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第五章 それぞれの……
第5話 恋人
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駿斗から連絡があった30分後、コンシェルジュから『連城様がお越しになりました。』と連絡が入った。
それから間もなく、部屋のインターフォンが鳴り、モニターに大好きな男性の顔が映し出される。
「はぁい」と言って、鍵を開けドアを開いた途端、大好きな香りに包まれた。
「会いたかった、りり。」
「私もよ、駿斗。ずっとずっと会いたかった。」
広い胸に顔をうずめ答える。
「もっと顔をよく見せてくれ」
抱きすくめられた状態で顔を上げると、
「りり。相変わらず綺麗だ。」
と言って、額 瞼 頬 鼻と顔中にKissの雨を降らせ、最後に唇にKissをする駿斗。
駿斗からの情熱的なKissを受け、息も絶え絶えになる私を見て、不敵に笑う駿斗の胸に悔し紛れのグーパンをお見舞いしてやろうとしたが、その手を掴まれ更に深いKissをされてしまう。
立っていられなくなる程の官能的な大人のKissをされ、すっかり腰砕けになってしまった私をお姫様抱っこで抱き上げ、リビングのソファまで連れて行ってくれた駿斗。
そのまま横抱きにされ、駿斗の膝上に座る形にされた私は、羞恥で顔が真っ赤になっていることだろう。
そんな私の耳元で、
「りり、卒業おめでとう。やっとアイツ等から解放されたな。」
「うん、そうね。ありがとう駿斗。」
駿斗の低く甘い声で囁かれ、恥ずかしくて俯いたままでいると、
「りり?」
と覗き込まれる。
「真っ赤になって…。ホント可愛いな。こんなにりりは可愛いのに、あの男はりりを愛さず、迫害した。そのくせ、こんな事言ってるとか、ほんと馬鹿だよな。」
駿斗の発言を不思議に思い、思わず顔を上げた。
すると、
「聞くか?」
と言って、ワイヤレスイヤホンの片方を渡される。
『「既に、当ホテル前にはマスコミが殺到しております。地下駐車場へ車を回しておきます。チェックアウトは今ここで致しますので、白金様はそのまま地下へ向かわれて下さい。」』
聞こえて来たのは潮田さんの声だ。
訳が分からず首を傾げる私に、
「続きを聞いてみろ。」
と言われ、静かに従った。
『「悪いが、スイートルームを今日から長期滞在でおさえてくれ。」
「大変申し訳ございません、白金様。スイートルームは本日より三ヶ月先までご予約でうまっておりましてご用意できかねます。セミスイートでしたら可能ですが、いかがでしょうか?」
「致し方ない。それでいいから、とりあえず一週間頼む。」
「承知致しました。今、何方で…「地下駐車場だ。」…畏まりました。要人専用エレベーターがございます。お迎えにあがりますので、そのままお待ちください。」
「今日から暫くここで生活をする。マスコミがあんなんじゃ、屋敷での生活は無理だからな。」
「会社へはどうするの?」
「会社へは行かない。どうせマスコミが来ているだろうからな。パソコンもある事だし、ここからでも社員に指示は出せるだろう。会議もウェブで出来るからな。」
「桃花は?桃花はどうするの?桃花一人でお家とかヤダよ!」
「桃花もここに居なさい。」
「はぁいパパ。そうよね~。桃花一人にするなんて酷い事パパはしないもんね。あ!でもぉ~……」
「でも、なんだ?」
「桃花~、毎日同じお洋服とかマジ有り得ないしぃ~……」
「分かった。ホテルのブティックで好きな様に買い物をしたらいい。但し、お前が行くんじゃないぞ。店の者を呼んで買い物をするんだ。分かったか?」
「わぁ~い!ありがとうパパ。お洋服だけじゃなくてアクセとかもいい?」
「あぁ……」』
最後の方は、父が何かをぶつぶつ言っていたようだが、断片的にしか聞き取れなかった。
「今のって……」
イヤホンを駿斗に返しながら尋ねると、
「今、父さんから送られて来た。」
連城先生の奥様 亜由美さんが、父の荷物に仕掛けてある盗聴器が送ってきた音声だった。
マスコミに囲まれて、逃げてきたらしい。
会話から推察すると、屋敷には帰れず会社へも行かず、ホテルで仕事をするらしい。
最後の方で父が言っていた言葉『探し出す』『金を引き出す』『閉じ込める』等から、私を見つけ出して櫻井家からまたお金を引き出そうとしている事、私を見つけたら屋敷に監禁するつもりである事が考えられた。
馬鹿なお父様ね
私は絶対に見つからないわ
貴方に私を見つける事は出来ない
