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第四章 決別
第8話 愚か者の窮地(暴露)
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「白金社長。この会見はライブ配信されておられますよね?」
「そ、そうだが?」
「実はこの配信をご覧になっていらした、『櫻井記念病院』医院長 櫻井兼近氏とそのご子息 櫻井 柊氏から我社に問い合わせの電話が入っているそうです。医院長は白金社長と直接お話なさりたいとの事ですが、宜しいですか?」
は?櫻井だと?
「え?あ……ちょっとお待ち下さい。」
おろおろする俺の所に、スピーカー状態にされた記者のスマホを置かれた。
この状況で切るわけにはいかない。
どうしようかと考えてたのに、無情にもスピーカーからよく知った声が聞こえてきた。
「久しぶりだな、貴生君。元気そうでなによりだ。」
「お、お義父様。お、お久ぶりで…す。」
「お義父様…… よくもまあ私を父と呼べたものだ。」
「そ、それは……」
「お前は、私の可愛い娘 麗羅の弔いの際、通夜には顔を出しただけ、葬儀の時はお前の隣におる女を連れて葬儀場に現れ、親族席にその女を座らせたばかりでなく、当時10歳だった麗羅の娘 百合香を親がいなくなった屋敷に一人で放置しよった。」
「…………」
「結婚した当初から、お前は麗羅を冷遇しとったな。妊娠している麗羅を一人にして、お前は堂々と当時妾だったその女の住まいに入り浸り、あまつさえ百合香と同じ年の娘までこさえよった。その後屋敷に妾とその娘を連れて私になんの許可もなく再婚。百合香は、父親の愛情を一切貰えず育児放棄状態。百合香が生まれて成人するまで、お前は養育費を一切麗羅や百合香に払っておらん。学園の授業料や生活費は、最初こそ麗羅の貯金から切り崩し払っていたようだが、百合香が高等部に入った頃だったろうか、それもついに底を付き、この私が立て替えて払っておった事さえ知らぬであろう。」
養育費?なんの事だ?
そもそも養育費を請求された覚えもない。しかも金関係は全部皐月に一任していた俺は、なんの事か分からず皐月を見た。
皐月は青い顔をしてブルブル震えている。皐月は養育費の事について何か知っている様だった。
「それでも百合香は、お前に認められたいと言って、学園での成績は常にトップクラスをキープしておった。長女だから、将来お前の会社を継ぐ事になるだろうからと言ってな。」
「…………(まさか…そんな事思っていたのか?アイツは)」
「しかしお前が決めたという人事はなんという事だ!長女の百合香ではなく、大した成績でも無かった後妻の娘がなると言うではないか!!お前が起業当初、資金繰りが厳しいといって麗羅に泣き付き、私から資金援助を何度もしてやった恩を仇で返す等言語道断だ!」
俺が何も言えず押し黙っていると、別の人間の声が聞こえてきた。
「お気持ちは分かりますが、落ち着いて下さい、お父さん。」
「…………(誰だ?コイツ)」
「お久しぶりです、貴生君。麗羅との結婚式以来かな?君と話すのは。」
「は、はい。あの……失礼ですが……」
「麗羅の兄、櫻井柊ですよ?貴生君。」
「(なんだと?麗羅のやつの兄貴って言えば、有名な外科医じゃないか。これは……ヤバい事になりそうだ。)」
「貴生君?落ち着いて聞いてくれ。」
「は、はい。お義兄さん。」
「君に兄と呼ばれたくはないが、今はそれどころでは無い。」
「は、い。すみません。」
「まぁいい。それより、百合香が行方不明だ!」
「え?お義姉様が?」
「百合香が行方不明?」
桃花と利樹君が同時に声をあげた。
アイツが?行方不明だと?
俺はその後、更に衝撃的な言葉を、この義兄から聞かされる事になる。
「そ、そうだが?」
「実はこの配信をご覧になっていらした、『櫻井記念病院』医院長 櫻井兼近氏とそのご子息 櫻井 柊氏から我社に問い合わせの電話が入っているそうです。医院長は白金社長と直接お話なさりたいとの事ですが、宜しいですか?」
は?櫻井だと?
「え?あ……ちょっとお待ち下さい。」
おろおろする俺の所に、スピーカー状態にされた記者のスマホを置かれた。
この状況で切るわけにはいかない。
どうしようかと考えてたのに、無情にもスピーカーからよく知った声が聞こえてきた。
「久しぶりだな、貴生君。元気そうでなによりだ。」
「お、お義父様。お、お久ぶりで…す。」
「お義父様…… よくもまあ私を父と呼べたものだ。」
「そ、それは……」
「お前は、私の可愛い娘 麗羅の弔いの際、通夜には顔を出しただけ、葬儀の時はお前の隣におる女を連れて葬儀場に現れ、親族席にその女を座らせたばかりでなく、当時10歳だった麗羅の娘 百合香を親がいなくなった屋敷に一人で放置しよった。」
「…………」
「結婚した当初から、お前は麗羅を冷遇しとったな。妊娠している麗羅を一人にして、お前は堂々と当時妾だったその女の住まいに入り浸り、あまつさえ百合香と同じ年の娘までこさえよった。その後屋敷に妾とその娘を連れて私になんの許可もなく再婚。百合香は、父親の愛情を一切貰えず育児放棄状態。百合香が生まれて成人するまで、お前は養育費を一切麗羅や百合香に払っておらん。学園の授業料や生活費は、最初こそ麗羅の貯金から切り崩し払っていたようだが、百合香が高等部に入った頃だったろうか、それもついに底を付き、この私が立て替えて払っておった事さえ知らぬであろう。」
養育費?なんの事だ?
そもそも養育費を請求された覚えもない。しかも金関係は全部皐月に一任していた俺は、なんの事か分からず皐月を見た。
皐月は青い顔をしてブルブル震えている。皐月は養育費の事について何か知っている様だった。
「それでも百合香は、お前に認められたいと言って、学園での成績は常にトップクラスをキープしておった。長女だから、将来お前の会社を継ぐ事になるだろうからと言ってな。」
「…………(まさか…そんな事思っていたのか?アイツは)」
「しかしお前が決めたという人事はなんという事だ!長女の百合香ではなく、大した成績でも無かった後妻の娘がなると言うではないか!!お前が起業当初、資金繰りが厳しいといって麗羅に泣き付き、私から資金援助を何度もしてやった恩を仇で返す等言語道断だ!」
俺が何も言えず押し黙っていると、別の人間の声が聞こえてきた。
「お気持ちは分かりますが、落ち着いて下さい、お父さん。」
「…………(誰だ?コイツ)」
「お久しぶりです、貴生君。麗羅との結婚式以来かな?君と話すのは。」
「は、はい。あの……失礼ですが……」
「麗羅の兄、櫻井柊ですよ?貴生君。」
「(なんだと?麗羅のやつの兄貴って言えば、有名な外科医じゃないか。これは……ヤバい事になりそうだ。)」
「貴生君?落ち着いて聞いてくれ。」
「は、はい。お義兄さん。」
「君に兄と呼ばれたくはないが、今はそれどころでは無い。」
「は、い。すみません。」
「まぁいい。それより、百合香が行方不明だ!」
「え?お義姉様が?」
「百合香が行方不明?」
桃花と利樹君が同時に声をあげた。
アイツが?行方不明だと?
俺はその後、更に衝撃的な言葉を、この義兄から聞かされる事になる。
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