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第一章 顔合わせ編
花嫁
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「お兄さん達は、だぁれ?」
「妖狐一族の次期当主、笹音と申します。此度の嫁取り、姉妹お二人との事、我ら眷属はお二人を歓迎いたします」
キラキラした銀の髪にピンとした狐の耳、フワフワの四又の尻尾の王子様みたいなお兄さん。
尻尾がもふもふで、とっても気持ちよさそう。
「姉さん!尻尾ばかり見たら失礼よ!姉さんはマナーがなってないの。我が家に養子に来たばかりで」
「ごめんなさい、桜子……」
「構いませんよ、人間のあなた達には珍しいでしょう?」
こくんとうなずくと笹音さんはにっこり笑う。
「我ら眷属と嫁御の逢瀬は一度きり。次回はあなた達が20の歳を迎えるまでは会えません。かけがえのないこの一週間を楽しいものにしましょうね」
よくわからないまま大人に言われてここに来た。桜子と共に。
———四眷属神のお嫁さん候補として。
「花柳院桜子です!姉も私も五歳よ!このプレゼントは私達の!?」
テーブルの上にはプレゼントの山。
同じ箱が2つあるものばかりで、私と桜子に一つずつ同じものを用意してくれたのだと幼い私にもわかった。
「あぁそうだ。俺は狛犬の次期当主、恭という。狛犬一族からの贈り物は獅子の家紋が入っている。気に入れば嬉しい」
栗色の短い髪の青年が言う。
幼い私には年齢は判別できなかったが、この中では1番大人に見えた。中学生ぐらいかな。皆、神社の神主さんみたいな格好をしている。
「妖狐一族の物は狐が。八咫烏一族の物はカラスの家紋が入っているよ。僕は八咫烏一族次期当主、耀だよ。八咫烏ってのは三つ足のカラスなんだ。よろしくね?」
黒いサラサラとした髪をハーフアップに後ろで束ねたお兄さん。優しそうで、ニコニコしてる。三つ足って言ったけれど普通の人間に見える。
この人もキラキラしていて王子様みたい。
「みんなすごくカッコいい!みんなみんな私の彼氏!?」
妹の桜子のセリフにお兄さん達はニコニコと笑顔で返す。
「嬉しい!プレゼントも、全部私の!ありがとう!!」
いや2人で半分こだよ、とは誰も言わない。三人とも10歳から15歳くらいなのか、五歳の女の子のわがままに本気で言い返すような人たちではなく、ニコニコと見守っている。
「姉さんは大勢が苦手なの!私とお話ししましょう!?」
案内された綺麗な洋風の庭に設置されたガゼボにお茶の用意がしてあるのが見える。
お皿のタワーにケーキやクッキー、サンドイッチまでのっていてとっても可愛い。
「わぁ…………」
「姉さんは甘い物、嫌いでしょう?」
「え…………」
「甘くないものも用意がありますよ?」
笹音と名乗った狐さんが助け舟を出してくれた。
「結衣は……」
「姉さんったら、人前で自分のこと名前で呼ぶのは恥ずかしいって教えたのに!」
「あ…………わた、わたしは……」
綺麗でカッコいいお兄さん達の前で失敗してしまい、恥ずかしさで急激に顔が赤くなる。
「姉さん?具合がわるいのならお部屋で休んでいたら?」
どうあっても私を除け者にしたい桜子の言うことを聞かねばならない。
そうしないと後が怖い。
「今日はお部屋で休みます。せっかくご用意してもらったのに、ごめんなさい」
「いいえ、後でお部屋に軽食を届けさせようね、僕が部屋まで送って行こう」
耀と名乗ったカラスのお兄さんが優しく手を取ってくれたのでうなずいて歩き出す。
「耀!すぐ戻ってきてね!?」
「はは、可愛いお願いだね?大丈夫、すぐに姫の元に戻るよ?」
姫と呼ばれて舞い上がった桜子は嬉しそうにガゼボに走って行った。
その後を狐さんと狛犬さんが続くのを見送ってから部屋に戻る。
「大丈夫だよ、プレゼントは同じ物を二つずつ送っているし、顔合わせは一週間続く。また明日お話ししようね」
