が子供だ」

 思わず口を出してしまった。しまった、話を聞いてこっちから話題を振るのはダメだって気づけたはずなのに。
 反応してしまったからには仕方がない、しっかり説明しよう。

「えっ、子供じゃない……?」
「同い年です」
「しかもリーダー!」
「そして吾輩が隊長であります!」
「何言ってるの????」

 余計に混乱させてしまった。
 でも事実だからね仕方ないね。私がリーダーで、アバンは隊長だからね。ちょっと何言ってるかわかんなくなってきた。

「隊長は隊長だよ?」
「ポコン、隊長って言うのはね、みんなを引っ張ってくれる代表みたいなものなんだ。わかる?」
「うん。だから隊長だね!」

 親子なのに会話が成立していない。なんだこの状況は。私が入って説明するべきなのか。いやでもわかりやすく説明できる自信がない。ここは二人に任せよう。

「うーん……そっか、まあいいや!」

 しまったこの人もポコ族だった。
 まあいいやで全部流せるの羨ましいかもしれない。でも大事なことでもまあいいやってなりそうで怖い。やっぱり羨ましくない。

 軽く自己紹介をし、状況を説明する。名前はポルカーというらしい。
 ポコが私たちと一緒に旅をすると知った時は驚いていたが、次の瞬間には受け入れて状況についての話し合いに戻っていた。切り替えが早いのか、本当に気にしていないのかわからない。

「ポルカーさんは王様に呼ばれて来たんですか?」
「そうだね、帰る途中にドラゴンに乗った王様に会って、遺跡の近くで待機していろと指示されたんだ。いやまさかあのドラゴンがポコたちの仲間だとは思わなかったよ」

 もしかして来る途中にそこまで予想して動いていたのだろうか。
 わざわざ遺跡付近で待機なんて命令はしないし、するとしても乗せていくだろう。何から何まで計算して動いているとでもいうのか。信じられない。あの人やっぱりすごい人なんだ。

「はぁ……疲れ切ってたのにさらに働くことになるなんて……王様に言いつけてやる……あ、王様に命令されてたね」
「何言ってるんですか……あ、これ食べます?」
「なんだいそれ」

 ドラゴン肉をポルカーさんに渡す。元気がないときはこれを食べれば一発よ。
 他のドラゴンなら別の効果が出たりするのかな? 私気になります。

「いただきます……んんっ!?」
「どうですか?」
「うまあああああい! ちょっと、この喜びを叫んでくるよ!」

 ポルカーさんはそう言うと、椅子から立ち上がり山に向かって走りながらおいしいいいいいいいいいいいと叫び始めた。そこはうまああああい! じゃないのかよ。

「ええ……」
「ね、自由でしょ?」
「うん。ポコのお父さんだわあれ」

 なんてギャグをしている間に、ギンが他の兵士を運んできた。次々降りてくる兵士に驚きを隠せない。この竜車六人乗りなんですけど。

「ポルカーさん! お疲れ様です!
「ああ、拠点作ってくれるんだっけ。頑張ってね」
「はい!」

 ポルカーさんはなかなか偉い立場にいるようだ。本物の隊長だけど隊長っぽくはない。本来は魔術部隊の隊長なのだろう。
 総力戦のためにひたすら戦力を集める必要があるので、ギンはまたしても兵士を運ぶために王国へ向かった。速すぎてぶれて見える。なにあれ。

「失礼、私は王国の学者なのですが、何か調べる物はありますか?」
「あ! はい、ベヒモスをですね、倒したので調べてほしいんですよ。隊長ー」
「了解でありますー」

 ベヒモスの調査は隊長に任せるとして、私たちは何をしようか。休むにも何かしないと落ち着かない。

「ねえねえっちゃん」
「なんだいポコ」
「何そのテンション……えっとね、兵士さんも疲れてるだろうし、みんなにドラゴン肉を食べさせるっていうのはどうかな?」
「それだっ!」

 ドラゴン肉は文字通り山ほど残っている。
 ので、鍋にでもして配り、みんなを元気にしようではないか。

 そうと決まれば即行動。隊長に大鍋を出してもらい、調理を始める。
 ドラゴン肉を切り、野菜を入れて煮込む。貝を入れたりして出汁を取り、味も薄くならないようにした。
 どうせ負けたら死ぬということでため込んでいた食材をフルに活用したドラゴン鍋だ。

「なにか僕にお手伝いできることはあるかな」
「じゃあ配るの手伝ってください」
「任せろー、よし、めっちゃ配っちゃうからね。見ててよポコン」
「お父さんうるさい」

 すごい、いつもならテンションが上がったポコが「わたしも配るー!!!」と言いながら手伝ってくれたのに、ポルカーさんのやる気に気圧されてる。
 それはそれで呼び込みができるからいいか。ポコが呼び込みをすると、休憩中の兵士たちはこぞって並んできた。兵士にポルカーさんが鍋を配る。食べた兵士は瞬く間に元気になり、効率はどんどん上がっていった。

 さあ、後は拠点が完成し、全員が集まって作戦会議をして最終決戦だ。
 残りの鍋を食べながら、私たちは王様や紅の女狩猟団、ダルクさんや他の狩人や騎士が集まるのを待つのだった。
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