もらうね

第五章

右手

　　　　　　　　　　　　　　　　　前回の続き



　少女は夢を見た　先ほどの公園の夢ではなく　暖かい光の世界　そこには
　少女と子猫が楽しそうに遊んでいる　幸せの空間　母の腕の中のような
　安心する夢であった

　目が覚めると今日も子猫が隣で寝ている　可愛い寝顔　起こさないように
　お風呂へ向かった　お風呂からあがり部屋に戻ると子猫が起きている

　少女『おはよ　いい夢見れたよ　隣にいてくれてありがとｗ』

　子猫と一緒にキッチンへと行き朝食を食べた
　しばらくすると　母が二階から降りてきた

　母『あら？今日は早いのねｗ』

　少女『何言ってるのｗ　お母さん寝坊だよｗｗ』

　母『今日は日曜日よｗゆっくりする日なのよｗ』

　朝から親子の可愛らしい会話であった　子猫は夢中でご飯を食べている
　今日は友達と映画を見に行く約束をしていた　

　少女『お母さん　今日は友達と映画見に行ってくるね』

　母『あらいいわねｗ　なんの映画？』

　少女『ラブロマンスかなーｗｗなんてねｗ』

　母『私も見に行こうかしらｗ　でも　この子を置いてはいけないわねｗ
　猫ちゃんのことは任せて楽しんでおいでｗ』

　少女『ありがと　行ってくるね』

　母『気をつけてね～！』

　家を出て　友達と合流し　映画へ向かう　子猫について友達と話しながら
　歩いていた　すると　前を歩いていた子供が人形を落とした
　少女は拾ってあげることにし　その子供を呼び止めた
　
　少女『人形落としたよ！』

　少女は人形を拾って驚いた　右手が無い　いや　ちぎれている
　中からワタが飛び出していた　落とした時に壊れたのか？
　周りを見ても右手はない　子供に人形を渡す時に聞いてみた

　少女『この人形の右手どうしたの？』

　子供『車に轢かれて壊れちゃったの　だからこれから直してもらいに
　病院へ行くんだ！』

　子供とその子の親は　お礼を言い　歩き出した　
　少女は少し気味悪いと思いながらも友達との映画が楽しみだったので
　気にしないことにした
　映画を見終わる頃にはすっかり　そんな出来事も忘れていて
　友達と映画の話で盛り上がっていた

　少女『面白かったねｗｗ』

　友達『うん！感動したよー』

　そんな話をしながら歩いていると　目の前にさっきの子供が
　
　少女『あ　さっきの子だねｗ人形治ったかな？』

　すると　子供はまた人形を落としてしまった
　拾ってあげようと思ったが　その子の父がおとした人形に気がついた
　人形は車道に転がってしまい　父は手を伸ばしたその時だった・・・

　キーーーガシャン！！　　車が急に突っ込んできた・・・

　その子の父は　ガードレールの外にいたため無事だと思われたが
　右手は道路に出していたのだ　ガードレールに手を挟まれ
　運転手は急いで車をバックさせた

　その子の母親の悲鳴があたりに　響いた

　父の右手は　道路に転がっている・・・・

　急いで救急車に乗り　病院へ搬送された
　少女と友達は絶句である　目の前でそんなことが起きれば誰でもそうなる
　あの男の言葉を思い出した　右手もらうね

　少女は友達と家に帰ることにした　一人で帰るのが怖かったのだ
　幸い友達とは家が近所であった　ので　二人で顔を真っ青に
　しながら　家に着くのであった
　友達と別れを告げ　家に入る

　少女『ただいま・・・』

　母『おかえり早かったわね・・・どうしたの？』

　少女『実は・・・・』

　少女は今日あったことを話した　そしてあの男の言うとおり
　右手が事故で・・・・次は誰が被害に？
　そう思うと怖くて震えていた
　今日は母と寝ることにし　一緒に布団に入った



　　　　　　　　　　　　　　　　第六章に続く