グリフォンに転生した...らしい。

キンドル・ファイバー

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学園生活と魔族と冒険者

冒険者登録と初の依頼らしい

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 冒険者についての授業があってから数日経った。グリフォンである俺は、槍使いでテイマーのキィナと冒険者ギルドの前に立っていた。

 因みにここに来るまで飛んできたが、1本矢を射られた。またあのすぐビビって矢を射つ兵士野郎だ。

 流石に温厚な俺もイラッと来たから、矢が飛んでくる前にサッと鑑定してステータスを確認し、レベル差が激しかったので敢えて避けないで受けてみたら、羽毛が矢を弾いてた。

 しかも鑑定しただけでビビって、気絶しやがったぞあの兵士。クビにしたほうが本人の為じゃないかな...?


 話を戻すが、キィナはギルドの扉の前で緊張してるようだ。
 だから俺は、彼女の耳元でこう囁いた。






 PINPIN🌟(約:○んちん)






 腹を抱えて崩れ落ちるキィナ。

 周囲の人間に気が付かれないように声を殺しているようだが、肩がめちゃくちゃピクピクしてる。

 くっそ笑い堪えてるぞこれ。楽しくなって来た。(上半身ぐるぐる)




 このあと俺達は、首を高速回転させるグリフォンと、腹を抱え蹲ったテイマーという組み合わせで周囲の注目を集めてしまい、キィナに初めてぶたれた。

 親鳥にもぶたれたこと...あったわ、許可なしに親鳥鑑定した時にぶたれたわ。いや、細かい事言うと、その時はつつかれたんだけどな。



 緊張なんてものが空の彼方に飛んでった俺らは、冒険者ギルドの扉を開ける。

 キィナが先頭でギルドに入った途端、むさいおっさんがキィナに絡んできた。


「おいおい嬢ちゃん、ここは子供の遊び場じゃないんだぜぇ?小遣い稼ぎなら俺と一緒に遊...ん...d...」


 おっさんの台詞の途中で、キィナの後ろから遅れてヌッと扉を潜る俺。この扉、狭くて通りにくかった...

 話は聞こえていたので、取り敢えずキィナに絡もうとしてたおっさんは睨んで威嚇しておく。


 威嚇にビビったおっさんは、尻餅をつき悲鳴をあげ、そのまま凄い勢いで後退していった。
 グループアントみたいにカサカサしてるなおっさん。


 っておい!そのままの姿勢で階段上るのか!?




 ...おっさんは2階への階段の彼方に消えていった...




 立ち止まったままのキィナに、「あんなおっさんは置いておいて、冒険者登録するぞ。」といった意思を伝えるも「私が撃退したかったのに...」と、キィナは変なベクトルで落ち込んでる。

 なんかスマン、所謂キル泥ってやつをしてしまったようだ。見た感じあのおっさんより、キィナの方が強いみたいだし。


 キィナがギルドの入り口正面の受付に行こうとすると、そこそこの人数が並んでいた。
 勿論俺らは大人しくならび始めたのだが、周りの目が凄く気になる...

 黒翼とか悪夢という単語がよく聞こえるが、黒いだけのグリフォンに冒険者様がビビってどうするんだろうな?
 大丈夫なのか冒険者ギルドよ。




 漸くキィナの順番が来た。キィナがギルドへ登録したいことを受付さんに伝える。
 受付の人はクール系の美人さんだ。その受付さんが、登録するならば用紙に必要事項を書き込むようにと紙を渡してきた。

 名前、年齢、出身、得意な武器や戦い方、従魔...書き終わったみたいだ。

 因みにこれらの項目は、ほぼ空欄でも登録だけはできるらしい。
 ただ、書かないと他の冒険者とのパーティーを組みにくくなったり、信頼関係が必要な護衛依頼とかを受けにくくなるらしいが。


 書き終えた紙を提出したキィナは、水晶玉が乗った箱みたいな道具を渡される。水晶部分に手を翳してくれとのことなので、キィナが手を翳すと、下の箱部分から冒険者の証となるタグが排出され、それを渡される。それをよく見てみるとDランクのものだった。

 まさかのいきなり結構な飛び級である。...なぜ?

 キィナがなぜ始めからDなのか、と受付に聞くと、どうやらあの魔道具とやらで強さを測られていたらしい。
 全然わからなかったけど、どういう仕組みなんだ?

 作り方とか原理は企業秘密らしく、受付の人も知らないみたいだ。少し残念。


 キィナに「もうDだし、ランク上げなくても課題終わったな。」的なことを伝えるも、凄く複雑そうな顔をしている。
 どうやら、何もせずに目標を達成してしまった事が不満なようだ。


 キィナは依頼の貼ってある、クエストボードの前に小走りで向かい、1つの紙を剥がし受付に持っていく。

 どうしても依頼を受けたいようだ。まぁ、従魔である俺はマスターに従うのみ...


