【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する

雨香

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第1章

お買い物2

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北部の食器、家具。
東部の銀細工、金細工。
目まぐるしくブースを回っていく。

「リリちゃんは本当に何も欲しがらないねぇ。今日の記念に何か僕から贈りたいのだけれど、これなんてどうかな?リリちゃんに似合うと思うんだ」

聖都にあるヴェルダム湖からとれる透き通った真珠のような宝石を加工したアクセサリーを売る店を見ていると、バラを模した豪華な髪飾りをあてがってくれる。

「こんな高価な物、いただけません……」

「僕、立場上なかなか稼いでいるからね。気にしなくてもいいよ、どうか贈らせて欲しい」

「……でしたら……ありがたく、頂きます。ありがとうございます」

「君にアクセサリーを贈れて嬉しいよ」

「あら殿下、わたくし達にも何か贈ってくださらないかしら。殿下のために着飾って参りましたのにわたくし、寂しいわ」

なんかすごいの出てきたな。
ご令嬢方の圧を感じる。
私がいる間は高位の貴族のみが商団ブースに入場できる人数制限の規制がかかっているそうだから、公爵家とか、伯爵家のご令嬢達なのだろう。挨拶の時に会ったような気もするけれど、人に会いすぎて正直あやふやだ。

「落ち人様、お買い物中失礼致しました。わたくし、ヴェアリー公爵家が長女、イライザですわ。先程父と兄と共にご挨拶させて頂きました。こちらはユノンとイルマ、ビズ侯爵家の双子姉妹ですわ。
わたくし達、カイウス殿下の婚約者候補ですの。お買い物、ご一緒してもよろしいでしょうか?」

へー、婚約者候補、いたんだねえ。まぁ、王子様ならいて当然なのかな。
しかし令嬢っていつも三人グループなのはなんでなの。
イライザと名乗ったご令嬢はスタイルが良く、身体の圧がすごい。
薄い茶色の髪が丁寧に巻かれていて見るからにお嬢様って感じだ。
双子の2人は意地悪そうなツンとした印象の水色の髪のご令嬢と、おどおどとした大人しいタイプの青い髪のご令嬢だ。

「君たち、落ち人様に失礼だよ」

心なしか殿下がタジタジしているように見えて、ちょっと楽しい。

「殿下こそ、いつもなら私達みなと踊って下さるのに、今日はエルスウィーズ様とだけなんて……忘れられてしまって、泣いておりましたのよ……」

よよよ、とハンカチで目元を押さえている仕草が女優のようで笑ってしまう。

「そ、それは……」

うんうんカイウス殿下は人気者だね。

「婚約者候補様なのですね。私が至らないせいで、本日はカイウス殿下にお時間をたくさん割いて頂きました。感謝申し上げます。私の事はお気になさらず皆様でどうぞお買い物をなさって下さいませ」

「「「え…………??」」」
「は……??」

「さ、じいや、次行こっか!」

「ふおっふおっふぉっ、カイウス殿下、
この爺、腐ってもまだまだ戦えますゆえ、お嬢様の護衛はお任せくだされ」

「あ……あぁ」

「では、皆様失礼します。カイウス殿下、ありがとうございました!」

四人がポカンとしている間にブースを出る。
婚約者候補としては面白くないよね。わかるわかる。
でも私、ライバルじゃないからね!!
そこんとこよろしく!!!

私の後ろにじいやとケイトさんがニコニコとついてきてくれるし、少し自由にウィンドーショッピングを楽しもう!

そう思って周りのブースを見渡すと、たくさんの生地の巻物と動物の革を丸めたものが木箱に無造作に入っているお店が目についた。

「ねぇじいや、あれは何のお店?」

「ほぉ、あれは馬具の店ですな。乗馬を嗜むご婦人用の洒落た物を作るようですよ」

「ふーん」

「お気に止まったのなら、寄ってみましょう」

「あ、うん、ちょっとあの生地が気になっただけで」

「お嬢様、行ってみましょう」

ケイトさんまで。

「すみませんが、少し見せて頂きますよ」

じいやが率先してブースに入っていくので慌てて後に続く。

「おっ、何でも見ていってくれ。馬具も乗馬服も両方扱うぞ」

今回の商人さんは割とフランクで話しやすい。ワイルド系のおじさんだ。こちらの世界ではモテない部類に分類されてしまう事が嘆かわしい。薄めの茶髪なだけ、マシなのかな。

「お嬢様、この生地でしたか?」

「あ、うん、ちょっと、気になって……」

「動物の毛皮にみえるだろ、けどそれ冬毛樹とうもうじゅっつー植物の皮なんだわ。くらの表面に使うとあったかいからご婦人に人気だぞ。あとはブーツの裏なんかにも使うな。元の色は黒だが、どんな色にも変えれるから安心しな」

「ええと、あの、もっと全然違うものもできたりしますか?」

「ん?縫うのは魔法でぬうからな。デザインさえもらえれば何でも縫う。一応馬具の店だが、小物も扱っているからな」

そう言って、紙と万年筆を出す。

「万年筆で…………上手く描けるかな」

この生地を見た時からピンときちゃった、元の世界においてきちゃった宝物。

インクの量や掠れ具合に四苦八苦しながらなんとか描き上げる。
わりと美術は得意だったんだぞ!

「おや、可愛らしいですねぇ。クマですか?」
じいやが隣で褒めてくれるぐらいには上手に描けたと思う。
じいや、何でも褒めそうだけれど。

「そう、テディ・ベアっていうんだけど、この世界はぬいぐるみとか、あんまりない感じ?子供が欲しがったり…………」

「玩具ですか?そうですね、あまり、無いですね、彫刻なら、さかんですが」

「せっかく綺麗な黒の毛皮だから……えっと、抱いてちょうどいいこのくらいの大きさで、その……目は、濃いめの琥珀色で」

「ここまで丁寧なデザイン画があれば完璧だ」

「ふぉっふぉっふぉっ」

じいやが何かを察したように笑う。
うぅう…………そりゃあすぐバレるよね。

「じいや……シェイド様には……内緒にして」

「ふぉっふぉっふぉっ、ご随意に。何も見なかった事に致しましょう。坊ちゃまには、ハンカチを買った、とでも」

「……うぅ、ありがと…………」


テンション上がってお願いしちゃったけど、コレ支払いシェイド様だったよ!!
でもシェイド様ベア、ぜったい欲しい!!
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