これから始まる断罪劇に向け、不敵な笑みを浮かべているであろう私の唇に、駿斗はまた甘いKissを落とし
「愛してる」
と囁いてくれた。
それから間もなく、部屋のインターフォンが鳴り、モニターに大好きな男性の顔が映し出される。
「はぁい」と言って、鍵を開けドアを開いた途端、大好きな香りに包まれた。
「会いたかった、りり。」
「私もよ、駿斗。ずっとずっと会いたかった。」
広い胸に顔をうずめ答える。
「もっと顔をよく見せてくれ」
抱きすくめられた状態で顔を上げると、
「りり。相変わらず綺麗だ。」
と言って、額 瞼 頬 鼻と顔中にKissの雨を降らせ、最後に唇にKissをする駿斗。
駿斗からの情熱的なKissを受け、息も絶え絶えになる私を見て、不敵に笑う駿斗の胸に悔し紛れのグーパンをお見舞いしてやろうとしたが、その手を掴まれ更に深いKissをされてしまう。
立っていられなくなる程の官能的な大人のKissをされ、すっかり腰砕けになってしまった私をお姫様抱っこで抱き上げ、リビングのソファまで連れて行ってくれた駿斗。
そのまま横抱きにされ、駿斗の膝上に座る形にされた私は、羞恥で顔が真っ赤になっていることだろう。
そんな私の耳元で、
「りり、卒業おめでとう。やっとアイツ等から解放されたな。」
「うん、そうね。ありがとう駿斗。」
駿斗の低く甘い声で囁かれ、恥ずかしくて俯いたままでいると、
「りり?」
と覗き込まれる。
「真っ赤になって…。ホント可愛いな。こんなにりりは可愛いのに、あの男はりりを愛さず、迫害した。そのくせ、こんな事言ってるとか、ほんと馬鹿だよな。」
駿斗の発言を不思議に思い、思わず顔を上げた。
すると、
「聞くか?」
と言って、ワイヤレスイヤホンの片方を渡される。
『「既に、当ホテル前にはマスコミが殺到しております。地下駐車場へ車を回しておきます。チェックアウトは今ここで致しますので、白金様はそのまま地下へ向かわれて下さい。」』
聞こえて来たのは潮田さんの声だ。
訳が分からず首を傾げる私に、
「続きを聞いてみろ。」
と言われ、静かに従った。
『「悪いが、スイートルームを今日から長期滞在でおさえてくれ。」
「大変申し訳ございません、白金様。スイートルームは本日より三ヶ月先までご予約でうまっておりましてご用意できかねます。セミスイートでしたら可能ですが、いかがでしょうか?」
「致し方ない。それでいいから、とりあえず一週間頼む。」
「承知致しました。今、何方で…「地下駐車場だ。」…畏まりました。要人専用エレベーターがございます。お迎えにあがりますので、そのままお待ちください。」
「今日から暫くここで生活をする。マスコミがあんなんじゃ、屋敷での生活は無理だからな。」
「会社へはどうするの?」
「会社へは行かない。どうせマスコミが来ているだろうからな。パソコンもある事だし、ここからでも社員に指示は出せるだろう。会議もウェブで出来るからな。」
「桃花は?桃花はどうするの?桃花一人でお家とかヤダよ!」
「桃花もここに居なさい。」
「はぁいパパ。そうよね~。桃花一人にするなんて酷い事パパはしないもんね。あ!でもぉ~……」
「でも、なんだ?」
「桃花~、毎日同じお洋服とかマジ有り得ないしぃ~……」
「分かった。ホテルのブティックで好きな様に買い物をしたらいい。但し、お前が行くんじゃないぞ。店の者を呼んで買い物をするんだ。分かったか?」
「わぁ~い!ありがとうパパ。お洋服だけじゃなくてアクセとかもいい?」
「あぁ……」』
最後の方は、父が何かをぶつぶつ言っていたようだが、断片的にしか聞き取れなかった。
「今のって……」
イヤホンを駿斗に返しながら尋ねると、
「今、父さんから送られて来た。」
連城先生の奥様 亜由美さんが、父の荷物に仕掛けてある盗聴器が送ってきた音声だった。
マスコミに囲まれて、逃げてきたらしい。
会話から推察すると、屋敷には帰れず会社へも行かず、ホテルで仕事をするらしい。
最後の方で父が言っていた言葉『探し出す』『金を引き出す』『閉じ込める』等から、私を見つけ出して櫻井家からまたお金を引き出そうとしている事、私を見つけたら屋敷に監禁するつもりである事が考えられた。
馬鹿なお父様ね
私は絶対に見つからないわ
貴方に私を見つける事は出来ない
これから始まる断罪劇に向け、不敵な笑みを浮かべているであろう私の唇に、駿斗はまた甘いKissを落とし
「愛してる」
と囁いてくれた。
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