グリフォンに転生した...らしい。

キンドル・ファイバー

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従魔になってみた

決勝前編らしい

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 決勝戦まで勝ち進んだテイマーキィナと、その従魔のグリフォンこと俺。
 そして対戦相手は、俺より大きい全長3m位の白竜を連れたサモナーの第2王子だ。


 〈本能〉によると、白竜と1VS1で状態異常まみれの卑怯な戦い方をすれば問題なく勝てるそうだが...1つ問題が発生した。

 相手がモンスターを、もう1体引き連れて現れたのだ。
 白い狼だ、あまり大きくないから今まで白竜の陰になっており、俺の位置から見えなかった...。

 4人までのチームが組めるルールで、1人と1匹しかメンバーのいない此方側に少々問題があるのは分かっているが、実力が近い敵を相手に人数不利なのは少し不安を感じてしまう。

 
 相手のパーティー構成を見てみよう。イケメン金髪の第2王子(杖持ちだから多分魔法使い系で、キィナと大差ない強さらしい)、白竜(一番警戒すべき相手、俺より少し弱い程度)、そして最後の1匹は白い狼だ(本能では王子と大差ない強さらしい)。

 構成的には前衛(白竜)、遊撃兼中衛(白狼)、後衛(王子)とバランスが取れたパーティーで隙が無さそうに思われる。

 そんな相手にも闘志を失わないキィナに対して、正直凄いと思う。
 俺も野生生活で、実力が近い相手と戦うことが少なかったから、少し楽しみなんだがな。

 王子とキィナの両者がステージに立つ。2人が何か会話しているが、簡単に言うとキィナが堅苦しい挨拶をして、王子が気にするなといった感じの内容だった。


 会話も終わり、戦いが始まった。割りと脳筋であるキィナが、早速前に出ようとするから1度押し留め、様子見として〈眠羽〉をばら撒く。
 白竜は飛び上がり、王子は魔法を準備しながら避けている。白狼も巧く避けながら此方に迫る。

 流石にこれを食らってくれるほど甘くは無いか、と思いつつ向かってくる白狼に眠羽を放つも中々当たらない。
 避けることに徹した狼に眠羽を当てるのは、流石に難しそうだし、俺の大したことない魔法じゃ、尚更当たらなそうだなこれは...。


 向こうも牽制のつもりなのか、王子がキィナに向かって野球ボール位の光弾を放ってきた。
 〈ライト・ボール〉というらしい。キィナは冷静に避けたり、槍で弾いている。

 そこに白狼が突っ込んで行こうとする、なので俺が割り込み、白狼を鳥の右前足で押さえつけようとするも、左にサッと避けられ、そのままの勢いで飛び上がってきた白狼に、左羽を噛みつかれた。
 痛みはあるが、羽毛のお陰で深い傷では無い。
 噛まれた左羽を振り回し、無理矢理白狼を振り払うも、その動きに合わせて上手く離脱されてしまい、ダメージは与えられていない。
 あわよくば場外まで吹き飛ばしてしまおうかと思ったが、そう上手くはいかないか。

 白狼を振り払い、気を抜いた俺に王子が複数の光弾を放つ。
 俺はそれを真上に飛び上がり回避、王子に反撃しようとしたとき、視界の隅に白竜とキィナの姿が映る。

 不味いな、白竜がキィナを狙い攻撃し始めている。
 後退しながら受けに徹することで、辛うじて攻撃を受け流せているようだが...ステータス差があり過ぎている、このままだと持たないだろう。

 今は白狼が俺の反撃を警戒し、王子の近くへ寄っている。
 彼らとの距離が空いている今のうちに、キィナの元へ低空飛行で向かう。
 すかさず王子が行く手を阻むように光弾を俺に放つが、大した威力ではなかったので無視して突っ切った。


 キィナを攻撃している白竜を、低空飛行の勢いを殺さず鳥の右前足で張り手のように攻撃する。
 不意を突かれた白竜は、俺の張り手で思った以上に押し出すことができた。だが、流石にステージ外までは押し出せなかった。

 そのままキィナの近くまで行き、個別に戦うとキィナ1人が攻められ、不利になりそうなことを伝え、俺に乗るように提案する。
 白竜相手に少し打ち合ったキィナ、今のままでは勝てなさそうだからと同意を得た為、キィナを乗せる。

 俺の後ろから白狼が迫り、羽に噛みついてきた。
 だが、今の俺の背には既にキィナが乗っており、俺の羽に噛みついた白狼をキィナが右手の槍で突く。

 その一撃で白狼は致命的なダメージを受け、ステージに倒れる。
 王子が〈ライト・ヒール〉という回復魔法を後ろから白狼に使うも、俺は動けない白狼に眠羽を放つ。
 更に俺が最初にステージにばら撒いた眠羽の効果は、少しだが床上に漂っており、弱った体に多量の睡眠毒を受けた白狼は眠ってしまう。


 王子が白狼の眠りを治せる魔法を使うかもしれないので、それを使われる前に俺は即座に鳥の前足で白狼を掴み、ステージ外へと放り投げる。
 白竜が妨害しようとするも、俺から飛び降りたキィナがダメージを受けながらも、僅かな時間を稼いでくれた。

 白狼の失格を見届けた王子は、一度態勢を立て直す為か白竜を呼び戻す。その間に俺はキィナを再び背に乗せた。

 因みに投げ捨てられた白狼は、ステージ外で先生から回復魔法にて癒された後、お座りして観戦し始めているから安心して欲しい。


 白竜と王子、俺とキィナ。人数不利が解消され、これで此方が多少は有利になったかと思う。
 だが、白竜は俺の前足で押された際の僅かなダメージと麻痺毒しか受けてない上に、遠くから魔法を使っていた王子は、ばら撒かれた〈眠羽〉の効果により僅かな眠気がある程度。

 それに対して俺は白狼に2回も噛まれたり、光弾をぶつけられたりして、少しのダメージを受けている。
 キィナに至っては王子の魔法攻撃と、白竜の攻撃を凌いでいたダメージが残っている。






 しかも俺の眠羽の効果をキィナも受けており、少し眠い、らしい。






 マジごめん。

______________________
○ライト・ボール
野球ボール大の光の玉を放つ。威力はあまり高くない。
○ライト・ヒール
癒しの光を放ち、照らした対象を回復する。多少遠くても癒せるが、光を遮る障害物などがあると回復不可能。ガラス越しには回復可能。
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