カラスのお兄さんが笑いかけてくれるけれど、具合が悪いわけではない私は嘘をついてしまったような気がして顔を上げられなかった。
「妖狐一族の次期当主、笹音と申します。此度の嫁取り、姉妹お二人との事、我ら眷属はお二人を歓迎いたします」
キラキラした銀の髪にピンとした狐の耳、フワフワの四又の尻尾の王子様みたいなお兄さん。
尻尾がもふもふで、とっても気持ちよさそう。
「姉さん!尻尾ばかり見たら失礼よ!姉さんはマナーがなってないの。我が家に養子に来たばかりで」
「ごめんなさい、桜子……」
「構いませんよ、人間のあなた達には珍しいでしょう?」
こくんとうなずくと笹音さんはにっこり笑う。
「我ら眷属と嫁御の逢瀬は一度きり。次回はあなた達が20の歳を迎えるまでは会えません。かけがえのないこの一週間を楽しいものにしましょうね」
よくわからないまま大人に言われてここに来た。桜子と共に。
———四眷属神のお嫁さん候補として。
「花柳院桜子です!姉も私も五歳よ!このプレゼントは私達の!?」
テーブルの上にはプレゼントの山。
同じ箱が2つあるものばかりで、私と桜子に一つずつ同じものを用意してくれたのだと幼い私にもわかった。
「あぁそうだ。俺は狛犬の次期当主、恭という。狛犬一族からの贈り物は獅子の家紋が入っている。気に入れば嬉しい」
栗色の短い髪の青年が言う。
幼い私には年齢は判別できなかったが、この中では1番大人に見えた。中学生ぐらいかな。皆、神社の神主さんみたいな格好をしている。
「妖狐一族の物は狐が。八咫烏一族の物はカラスの家紋が入っているよ。僕は八咫烏一族次期当主、耀だよ。八咫烏ってのは三つ足のカラスなんだ。よろしくね?」
黒いサラサラとした髪をハーフアップに後ろで束ねたお兄さん。優しそうで、ニコニコしてる。三つ足って言ったけれど普通の人間に見える。
この人もキラキラしていて王子様みたい。
「みんなすごくカッコいい!みんなみんな私の彼氏!?」
妹の桜子のセリフにお兄さん達はニコニコと笑顔で返す。
「嬉しい!プレゼントも、全部私の!ありがとう!!」
いや2人で半分こだよ、とは誰も言わない。三人とも10歳から15歳くらいなのか、五歳の女の子のわがままに本気で言い返すような人たちではなく、ニコニコと見守っている。
「姉さんは大勢が苦手なの!私とお話ししましょう!?」
案内された綺麗な洋風の庭に設置されたガゼボにお茶の用意がしてあるのが見える。
お皿のタワーにケーキやクッキー、サンドイッチまでのっていてとっても可愛い。
「わぁ…………」
「姉さんは甘い物、嫌いでしょう?」
「え…………」
「甘くないものも用意がありますよ?」
笹音と名乗った狐さんが助け舟を出してくれた。
「結衣は……」
「姉さんったら、人前で自分のこと名前で呼ぶのは恥ずかしいって教えたのに!」
「あ…………わた、わたしは……」
綺麗でカッコいいお兄さん達の前で失敗してしまい、恥ずかしさで急激に顔が赤くなる。
「姉さん?具合がわるいのならお部屋で休んでいたら?」
どうあっても私を除け者にしたい桜子の言うことを聞かねばならない。
そうしないと後が怖い。
「今日はお部屋で休みます。せっかくご用意してもらったのに、ごめんなさい」
「いいえ、後でお部屋に軽食を届けさせようね、僕が部屋まで送って行こう」
耀と名乗ったカラスのお兄さんが優しく手を取ってくれたのでうなずいて歩き出す。
「耀!すぐ戻ってきてね!?」
「はは、可愛いお願いだね?大丈夫、すぐに姫の元に戻るよ?」
姫と呼ばれて舞い上がった桜子は嬉しそうにガゼボに走って行った。
その後を狐さんと狛犬さんが続くのを見送ってから部屋に戻る。
「大丈夫だよ、プレゼントは同じ物を二つずつ送っているし、顔合わせは一週間続く。また明日お話ししようね」
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