 ん?キィナ、ちょっとまって、それモンキーモンキーの討伐依頼?あいつら臭いから止めようぜ!!
 ほら受付さんも止めて!!「誰も受けたがらないので助かります。」じゃねぇよ!

 群れてる可能性が高いからCランクの依頼ですよ!と俺の訴える視線に「冒険者は自己責任ですので。」と答える受付さん。
 俺が糞猿を相手するのが嫌なのを、分かって言ってるな!

 キィナにモンキーモンキーがう○こ投げてくる事とか、強いリーダーのゴリラがいるかもしれないことを直談判するも、「戦ったことあるの?ズルい!」とか「そんな迷惑な猿なら尚更駆除しなきゃ!」とかまるで話にならない。戦闘狂め!!




 仕方なく依頼書を見てみると、群れからはぐれた、森の浅い所に点在する糞猿の駆除が主ではあるらしい。

 まぁ、これならば群れた糞猿に多量のうん○を投げつけられることはない...かな?


 仕方なく仕方なく、俺は糞猿を狩る為にキィナと森へ向かうことにした。


 「何故、あのグリフォンは文字が読めるのですかね...?」


 ギルドから出たときに受付さんがなんか呟いてたみたいだけど、どうでもいい。
 俺は絶望糞猿狩りを前に、そんなこと気にしてられないのだ。




 門から町を出る際に、門番さんに、俺が飛ぶ度に矢を撃ってくる兵のことをキィナにチクって貰う。

 俺は平気だけども、飛んでるときに背中に乗せてるキィナに刺さったりでもしたら、大変だからな。
 門番さんは頭を下げ謝罪と共に、あの兵の配置替えを検討しくれるとのこと。やったぜ。


 門を潜り町の外に出た俺は、キィナを乗せて依頼書にあった糞猿のいるという、森の南の方に飛んだ。


 はぁ、足取りが重い...いや、飛んでるし翼取りが重いと言うべきか?いや、鳥だし千鳥足が重い?いやいやこれは意味が違う。
 それに俺にはライオンみたいな後ろ足もある。鳥足取りと、ライオン足取りと、翼取りが重い...?

 駄目元でキィナに、グリフォンが飛んでるときに足取りが重い時、何て表現すれば良いかといった内容を、コミュニケーションに苦戦しつつなんとか聞いてみると、「気分が重い、でいいんじゃないの?」と笑われてしまった。


 流石キィナだ、さっぱりしてる。


 こんな下らない会話を〈モンスターテレパス〉でしながら、南の森の前へ到着した。

 森の上を飛んだままだと、猿を見つけても木が邪魔で着陸できない可能性があるので、森の入り口から歩いていく。


 キィナと森を歩いていると、スライムが現れた。折角だから鑑定してみよう。


Lv2
名前:なし
種族名:スライム
体力:10
魔力:10
攻撃:10
防御:10
魔攻:10
魔防:10
速さ:10
 スキル
消化液Lv2


 よ、弱い...

 駆除対象だし、倒した方がいいよな?一応、自分で倒したかった、とかキィナに言われないように許可を取る。

 許可が出たので〈毒嘴〉のスキルで毒を生成し、ペッと毒をスライムにかける。

 みるみるうちにスライムは紫色になり、溶けて赤い石だけを残して溶けていった。

 俺は残った石を食べる。

 するとキィナが「あっ、ちょっ、〈魔石〉!!金になるんだから吐き出して!」と詰め寄ってきた。え、結構価値あるもんなの?

 てかキィナって貴族だし、お金に困ってなくないか?と聞きつつ仕方なく、石を吐き出す。

 質問に対してキィナは、家は特別裕福な方ではないと言うことと、自分で稼いだお金で買い物とかがしたいとこのと。

 まぁ、気持ちはわからなくはないが...俺のおやつ...


 仕方ない、キィナと別行動してるときに狩った獲物の魔石とやらは自分で食べることにして、一緒に行動してるときはキィナに譲ってやろう。







 どうやら俺は、売れば金になる貴重な魔石という物をおやつ感覚で食べていた、らしい。

______________________
○消化液
 酸性の液体を持つ。蟻酸と比べると消化速度は遅いものの、低レベルでも時間をかければなんでも溶かしてしまう。
 レベルが上がると、消化速度が上昇し、更に色々な物を溶かせるようになる。

 このスキルのせいでスライムを武器で攻撃するとすぐ切れ味が落ちて、壊れやすくなってしまう為、結構スライムの駆除は面倒がられている。


○魔石
 大体魔物の体の中心にある石。なかなかの魔力が込められており、魔力を動力とした魔道具や、魔力の籠った武器に使われたり、加工によって魔法を込めて好きなときに放ったりできる不思議な石。魔力を溜め込む性質がある。

 魔力を生み出す器官、魔力の塊、賢者の石の出来損ない等、色んな議論が交わされているが、結局のところこれが何なのかは解明されていない。

 ギルドの受付のときに使われた上部に水晶が付いた箱も、強さを測る魔道具の一種である。
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