貴方の駒になど真っ平御免です

Saeko

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第1章 新しい家族

第9話 披露パーティ(当日 1)

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結局昨晩のドレス選びは、桃花があれもこれも「素敵過ぎて迷う~」とか言って全て試着し、父が

「全部桃花に似合っているから、全部買ってやろう。」

の一言で終わった。
だったら最初からここからここまで~とかしちゃえば?て思った私は間違ってないと思う。

私はと言うと、ショップで1番地味なデザイン。言い換えると、飽きがこないどんなシチュでもアクセや小物でイメチェンが出来るネイビーのフレアワンピにした。
とても気に入ったワンピだったので、お爺様が私名義で作って下さったカード(ゴールド)で、父には内緒でしれっと購入した。

きっと桃花も父も、私がドレスを買ったのかどうかなんて覚えてないだろうから丁度良かった。



披露パーティーの朝

朝からてんてこ舞いとはこの事か?と思える位、父と皐月 それに桃花はバタバタと動いていた。

一方私はいつも通り、シェフの大貫おおぬきさんが作って下さった美味しい朝食を食べ、大貫さんをチラッと見やり、「ご馳走様です、大貫さん。」と言った。
大貫さんは、いつも通り微笑み返してくれた。

その後、披露パーティーは軽食のビュッフェスタイルで行なうらしいが、桃花はホテルで着付けとヘアメイクもそこでやってもらう予定だそうで、早々と父達と共に屋敷を出ていった。

やかましい人達が居なくなったところで、私は時子さんと羽田さんが回収してくれた音声データのチェックをした。
それをパソコンに移して連城先生に送信。データをUSBに保存すると、パソコン内のデータを完全に消去した。


しばらくすると時子さんが部屋に入ってきた。

「さ、お嬢様。お支度致しましょうか。」

「そうね、時子さん。」

時子さんは、壁にかけられたワンピースを見やると、

「流石お嬢様。飽きがこないデザインで、アクセサリーや持ち物で着回しのきくものを選ばれましたね。亡き奥様もきっと褒めて下さるでしょう。」

と言ってクスクス笑っていた。


その後時子さんは、私のヘアメイクをしてくれた。
ウィッグの長めの前髪をサイドに流して、横の髪に編み込みハーフアップに。
茶眼に見えるカラーコンタクトを入れ、アイメイク チーク リップを塗り最後にそばかすメイクをほどこす。

「はい。出来ましたよ、お嬢様。」

鏡には『陰キャが少し頑張りました』嬢が写っていた。




     ✽✽+†+✽――✽+†+✽――✽+†+✽✽

パーティー会場に入ると、そこは着飾った紳士淑女の方々がいらした。

別に主役でもなんでもない私は、早速壁の花を決め込み、人間観察をしていた。

するとそこに、ホテルの支配人し潮田しおたさんがやってきた。

「お久しぶりです、百合香様。御大おんたいはご健勝けんしょうでいらっしゃいますか?」

「ご無沙汰しております、潮田さん。今日は父と新しい家族がお世話になるようで、ご面倒をおかけして申し訳ありません。お爺様は相変わらずです。」

「いえいえ。お父君ちちぎみの事は兼近様よりお聞きしております。何処にいらしてもしっかり抑えますので、ご安心ください。では。」

そう言って潮田さんは、私から離れて行った。

多分あの人達を控え室に呼びに行ったのだろう。

てか…ホストが先に居ないとか…
全く失礼極まりない人達だこと。

私はあからさまに嘆息したのだった。
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